上節ではヨーロッパ諸国とアメリカをごちゃまぜにして年表風に列挙したが、当時は現在のようにEUがあったわけではなくヨーロッパといっても国ごとに施策は異なっていたので、この節では一国の中だけで起きたことを時系列で、フランスを例にとり説明する(日本一国の中だけの出来事の説明は次の節で詳説するので、ここではまずフランス一国内の出来事についてまとめて理解できるように簡潔に説明する)。
フランスでは1931年4月14日に電波で行うテレビ送受信のフランス初の実演が行われた。それまでは有線での実演は行われたことはあったが電波を使うテレビの実演をするのはフランスでは初めてだった[12]。この実演を行ったのはフランスの技術者ルネ・バルテレミ(fr:Rene Barthelemy
)であり、800名の招待客を前にして2キロメートルほど離れた場所からマラコフ電気高等学校とモンルージュにある会社の研究所の間で映像を伝えた。1931年12月6日にはアンリ・ド・フランス(fr:Henri de France)がテレビ放送会社 ラ・コンパニ・ジェネラル・ドゥ・テレヴィジオン(la Compagnie generale de television )社(CGT)を設立。1932年12月にはルネ・バルテレミがテレビカメラを発明し実験的な白黒放送番組「Paris Television」を毎週1時間放送し、これを受信するためのテレビ受像機がおよそ100台ほど用意された。そのほとんどは公開用テレビ受像機つまり個人が所有するものではなく公共の場に設置して皆で観るものだった。1935年4月26日にはフランスで初の公式テレビ放送を開始するとの宣言が当時のフランス郵政大臣のジョルジュ・マンデル(fr:Georges Mandel)によって行われた。1935年11月17日には(前述の技術者)バルテレミが走査線の数を180本まで増やし解像度を上げるのに成功し、放送用送信機をエッフェル塔の先端に設置。1937年1月4日には毎晩20時から20時半のテレビ放送(レギュラー放送)が開始され、数百台のテレビ受像機が個人宅に設置された。