テルペン
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シトロネロールシトロネラ油から、ミルセノールタイム油から得られる。ラベンダー油にはラバンジュロールもみられる。イプスジエノールはランの花の香り成分である。これらはモノテルペノイドアルコールである。

モノテルペノイドアルデヒドのネラールとゲラニアールはシス-トランス異性体であり、まとめてシトラールと呼ばれる。香料の原料として利用され、例えばアセトンと縮合させたのち環化させるとイオノンの2種の異性体が得られる。これはスミレのような香りをもつ。イオノンはカロテンやレチノール(ビタミンA)の原料でもある。シトロネラールは防虫剤として使われる。

フラノイドモノテルペンとしてペリレンやローズフランが知られる。ローズフランはバラ油の香気成分で、ペリレンは精油中に含まれる防御フェロモンである。

カルボン酸としてはゲラニル酸が知られる。
単環式リモネンはオレンジやレモンなどの柑橘類の果皮にみられるチモールの名称はハーブの一種、タイムに由来する

単環式のモノテルペノイドはほとんどがパラメンタン骨格を持つが、シクロプロパンシクロブタンシクロペンタン骨格を持つものも存在する。クリサンテモール(シクロプロパン)、グランジソール(シクロブタン)、ジュニオノン(シクロブタン)が例として挙げられる。におい閾値がもっとも低い化合物として知られるチオテルピネオールも単環式モノテルペノイドである。

シクロペンタン骨格を持つモノテルペノイドはおよそ200種ほど知られており、イリドイドやセコイリドイドに分類されている。イリドイドはイリドミルメクス属 (Iridomyrmex) のアリからはじめて単離された(数少ない非植物由来のテルペノイドである)ことからその名が付けられた。シクロペンタンにピロンが縮環した骨格を持ち、炭素数が5の倍数でないものも含まれる。イリドイドは月経困難症の手当てに使われるセイヨウニンジンボクの果実や、リウマチに効くとされるライオンゴロシなどに含まれる。

シクロヘキサン環を持つ単環性モノテルペンはさらにいくつかのグループに分けられる。炭化水素としてはメンタンリモネンフェランドレン、テルピノレン、テルピネンシメンが最もよく知られている。メンタンは他のものに比べ天然に見出されることは少ない。リモネンは多くの植物に含まれ、テルピノレン、テルピネンも芳香成分として精油中に存在する。テルピノレンはシロアリ警告フェロモンでもある。フェランドレンはキャラウェイフェンネルユーカリなどに、シメンはサマーセイボリーなどに含有される。

メントールハッカ油の主成分であり、鎮痛剤ほか多くの医療品に用いられる。ハッカ油にはプレゴールも含まれる。ピペリトールはユーカリやペパーミントに含まれる。テルピネオールは香気成分、カルベオール柑橘類の精油成分である。チモールタイムオレガノの精油中に含まれる。ジヒドロカルベオールはキャラウェイ、コショウセロリミントに含まれる。

メントンとプレゴン、およびそれらの鏡像異性体は、メントールと同じくハッカ油中に存在する。フェランドラールはセリ科の植物にみられる。カルボンやカルベノンはキャラウェイやイノンドに、ピペリトンはユーカリ精油に含まれる。

ユーカリプトール(1,8-シネオール)はエポキシ化合物である。殺菌剤としての効果を持ち、主にユーカリや月桂樹、あるいは1,4-シネオールとともにビャクシンに含まれる。アスカリドールペルオキシド構造を持ち、アカザ属の植物にみられる。
二環式二環式モノテルペンの主な骨格樟脳(カンファー)はクスノキの葉や枝から得られる

二環式モノテルペンの基本骨格で主なものはカラン、ツジェン、ピネン、ボルナン、フェンカン、イソボルナン、イソカンファンである。

3-カレンはテレビン油の主成分であり、クロコショウや柑橘類モミビャクシン属の植物にも含まれる。ツジェンコリアンダーイノンドに、またサビネンとともに精油中にみられる。ツジョンニガヨモギから得られ、それを原料とする酒であるアブサンベルモットにも含まれる。ツジャノールはクロベ属 (Thuja)、ビャクシン属ヨモギ属の植物に存在する。カラン骨格を持つカルボン酸、例えばカミン酸はヒノキ属 (Chamaecyparis) の植物に含まれる。

ピネンは3-カレンに次ぐテレビン油の主成分である。テレビン油にはベルベノールやベルベノンも含有されるが、それらはローズマリー油中にも存在する。またキクイムシ性フェロモンでもある。ピノカルボンはユーカリ精油にも含まれる、シャクガ科の昆虫 Bupalus piniaria の性フェロモンである。

カンファー(樟脳)は血行促進、去痰などさまざまな薬効を持つとされ、クスノキ (camphor laurel) から単離される。クスノキからはボルネオールも得られる。イソボルネオールはさまざまなキク科の植物に含まれる。

フェンカン誘導体、特にフェンコンとフェンコールは種々の精油中に含まれる。フェンケンやその誘導体はまれにしかみられない。
セスキテルペン詳細は「セスキテルペン」を参照

セスキテルペノイドは3000種以上存在する、テルペノイド中で最も大きなグループである。すべてファルネシル二リン酸から誘導され、3個のイソプレン単位によって構成される(15炭素)。数多く知られているが、香料などとして重要なものはおよそ20種程度である。
非環式

ファルネシル二リン酸が骨格の基本構造をなすが、これは含油頁岩(オイルシェール)中などにみられる。ファルネソールバラジャスミンの精油から得られる。ネロリドールオレンジ精油に、β-シネンサールはオレンジの花に含まれる。非環式フラノイドセスキテルペンとしてデンドロラシン、セスキロセンフラン、ロンギホリンが知られる。デンドロラシンは植物のみでなくアリからも得られ、その名はクサアリ亜属 (Dendrolasius) の学名に由来する。アブシジン酸は植物の生長などを調節する。幼若ホルモン幼虫の生長を促進するホルモンである。
単環式単環式セスキテルペンの骨格

単環式セスキテルペンは母体となる骨格によって、ビサボラン、ゲルマクラン、エレマン、フムラン誘導体に分けられる。

ビサボラン誘導体は植物中に存在する天然物として100種以上が知られている。ジンジベレンショウガ精油に、ビサボレンはヒノキ属やマツ属の植物に含まれる。ビサボールはカモミールの精油から得られ、抗炎症薬としての作用を持つ。
多環式多環式セスキテルペンの骨格

大部分のセスキテルペンは多環式である。

約30種が知られているカリオフィラン誘導体の中でもっとも重要なものはカリオフィレンであり、キャラウェイコショウ、フトモモに含まれる。


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