在宅勤務のルーツは、1970年代初頭の技術にある。当時は電話回線をネットワークブリッジとして使用したダム端末を使って、サテライトオフィスと都心のメインフレームをリンクさせた。後に継続的かつ指数関数的にテレワークのコストが低下し、同時にパソコンの性能と使いやすさが向上したことで、オフィスを自宅に移す道が開かれていった。
1980年代初頭までには、支店や在宅ワーカーは、パソコンや端末エミュレーションを使って組織のメインフレームに接続することができるようになった。テレワークは、コラボレーティブソフトウェア、仮想プライベートネットワーク、電話会議、ビデオ会議、バーチャルコールセンター、Voice over IP (VOIP)、バーチャルオフィス (ソフトウェア)などのツールや、高品質のノートパソコンの低価格化によって促進されている。ブロードバンド・インターネットは、労働者が長距離の通信を可能にし、移動時間とコストを大幅に節約できるため、企業にとって効率的で有用なものとなる。ブロードバンド・インターネット接続が一般的になるにつれ、自宅でこれらのツールを使用して企業のイントラネットや社内電話ネットワークに接続するための十分な帯域幅を持つ労働者が増えてきている。NASAの火星探査「マーズ2020」のミッションのパーサヴィアランスマーズ・ローバーのプロジェクトのメンバーがロケット「アトラス V」の打ち上げの前の期間中コロナ禍のためテレワークでミッションを進める様子
ローカル・エリア・ネットワークの採用により、リソースの共有が促進され、クライアント・サーバ・モデルのクライアント・サーバ・コンピューティングにより、さらに大きな分散化が可能になった。今日では、在宅勤務者はノートパソコンを持ち歩くことができ、オフィスでも自宅でも、ほぼどこでも利用することができる。クラウドコンピューティング技術とWi-Fiが利用できるようになり、持ち運び可能なハードウェアとソフトウェアを組み合わせてリモートサーバにアクセスすることが可能になった[26]。さらに、技術の向上と普及に伴い、スマートフォンはテレワークにも広く使われるようになってきている。スマートフォンは、労働者の移動性と組織との連携の度合いを大幅に向上させる。携帯電話やパーソナルデジタルアシスタント、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)デバイスの技術は、テキストメッセージ、カメラの写真、ビデオクリップを介して、いつでもどこからでもインスタントコミュニケーションを可能にする[27]。 コミュニケーションのための技術は、対面でのオフィスでのやりとりを再現できるほどには進歩していない。つまり、コミュニケーションの失敗が増える可能性がある。メディアリッチネス理論
メディアリッチネス理論
労働者は、コミュニケーションを行うにあたって、対面でのやりとり、電話での会話、対面での部門会議に満足する傾向が見られるが、電子メールやインターネットはコミュニケーションの満足度を高めない。ある研究では、チーム内のバーチャルワーカーは、対面のオフィスでのコミュニケーションよりもテクノロジーを媒介としたコミュニケーションに満足していたという結果が出ているが[31]、このことから、テレワークは対面のコミュニケーションに比べて「豊かなコミュニケーション」の要素を持っていない可能性があることが示唆されている[32]。 在宅勤務のメリットとデメリットのいくつかは、仕事の特徴やタスクそのものが従業員の仕事に対する態度や行動に影響を与えるという職務特性理論 自律性は経験豊富な責任に影響を与え、仕事が自由、独立性、スケジュールの柔軟性をもたらしている場合、その人は自分の仕事の結果に責任を感じるはずである。
職務特性理論
自律性