テレワークは、その人のキャリアに悪影響を及ぼすこともある。71カ国の1,300人の経営者を対象にした最近の調査では、テレワークをしている人は昇進する可能性が低いと回答した経営者は考えていることが示されている。企業は、一貫して仕事ぶりを見られていない人を指導的役割に昇進させることはほとんどない[103]。監督不足による先延ばしが続くことによる生産性の低下は、その従業員の仕事の質の低下につながる。これらの要因は、テレワークがその人のキャリアに与える悪影響の一部である[104]。
テレワーク詐欺詳細は「Work at home scheme」を参照
テレワークや在宅勤務の詐欺は非常に一般的で、これらの求人の多くは、在宅で仕事をしながら「早く一攫千金」ができると主張する詐欺である。実際、これらの詐欺の多くは、前もって投資をしなければならず、最後には見返りはない[105]。この問題は、2006年に米国連邦取引委員会(FTC)が偽のビジネスチャンスと在宅ワーク詐欺を標的とした連邦および州の法執行機関による掃討機関「プロジェクト・フォルス・ホープス(Project False Hopes)」を設立したほど蔓延している。この取り締まりには、FTC、司法省、米国郵政検査局(英語版)、11州の法執行機関による100件以上の法執行措置が含まれている[要出典]。FTCのデボラ・プラット・マジョラス会長は、「偽のビジネスチャンスは、経済的自立というアメリカ人の夢を踏みにじるものだ」と述べた。「ビジネスチャンスは、リスクがなく、少しの努力で、大きな利益を約束している場合、それはほぼ確実に詐欺です。これらの詐欺は、どれだけ時間とお金を投資しても、消費者が約束したような豊かさや経済的自由を手に入れることができない、お金の落とし穴を提供しているに過ぎません」[106]。FBIは2009年2月にも、このような詐欺について警告している。
「在宅ワーク」という単語で検索した結果、300万件以上のウェブエントリーのうち、95%以上が詐欺、詐欺へのリンク、またはその他の行き止まりであった。在宅ワーク詐欺は加害者に年間5億ドル以上の収入をもたらし、在宅ビジネス詐欺はさらに年間2億5000万ドルの収入をもたらしている[107]。詐欺がないと謳っているサイトでも、詐欺にリンクする広告が掲載されていることがよく見られる。StaffcentrixのCEOであるクリスティン・ダーストによると、インターネット上の在宅ワークの求人情報の中には、48対1の割合で詐欺と合法的な求人情報が存在するという[108]。 新型コロナウイルス感染症の流行に関連して、毎日新聞は2020年4月26日、「在宅勤務求める妊婦に『特別扱いできぬ』 新型コロナが浮き彫りにする職場の意識」との見出しで、妊娠中の肺炎には重症化の可能性も指摘され、政府は経済団体に配慮を要請したが、「特別扱いできない」とこれまで通りの勤務を求める職場も多いと伝えた。専門家は「各職場の働き方改革に取り組む姿勢が浮き彫りになっている」と指摘している[109]。 同記事によると、ある銀行で働く妊娠中の30代女性は、感染リスクを下げるため顧客対応の少ない担当への配置転換か休職ができないか上司に相談したところ、「あなたの後任の同僚がコロナにかかってもいいということ?」と返答されて言葉を失った。女性は「同僚が感染してもいいなんて考えているわけがない。ただ、もし赤ちゃんに悪影響があったら……」と不安を吐露する。しかし、「長くここで働きたいので、人間関係を考えると無理は言えない」と途方に暮れると言う[109]。 2020年9月に出産予定の20歳代小学校教員は同年4月上旬、事務作業を自宅でできないか上司に相談したところ、「特別扱いはできない」と拒否された。前月・3月末には管理職ら数人が夜の会食をしており「感染防止の意識が低く、同じ部屋で働くことが苦痛だった」と明かす。緊急事態宣言が出された2020年4月7日以降は職場全体で在宅勤務が認められたが、同年5月に学校が再開されると電車で1時間かけて通うことになるとも伝えられた[109]。また、共同通信は2020年6月に「妊婦の約4割が在宅ではなく出勤を主とする働き方をしている」ことが、民間企業によるアンケート調査で分かったと伝えた。医療従事者に限ると6割を超えたと言う[110]。同ニュースではアンケートの結果、勤務態勢が「出勤、出勤が多め」と答えた全体の約4割のうち、フルタイムで働く人は約29%と最多で、時短勤務は約6%、パート・アルバイトは約4%。医療従事者ではフルタイムが4割以上だったであるとも伝えられている[110]。 日本でのテレワークの区分として、雇用関係の有無がある。企業や官公庁に雇用され、在宅勤務などを行う「雇用型」と、フリーライターやSOHOなどの「自営型」、あるいは「非雇用型」は、広く使われる区分である[111][112]。また、国土交通省のテレワーク人口実態調査では、情報通信機器等を利用し仕事をする時間が1週間当たり8時間以上の者を「狭義のテレワーカー」、それ以外を「広義のテレワーカー」としている[113]。また、佐藤彰男は雇用型、非雇用型を在宅勤務、モバイルワーク、SOHO、在宅就業に分けることができる、としている[112]。それぞれの概要は以下のとおり。
報道されている問題点
現在のトレンド
日本
区分
雇用型
自宅利用型テレワーク - 在宅勤務。自宅にいて、事業所とはインターネット、パソコン、電話などで連絡を取る。
モバイルワーク - 事業所に毎日出勤することはせずに、顧客先や移動中にノートパソコン、携帯電話などを使って勤務する。
非雇用型
SOHO - 個人事業主。法人格を持っていることが条件。
在宅ワーク型 - 個人が請負、あるいはテレワークあっせん会社に登録を行い、データ入力やアドレス収集、ホームページ作成などを行う。