1980年代以降、イスラム過激派によるテロリズムが激化し、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受けて米欧各国が対テロ戦争を主導した結果、ホームグロウン・テロリズムが主流となる。その中でも特に単独犯の形態はローンオフェンダー(ローンウルフ)と呼ばれるが、海外での先行研究によれば、ローンオフェンダーは反人工中絶や反性的少数者の立場からの犯行など動機・目的も多様化し、人種主義やヘイトクライムとの境界も曖昧となっていることから、厳密な定義には当てはまらない形態とされる[3]。
テロリズムは、左翼および右翼政党、ナショナリズム集団、宗教集団、そして政府側など多岐に渡る政治的な組織が、彼らの目的を達成するために実施している[4]。テロリズムを行う主体は、個人から集団、政府や国家などまで含まれる[5]。
テロリズムを行う主体はテロリスト(英: terrorist)と呼ばれる[5]。テロリストのうち、グループの場合はテロ・グループ、組織の場合はテロ組織、国家の場合はテロ国家と呼ばれる。また、テロリストを支援する国家はテロ支援国家と呼ばれる[6]。「テロ組織と認定された組織の一覧」および「en:State terrorism」も参照
用語 英語で「テロリズム (terrorism)」の語が初期に使用された一例。タイムズ1795年1月30日付け紙面より。「我々の自由を転覆しようとするしくみはひとつだけではない。過激主義は全ての情熱を引き起こし、王制はその希望をまだ諦めておらず、テロリズムはいまだかつてないほど大胆なようだ。」
テロリズムとは何らかの政治的な目的を達成するために暴力や脅迫を用いることを言う。「テロリズム」の語源はフランス語のterrorismeで[7]、1793年から1794年のフランス革命の際の恐怖政治(フランス語: La Terreur)に由来し、更にフランス語のterreurはラテン語のterre?から派生した語で「恐怖」を意味する[8]。「テロリズム」という用語が使われるようになったのはフランス革命において行われた九月虐殺がきっかけであった。この虐殺事件では革命派が反革命派1万6千人を殺害する恐怖政治を行い、その中で政治的な用語として登場した[9]。フランス革命ではジャコバン派が恐怖政治を行い、ジャコバン派の権力喪失後に「テロリスト」の用語は使用されるようになった[10]。この語の用法には歴史的な議論があり、例えばネルソン・マンデラやチェ・ゲバラ、マハトマ・ガンディー、シャナナ・グスマンもかつては「テロリスト」と呼ばれていたのである[11]。
定義詳細は「テロリズムの定義」を参照
「テロリズム」の語の正確な定義には多数の困難が伴っており、100を超える多数の定義が存在している[12][13]。
オックスフォード英語辞典(OED)はきわめて古典的な用法を真っ先に挙げている[14]。1.1789-1794年のフランス革命時にフランスの権力者が指示し遂行した威嚇による統治(恐怖政治)2.(派生用法)脅迫や威嚇を意図した攻撃方針 ? オックスフォード英語辞典
だがこのOEDの説明では現代的な用法を理解するにはもの足りないと感じられることになる[14]。「テロリズム」という語の現代的な用法は政治的なものである[14]。テロリズムの概念は、しばしば国家の権威者やその支持者が、政治的あるいはその他の敵対者を非合法化し[10]、更に国家が敵対者への武力行使を合法化するためにも使用されている[10][15]。
各国政府が独自に定義付けをしている例があるが、自国や自国の支持する武装集団による暴力行為は「テロリズム」から除外して、他の組織のもののみを「テロリズム」と呼んでおり、定義が自己中心的で、普遍性を持ちえず、妥当性に関しては疑問視されている。たとえばノーム・チョムスキーは、アメリカの公式文書によるテロリズムの定義に従えば「アメリカが1985年にベイルートで1人の聖職者を暗殺すべくモスクの外にトラックに仕掛けた爆弾を設置し、80名を殺し、250名に怪我を負わせた」行為(en:1985 Beirut car bombings)や「アメリカが1980年代にニカラグアを攻撃し壊滅状態に陥れた」(コントラ戦争)のは間違いなくテロである、と主張している[16]。 国際連合は、2004年11月、国際連合事務総長による報告書において、テロリズムを以下のように示した。住民を威嚇する、または政府や国際組織を強制する、あるいは行動を自制させる目的で、市民や非戦闘員に対して殺害または重大な身体的危害を引き起こす事を意図したあらゆる行動 ? [17] 当条約ではハイジャック関連を中心に、以下がテロ行為とされている[18][19]。
国際連合
テロ防止関連諸条約
航空機内の犯罪:航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約(航空機内の犯罪防止条約 東京条約)
航空機ハイジャック:航空機の不法な奪取の防止に関する条約(航空機不法奪取防止条約 ヘーグ条約)
民間航空機の安全に対する不法行為:民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(民間航空不法行為防止条約 モントリオール条約)、2010年作成の国際民間航空についての不法な行為の防止に関する条約(北京条約)においては、さらに核物質や生物兵器等の具体的事項を列挙
国家代表等に対する犯罪行為:国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約
人質を取る行為:人質をとる行為に関する国際条約
国際輸送中の核物質の窃盗:核物質の防護に関する条約(核物質防護条約)
空港における不法な暴力行為:1971年9月23日にモントリオールで作成された民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足する国際民間航空に使用される空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書(空港不法行為防止議定書)
海洋航行の安全に対する不法行為:海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(海洋航行不法行為防止条約)
大陸棚プラットフォームの安全に対する不法行為:大陸棚に所在する固定プラットフォームの安全に対する不法な行為の防止に関する議定書(大陸棚プラットフォーム不法行為防止議定書)