テレパシー
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ただちにオランダとポーランドの研究者(Kalitzin and Suuffczynski)から肯定的なコメントが寄せられた[16]

それに対してワッカーマンらは次のようにコメントした。「われわれは、(Kalitzin, Suuffczynskiらの)コメントの建設的で思慮深い論調を歓迎する。我々がここで示したような結果は、過去、超心理学や「癒しの科学」に見られるように、ある種の異常さを売り物にし偏った視点をもつ研究者たちによって報告されてきた。そしてしばしば、経験科学の範囲を逸脱する仮説を支持するものだと解釈されてきた。このことはかえって、科学者の社会の本流に、こういった研究に対する否定的偏見を植えつけてしまう結果を生んできたようだ。だが我々は、ついに、肯定的な偏見先入観)、否定的な偏見先入観)をすべて捨て、データに基づく証拠だけを扱って、これらのテーマについて考える時が来たのだと信じるのである[17]
ラディンによる実験(2004年)

米国カリフォルニアのノエティックサイエンス研究所のディーン・ラディン(en:Dean Radin)は、2004年に論文を発表した。[18]
実験内容

ラディンは11組の成人カップルと、2組の母娘のカップルを採用した。そして各カップルに「互いにつながりを持っているという感覚」feeling of connectednessを持ち続けるように要請した。さらにそれに集中できるように、指輪や時計などの個人的な品をカップル内で交換させ、実験中ずっと握っているように指示した[19]

カップルは相談して、どちらが「思い」を送る側で、どちらが「思い」を受ける側になるか決めた[19]

その後、お互いから電磁気的に隔離された個室に一人ずつ入った[19]

次に、送り手が受け手に「思い」を送るスタート合図として、(ここが特筆に値することだが)送り手に対して、別室で待機している受け手のビデオ画像がライブ放映された[19]。ライブ画像は1回あたり15秒。この画像は、17-25回、しかもランダムな間隔で提示された。つまり、送り手は、受け手の画像がモニタに映ったら、その人(受け手)の個人的な品を手に握り、その人のことを思う。受け手の側は、いつ自分のライブ画像が別室で放映されているのかは知らない。その状態で、個室において相手(送り手)のことを思い続けている[19]

そしてカップルの頭部に電極が設置され、脳波が同時に測定された[19]

対照実験として予め、被験者がいない状態で機械類だけを作動させ、システムに発生する電気的ノイズの様子を調べておいた[20]。計器に同期的に発生するノイズは認められなかった[20]
実験結果

ビデオ画像の放映が開始されると、それを見た人物(=送り手)の脳波には、「視覚性誘発電位」の揺れが、放映開始後368ミリ秒をピークとして生じる[20]。ここまではごく当然のことである。

この時、受け手の脳波に何が起きているかを調べると、(ここが驚くべきことであるが)こちらにも(送り手の脳波のピークから64ミリ秒遅れて)、強度は小さいものの脳が活動したことを示す揺れが確かに生じていた[20]。また、送り手の視覚性誘発電位が強く出ている場合には、受け手の脳波にあらわれる揺れも、やはり強い傾向があった[20]

ラディンは、「何らかの、未知の情報的あるいはエネルギー的交換が、隔離された人々の間で存在する」という仮説を肯定せざるをえないことを示唆した[20]
仮説

ラディンは次のように述べた[21]。この研究で観察された脳活動の相関は、量子もつれを思い出させる。量子のもつれとは、互いに隔離された物理的な系が相関性のある行動を見せるという性質であり、これは、ふたつの系は見かけほどには隔離されていないということを示唆する。脳のような巨視的な物体であっても、ごく短時間ではあるが量子のもつれを示すことがあるのであれば(そういうことはHagan、Josephson、Pallikarei-Viras、Stappらによってすでに示唆されている)、そのもつれあった脳が、この実験で観察されたような相関活動を示したとしても、不思議ではない[22]
テレパシーに対する態度

2001年にギャラップ社が米国で調査を行ったところ、アメリカ合衆国の36%の人々がテレパシーの存在を信じている、26%の人々が態度を決めかねる、35%の人々が信じない、との結果が出た[23]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}「telepathy」は「mental telepathy」 の短縮形[要出典]。
^ 精神遠隔感応とも[要出典]。
^ 思念と呼ばれることもある[要出典]。

出典^ a b 出典:デジタル大辞泉
^ Hamilton, Trevor (2009). Immortal Longings: F.W.H. Myers and the Victorian search for life after death. Imprint Academic. p. 121. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-1-84540-248-8 
^ Carroll, Robert Todd (2005年). “ ⇒The Skeptic's Dictionary; Telepathy”. SkepDic.com. 2006年9月13日閲覧。
^Glossary of Parapsychological terms - Telepathy ? Parapsychological Association. Retrieved December 19, 2006.
^ 『きわどい科学』白揚社 p.241
^ 『きわどい科学』白揚社 p.242
^ Wackermann J, Seiter C, Keibel H, Walach H (2003), Correlations between brain electrical activities of two spatially separated human subjects. Neurosci. Lett., 336, 60-64.
^ 大谷悟『心はどこまで脳にあるか』海鳴社、p.37
^ 大谷悟『心はどこまで脳にあるか』p.41
^ 大谷悟『心はどこまで脳にあるか』p.37
^ a b c d e f g 大谷悟『心はどこまで脳にあるか』p.38
^ a b c d e 大谷悟『心はどこまで脳にあるか』p.39
^ a b 大谷悟『心はどこまで脳にあるか』p.40


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