テージョ川
[Wikipedia|▼Menu]
右岸のサンタレンを越えると、川幅が広がって潟湖となり[2]、1980年にラムサール条約登録地となった[8]リスボン首都圏を右岸に見るテージョ川河口はテージョ川河口自然保護区(英語版)に指定されている。右岸(北岸)のリスボンと左岸(南岸)のアルマダを結ぶ橋としては、ヨーロッパ有数の吊り橋である4月25日橋(旧称サラザール橋)[2]ヴァスコ・ダ・ガマ橋が架かっており、全長17.2kmのヴァスコ・ダ・ガマ橋はヨーロッパでもっとも長い橋である。リスボン首都圏西方で大西洋に注ぐ。リスボン都市圏のテージョ川河口部は鉄鋼、造船、石油精製などの重工業が盛んであり、近年では観光業を含むサービス業も行われている[2]。河口の入口には無人島のブージオ島があり、ブージオ灯台(ポルトガル語版)が建っている。

ポルトガルのテージョ川左岸部は歴史的にアレンテージョと呼ばれるが、これは「テージョ川を超えた場所」を意味する。現在のサンタレン県にほぼ相当する地域には、1936年から1976年までリバテージョ県が存在したが、これは「テージョ川の上流」を意味する。テージョ川とドウロ川はそれぞれポルトガルの大西洋岸と内陸部を結び、国内を地理的に結び付けている[2]。テージョ川はポルトガルの領域を二分しており、テージョ川以北は山地が支配的であるが、テージョ川以南は起伏のある低地で占められている[2]。テージョ川以北はより降水量が多く、トウモロコシライムギブドウなどの作物が植えられているが、テージョ川以南は乾燥して暑く、コムギ、オートムギ、コルクガシなどが植えられている[2]。テージョ川以南では穀物は灌漑を必要とする[2]リスボン市街地
歴史

1996年から2001年には、タホ川/テージョ川河口でペッパー・レック(胡椒の難破船)という通称を持つノッサ・セニョーラ・ドス・マルティレス号の難破船発掘が行われた。この船は黒胡椒の貿易船であり、1606年にタホ川/テージョ川河口で難破した。岩礁と接触したことで浸水して難破したが、イベリア半島本土に近かったことから犠牲者は出なかった。1993年にはポルトガル国立考古学博物館が海底で残骸を発見し、サン・ジュリアン・ダ・バラ2世によって難破船の場所が特定された。2008年にアフリカ大陸のナミビア沖で別の難破船が発見されるまで、16世紀と17世紀初頭におけるポルトガルのインド貿易船としてはトレジャーハンターに略奪されていない唯一の船がノッサ・セニョーラ・ドス・マルティレス号だった。

タホ川/テージョ川はリスボンの入口を防衛しているため、スペイン帝国・ポルトガル帝国それぞれにとって戦略的価値の高い河川だった。例えば1587年、イギリスの海賊であるフランシス・ドレークはアンダルシア地方のカディスの襲撃に成功した後に、しばらくの間タホ川/テージョ川に近づいた[9]
文化リスボン市街地とテージョ川

テージョ川はポルトガルのいくつもの歌や物語に登場する。共和政ローマの抒情詩人ガイウス・ウァレリウス・カトゥルス、帝政ローマの詩人オウィディウス、帝政ローマの風刺詩人ユウェナリスなどが作品にテージョ川の砂金を登場させている。

17世紀イギリスの詩人リチャード・クラショーの詩『Saint Mary Magdalene, or the Weeper』には、マグダラのマリアの銀の涙を望む「金の」タホ川/テージョ川が登場する。20世紀初頭のポルトガル人作家フェルナンド・ペソアは、「テージョ川は僕の村を流れる川より美しいが、テージョ川は僕の村を流れる川より美しくない」という書き出しを持つ詩を書いた[10]ファドには「私の髪は白くなったが、テージョ川はいまだに若々しい」という歌詞が登場する曲がある。
支流水域。スペイン首都のマドリード近郊から、ポルトガルの首都リスボンの間を繋ぐが、川の流れが速く水運としての利用は一部に限られる[11]10qごとの落差。落差が大きいため、60近くのダムで発電が行われる[11]
左岸(南岸)

グアディエーラ川
(英語版)

アルゴドール川(英語版)

ヘバロ川(英語版)

イボール川(英語版)

アルモンテ川(英語版)

サロール川(英語版)

セベール川(英語版)

ソライア川(英語版)

右岸(北岸)

ガーリョ川
(英語版)

ハラマ川

マンサナーレス川


グアダラマ川(英語版)

アルベルチェ川(英語版)

ティエタル川(英語版)

アラゴン川

ゼゼレ川(英語版)

脚注^ a b c “ ⇒Tagus River”. ブリタニカ百科事典. 2015年11月27日閲覧。
^ a b c d e f g h i j k Penn 2001, p. 277.
^ a b c d e 池上 et al. 2001, p. 222.
^ “Tejo/Tajo International Transboundary Biosphere Reserve, Portugal/Spain” (英語). UNESCO (2019年2月26日). 2023年3月19日閲覧。
^ Hobbs, William Herbert (1907). Earthquakes: An Introduction to Seismic Geology. NewYork: D. Appleton and Company. pp. 142?144  Downloadable Google Books
^ “MOLINA & ALTO TAJO UNESCO GLOBAL GEOPARK (Spain)” (英語). UNESCO (2021年7月28日). 2022年10月20日閲覧。
^ “NATURTEJO DA MESETA MERIDIONAL UNESCO GLOBAL GEOPARK (Portugal)” (英語). UNESCO (2021年7月28日). 2022年10月20日閲覧。
^ “Estuario do Tejo 。Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (1992年1月1日). 2023年3月19日閲覧。
^ Garrett Mattingly, The Armada, 118-119
^ Pessoa, Fernando; Richard Zenith, Translator (1999). Fernando Pessoa and Co.: Selected Poems. Grove Press. pp. 55. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9780802136275 


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:35 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef