テレビアニメ
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1995年の『新世紀エヴァンゲリオン』の商業的成功によりコアなファン対象の作品が多数制作され、放映権料の高いゴールデンタイムではなく、夕方の放送を中心に多数の制作会社が参入し、放送枠が不足すると深夜枠の開拓が始まった[26]。大量生産に有利なデジタルアニメが普及し、テレビ東京独立局BS局CSアニメ専門チャンネルなどで放送作品も増加したが、過剰な数の作品制作と負担の増加により、作画やシナリオを崩壊させる品質の低下、更には制作スケジュールの遅延による放送スケジュールの破綻に至る事例が続出、1クールの放送枠を「完走」すら出来ない事態まで至る作品まで出た。

かつてはテレビ局が企画に関与することが多かったテレビアニメだが、ここに至っては深夜枠は一種の「試写室」の扱いとなり、通信販売番組と同じようなビジネスモデルに変わっていった[31]

こうして2000年代に本数は急増したが、2000年代前半のフジテレビ深夜では編成の混乱が発生し最終回まで放送されないアニメが続出[31]、2008年に発生したリーマン・ショック世界金融危機の影響などから2010年頃には本数が減少するなどの影響が出た[32][33]。2010年代前半にはリーマンショックの影響を脱し本数は再び増加した[34]
視聴層の二極化とパッケージ販売(ビデオソフト化)による制作費回収システム「アニメ (日本のアニメーション作品)#映像媒体のパッケージ販売」も参照

深夜アニメのターゲットはアニメの関心が強いアニメオタク層であり、パッケージ販売のためのプロモーションの性格が強い。そのため製作委員会各社がスポンサーとなり、番組枠を買い取って放送するケースも多い。深夜枠放送作品は、DVDおよびBlu-ray Discなどのパッケージ販売が主な収益だったことから、付加価値を高めて購買意欲を刺激する必要があり、以下の事情により本放送とは異なる改訂・増補がなされる場合もある。
放送の修正(リテイク

制作スケジュール破綻、またはそれに近い状態になったエピソードが多発した作品に多く見られる。クレジットやテロップの修正も含まれる。


表現規制を制作意図に戻す。

お色気や流血など刺激の強い表現で、テレビ放送時に規制されたものを本来の状態に戻すために、追加もしくは差し替えが行われる。また「自主規制音」の部分が、別音声として収録された作品もある(『ハヤテのごとく!』・『生徒会役員共』など)。

逆に版権・著作権の問題などからソフト化の際に規制が追加されたり、内容が一部改変されるケースも少ないながら存在する。例として『銀魂』ではテレビ放送版で流れたパロディ元の原曲が、映像ソフト版では別の曲に差し替えられることも多い。



画面枠(アスペクト比)の変更。

2009年9月期までのTBS製作作品や、かつてのテレビ東京製作作品の一部では、「16:9」の画面サイズマスターを地上波での放送時には画面の両端をカットし、「4:3」のサイズで放送する例がほとんどであった(2009年当時は地上デジタル放送が普及途上にあり、受信できない地域が多かったため)。パッケージ化の際には元の「16:9」として販売される。


全バージョンの収録

CMなどの放送用の素材を特典として収録。

パッケージ版の販促を意図して、放送地域別(衛星放送を含む)に一部シーンの別バージョンを放送する作品では[注釈 48]、全バージョンが収録されている。


未放送部分の収録

本編の一部・結末を放送せず、またその部分を別売りにする手法に対して視聴者の不満は大きいが、パッケージ販売に制作費を大きく依存する深夜アニメ制作の難しさが浮き彫りになっている。

本編のエピソードの一部を放送しない - 作品全体の内容の理解には支障がないが、パッケージ版で背景や人間関係がより深く理解できるといった内容になっている。未放送回の存在は事前にウェブサイトなどで告知されていることが多い。

本編の結末を放送しない - 2003年?2004年のフジテレビやテレビ朝日の深夜アニメで顕著に見られ、地デジ放送準備工事に伴う放送終了時間繰り上げや特別番組やスポーツ中継などによる放送スケジュールの都合で最後まで放送できない作品が続出し、パッケージ版か衛星放送などでしか結末を視聴することができなかった。

2011年には東日本大震災による影響報道特番による休止・災害描写への配慮、放送枠の不足など)から最終回が放送できなくなった作品もある。

かしまし ?ガール・ミーツ・ガール?』のラストシーンがDVDに収録される真の最終回への露骨な誘導であったことから、ラストシーンのセリフをとって「あのね商法[35]」などと呼ばれている。




新規の映像の追加収録

番外編・後日談・短編アニメで、本編からやや離れたパロディ色が強い内容のものを収録する作品が多い。従来の人気作品の続編や番外編をOVA劇場版を制作するという手法の延長線上にある。一部はリリースの後日ないし先行の特別番組の形でテレビ放送するケースもある。


主題歌などの音源CDを同梱

主題歌挿入歌サウンドトラックドラマCDなどを単品として発売せず、映像ソフトの特典として同梱させる事例も増えている。一部は後日単体のアルバムとして発売されるケースもある。


関係者出演の特典映像・音声を収録

アニメ本編とは別に、オーディオコメンタリー、出演声優や制作スタッフのトーク、その作品制作の裏側に密着したドキュメンタリー、イベント、ライブなどの映像、出演声優によるバラエティ番組的な内容などを映像特典として追加収録する例も多い。

関連イベントやライブ映像を単品ソフトとして制作・販売する事例も少なくない。

販促の一環として作品関連のグッズ類や、各種イベント参加整理券もしくは応募券、チケット優先販売申込券などを同梱することもある(一部店舗もしくは通信販売限定のものもある)。



インターネット配信

2000年代半ば以降、上記のパッケージ販売市場が縮小傾向にある事から、製作各社はそれに代わって海外市場を含む「インターネット有料配信」によるビジネスモデルへのシフトしており、テレビ放送よりも重要な存在となった[36]。その際、日本の首都圏における「テレビ放送(地上波による放送)の実績」の有無がネット配信業者への販売価格を大きく左右する[4] ことから、純粋な意味のWebアニメは長らく少数派に留まり、ネット配信に並行して何らかの形でテレビ放送を行う形のものが多い。
インターネット配信の現状と弱点

権利者(原作者や遺族など)の意向によっては有料配信すら許諾されない場合もある
[注釈 49]

最速放送局より遅れて配信される事例が多い。ただし有料配信の場合は一部最速放送局よりも早く配信するケースがあり(日本テレビ製作深夜アニメ番組など)、AbemaTV参入後は最速放送局と同時、もしくはそれよりも早く無料配信するケースも登場している。

「有料配信のみ」を基本とする放送枠(フジテレビ『ノイタミナ』枠やMBS『アニメイズム』枠など)や、製作会社(東映[注釈 50]KADOKAWA[注釈 51] 製作作品など)もあり、近年ではこれらに限らず特定配信サイトの「独占有料配信」作品も増えている。

配信企業が製作委員会に加わったりプロジェクトを主導するケースもあり『シドニアの騎士』では製作会社がNetflixと直接契約し、日本国外でのインターネット配信を独占させる契約で制作費を調達した。また同じ制作会社による『BLAME!』はNetflixのオリジナルコンテンツとして制作された(日本国内では劇場でも放映された)。

肖像権の都合上、声優やスタッフの出演する特番や実写パートが配信されない場合もある[注釈 52]

インターネット回線速度に影響を受けやすい。

有料配信の場合、料金支払方法がクレジットカードウェブマネーなどに限られることが多い。

違法アップロード

上記のような現状を背景に、極力少ない時差(遅れ)で視聴するため、WinnyShareなどのファイル共有ソフトや、日本国外の動画共有サービスを用い、作品を違法にアップロードする行為が問題になっている[37]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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