テニスボール
[Wikipedia|▼Menu]
ローンテニス(硬式テニス)が日本に伝えられたのは明治時代初期であったが[8]、用具は非常に高価な舶来品で、おいそれと手に入れられるものではなかった[8]。そこで、体操伝習所(のちの東京高等師範学校体育専修科)の生徒たちは、舶来品ながら安価なゴム製のおもちゃのボール(※大きさと用途は手毬に相当)を代用品として使い始めた[8]。その後、十数年経った1890年(明治23年)、東京高等師範学校体育専修科(のちの東京教育大学体育学部で、現在の筑波大学体育専門学群)が、テニス専用のゴムボールの試作を、東京市浅草区[* 4][9][10][11]にある日本屈指のゴム製造会社「三田土(みたつち)」[10][* 5]に依頼し[8]、これによって、1900年(明治33年)、規格化された専用ボールの最初のものが開発された[8]。日本独特の軟式テニス(ソフトテニス)がここに誕生し[8]、同校の卒業生が日本各地の学校の教師になっていたことから各人の任地に紹介され、全国的に普及することとなった[8]。そののち、朝鮮台湾フィリピンタイには早くに広まり、2004年(平成16年)にはローンテニスの故郷イギリスを始めとするヨーロッパ諸国(ベルギーオランダポーランドチェコハンガリー、ほか)にも伝えられた。

日本における近代ゴム工業発祥の地である土屋護謨製造所(つちやごむせいぞうしょ)の直系の後身にあたる三田土は[9]、上述のとおり軟式庭球のボールを開発したが、ほかにも軟式野球のボールや国産の消しゴムなどを次々に開発している。三田土ゴム、三田土ゴム工業、三田土ゴム製造と社名を変え[10][11]、昭和護謨(現・昭和ゴム工業)に吸収合併された1945年(昭和20年)以降は、合併後の社名で事業を続けており[10][12]、これにはソフトテニスボールの生産も含まれる。ただ、生産拠点は千葉県柏市へ移している。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 日本でも「ローンテニス」という語はクラブやスクールなどの名称としては用例が非常に多く、それ以外での用例は少ない。
^ 角の丸い長方形の2枚のフェルトに後工程で覆われることになる中身の話。
^ “亜硝酸アンモニウム”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ 詳しくは、東京府東京市浅草区神吉町15番地、現在の東京都台東区東上野5丁目15番地。
^ 件のゴム製造会社のこの時点での社名は資料によってまちまちであるため、混乱しがちではあるが、社名の変遷を調べ上げた結果、「三田土」と判断した。

出典^ a b 小学館『精選版 日本国語大辞典』、ほか. “ローンテニス”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ a b “硬球”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、ほか. “ソフトテニス”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ 小学館『デジタル大辞泉』、ほか. “軟式テニス”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “軟式庭球”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ “軟球”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ ITF approved tennis balls,Classified Surfaces & Recognised Courts - A Guide to Products & Test Methods, 2012, International Tennis Federation. ⇒[1]. Retrieved on 2012-10-20.
^ a b c d e f g 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』. “日本のテニス - テニス”. コトバンク. 2019年8月21日閲覧。
^ a b 加藤進一(加藤事務所代表取締役社長)「日本のゴム産業はどこから始まったのか? - 連載コラム「ゴム業界の常識・非常識」(8)」『ゴム報知新聞』株式会社ポスティコーポレーション、2017年12月5日。2019年8月21日閲覧。
^ a b c d 「 ⇒三田土ゴム製造株式会社の昭和14年の広告」『ゴムタイムス』株式会社ゴムタイムス社、2013年5月13日。2019年8月21日閲覧。
^ a b 台東区役所 観光課. “日本ゴム工業発祥の地碑”. TAITOおでかけナビ(公式ウェブサイト). 台東区. 2019年8月21日閲覧。
^ “昭和ゴム株式会社”. イプロス製造業(公式ウェブサイト). 株式会社イプロス (2017年9月6日). 2019年8月21日閲覧。
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。:en:tennis ball ウィキメディア・コモンズには、テニスボールに関連するカテゴリがあります。
関連項目

テニス#用具
.mw-parser-output .asbox{position:relative;overflow:hidden}.mw-parser-output .asbox table{background:transparent}.mw-parser-output .asbox p{margin:0}.mw-parser-output .asbox p+p{margin-top:0.25em}.mw-parser-output .asbox{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox-note{font-size:90%}.mw-parser-output .asbox .navbar{position:absolute;top:-0.90em;right:1em;display:none}


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:32 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef