テクニカルダイビング
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テクニカルダイビングにおけるレックダイビング(wreck)は、沈没船(戦没船)など海底に沈んだ人工物の中に侵入することである。オーバーヘッド潜水においてアドバンスレックは、カバーンダイバーにあたる初心者コースである。
混合ガス潜水「混合ガス#潜水における混合ガス」も参照減圧中

人が水中を深く潜る場合の問題は、潜水中に吸気している空気内に存在する窒素がその水圧によって血中に入り込み、浮上時に水圧が低下する事によって窒素が血管内で膨張し血液の流れを止めてしまう、いわゆる潜水病・減圧症であり、そして、同様にして窒素が体に吸収される事により判断力の低下などが起こる、いわゆる窒素酔いである。ダイビングの際にこれら窒素の弊害やその他の弊害(酸素中毒など)を避けるため、潜水理論やその為の機材、そしてなにより特殊な吸気ガスを用いる潜水を混合ガス潜水という。
ナイトロックス

広義には窒素(nitrogen)-酸素(oxygen)の混合気体を指し、潜水における減圧症の発症可能性および窒素酔いの軽減と無減圧限界の延長を目的としている。一般には、酸素濃度を空気よりも高めた窒素-酸素混合気体(enriched air nitrox)を称してナイトロックス(nitrox)という。酸素濃度を高くすることでメリットを享受できる反面、同時に酸素中毒の危険性も高まるため最大潜水深度における酸素分圧が一定以下(通常140kPa、最大160kPa)になるよう酸素濃度を制限しなければならない。

ナイトロックスの表記としては、例えば酸素40%、窒素60%の場合は「ナイトロックス40」「EAN40」と記述される。

レクリェーショナルダイビングにおいてもスペシャルティーダイバーとしてナイトロックスは取り入れられている為、単一のナイトロックスによる潜水やナイトロックスによる無減圧潜水をテクニカルダイビングと呼ばない傾向にある。
ヘリオックス

ヘリウム(helium)-酸素(oxygen)の混合ガスを指す。ヘリウムは窒素と比較してはるかに麻酔作用が小さく、空気のように窒素中毒を起こすことがない一方、

分子量が小さく、身体組織への吸収排出が窒素に比べて速いため、ガス中に含まれるヘリウム量に応じた特殊な減圧表が必要とされる。

粘度が空気に比べてはるかに低いため、ヘリオックス中では声帯が高周波で振動してしまい、呼吸中の声が甲高く聞き取りにくい、いわゆるドナルドダック・ボイスに変化する。

熱伝導が空気に比べて高いため、体温が奪われて低体温症になる可能性が高まる。

ヘリウムが高価である。

痙攣を起こす高圧神経症候群を引き起こす可能性がある。(130m以深)

等の欠点がある。通常、分圧320kPa以下であれば、呼吸ガスに窒素が含まれていても何ら問題はないため、一般にはこれら欠点の緩和を目的に、下記のトライミックスが用いられる場合が多い。
トライミックスステージボトルを装備するダイバー

トリミックスとも言う。意味的には三種類の気体の混合ガスをさすが、ダイビングにおいては通常はヘリウム-窒素-酸素の混合ガスを指す。呼吸ガス中の酸素、窒素の分圧を低下させることで、酸素中毒、窒素中毒の低減に効果がある。ダイビングにおいては一般に、酸素分率xx%、ヘリウム分率yy%を用い「トライミックスxx/yy」のように組成を表記する。例えば酸素10%、ヘリウム50%、窒素40%の場合は「トライミックス10/50」と表記される。空気では窒素中毒の問題が発生し(窒素分圧320kPa以上)、かつ上記のナイトロックスでは酸素中毒の問題が発生する(酸素分圧160kPa以上)、すなわち呼吸ガス圧320kPa+160kPa=480kPa以上(水深48m以深)での潜水に用いられる。なお、ヘリオックスやトライミックスは、必然的に酸素を少なくした混合比としている事がほとんどであり、低深度での呼吸ガスとして用いた場合酸素欠乏症になる危険性が高いことから、低深度用として少なくとももう1種の呼吸ガスを用意(携行ないし潜水ルート上に準備)する必要がある。
減圧潜水

目的の潜水を終了し浮上する際に、様々な混合ガスや純酸素を用いて減圧を行う潜水を示す。多くの場合、ナイトロックス(酸素50%以上のものを含む)や純酸素を併用して減圧を行う。

IANTDPSALevelANDITDIDSAT(PADI)LevelGUEPTA
Deep Diver GASComplete SafeAir UserAdvanced EAN DiverTec Diver1GASTechnical Diver1Decompression
Advanced EAN Diver 
 DecTechnical SafeAir DiverDecompression ProceduresTec Deep DiverDec
Technical Diver Extended Range DiverExtend Range DiverTechnical Diver2
Normoxic Trimix Diver TrimixTechnical Tri-Mix DiverEntry Trimix DiverTec Trimix DiverTrimixTechnical Air
Trimix Diver Intermediate Tri-Mix DiverAdvanced Trimix DiverTechnical Diver3Technical Trimix
 Tri-Mix DiverExtended Technical

特殊器材インスピレーション改

テクニカルダイビングにおいて、装備する器材はトラブル時の置き換えや堅牢さなどの安全性とともに効率性が考慮される。

マニフォルド・ダブルタンクやサイドマウントなど二系統の呼吸源

バックプレート、ハーネスとブラダによる浮力調整装置(BC)

キャニスタライトを用いた長時間照明器具、および非常時のバックアップ照明

リールやスプール、サーフェースマーカー(水上位置表示浮き)、リフトバック

幅が広く短いフィン(スクーバプロジェットフィンなど)

これらの器材に、ケイブ、レック、ディープなど環境や目的に合わせて器材コンフィギュレーションを変更して使用する。
リブリーザーCCRリブリーザダイバー

呼吸排気から二酸化炭素を取り除き、酸素を補って再利用する循環式呼吸装置のことで、よくあるスクーバタンクの代わりになるもの。閉鎖式(CCR:Closed Circuit Rebreather)と、常時一定量(呼吸によって消費される酸素量の何倍かの酸素を含む)混合気体を供給し、余剰のガスは外部に放出する半閉鎖式(SCR:Semi-Closed Rebreather)がある。詳しくは、ダイビング器材を参照。
日本のテクニカルダイビング事情
導入

90年代前半、
洞窟探検家が洞窟内の地底湖を調査する目的で導入した。90年代後半、プロショップによりTDI導入、器材メーカーの販売促進目的でANDIとIANTDを導入。

テクニカルダイビング関連事故

インスピレーションCCRリブリーザー初心者の単独潜水による行方不明[
要出典]。(沖縄県)

インスピレーションCCRリブリーザー初心者にフリーダイビングサポートをさせ行方不明[要出典]。(静岡県)

関連項目

洞窟潜水

スクーバダイビング

ダイビング器材

大気圧潜水服


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