ティラノサウルス
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ブラウンは1902年にモンタナ州で3つ目の化石も発見し、同年の夏にオズボーンによりティラノサウルス・レックスとして記載された[11]。ディナモサウルスとティラノサウルスはオズボーンが1905年に発表した同じ論文の中で記載・命名された。翌1906年にオズボーンは両者が実は同種であったとしてティラノサウルス・レックスに統一したが、その際ディナモサウルスではなくティラノサウルスが有効名とされたのは、たまたま論文中で先に書かれていたのがティラノサウルスであった[12]ためである。1900年に発見された元ディナモサウルスはイギリスロンドン自然史博物館に、1902年に発見されたティラノサウルスの模式標本は現在、米国はペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギー自然史博物館にて保管されている。

1917年にオズボーンはマノスポンディルスとティラノサウルスに共通する特徴を見出し、それ以後は両者が同一視されるようになった。ただし発見されていたマノスポンディルスは一例のみで、標本はきわめて部分的であったため、オズボーン自身はそれらが同一種であると結論付けたわけではない(後述するように、この時点でもし同一種だと認められていたならば「ティラノサウルス」の代わりに「マノスポンディルス」が有効な名前になっていたはずである)。フィールド自然史博物館にて展示されているスー

1990年8月12日、サウスダコタ州で非常に保存状態の良いティラノサウルスの全身骨格化石が発見された。この標本は発見者のスーザン・ヘンドリクソン(英語版))にちなんで「スー」(Sue)と名付けられた。しかしスーの標本は発掘者のピーター・ラーソン博士と地主との間で所有権を巡る裁判に発展し、連邦捜査局が強引にラーソン博士の保有していたスーを押収した。その後国が一時保管した後、スーはオークションにより日本円にして約10億円という高額で落札されたことでも話題を呼んだ。現在、米国イリノイ州シカゴ市にあるフィールド自然史博物館にて展示されている(標本番号:FMNH PR2081)。

1996年、ティラノサウルス科の恐竜のものと考えられる歯の化石が日本で初めて福井県で発見された。これは白亜紀前期の地層からの発見であり、中国でも世界最古のティラノサウルス科の化石が産出していることから、ティラノサウルス科のアジア起源説も主張されている[13]

2000年6月、米国サウスダコタ州のかつてマノスポンディルスが発見された場所から、ティラノサウルスの化石が発掘された。この化石は1892年に発見された化石と同一個体のもの(掘り残し)と考えられ、マノスポンディルスとティラノサウルスが同一種であることが実際に確認されることとなったが、そこでコープの命名した「マノスポンディルス・ギガス」という名前の方に優先権があるのではないかという論争が生じた。しかし、2000年1月1日に発効された国際動物命名規約第4版[14][リンク切れ]に定められた規定により、動物命名法国際審議会が強権を発動して学名 Tyrannosaurus を「保全名」としたため、名称の交代が行われることはなかった[15][リンク切れ]。

2007年4月、ノースカロライナ州立大学などの研究チームは、ティラノサウルスの骨のタンパク質を分析した結果、アミノ酸配列的にニワトリに近いという結果を得たと発表した[16][17][18]
系統分類
シノニム

本種のシノニム(異名)を記載年の古いものから記す。左から、学術名、仮名転写、特記事項。

Manospondylus Cope1892 マノスポンディルス

Dynamosaurus Osborn1905 ディナモサウルス

? Nanotyrannus Bakker, Williams et Currie, 1988 ナノティラヌス
:ティラノサウルス属の幼体とされているが、極めて近縁の別属である可能性が残る。[注 3]

Dinotyrannus Olshevsky, 1995 ディノティラヌス

Stygivenator Olshevsky, 1995 スティギヴェナトル(スティギウェナトール)

分類学的位置付けティラノサウルスの近縁種であるタルボサウルスの頭骨

恐竜類 dinosauria

竜盤類 Saurischia

獣脚類 Theropoda

テタヌラ類 Tetanurae

コエルロサウルス類 Coelurosauria

ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea

ティラノサウルス科 Tyrannosauridae

ティラノサウルス亜科 Tyrannosaurinae

ティラノサウルス族 Tyrannosaurini

† ティラノサウルス属 Tyrannosaurus









以下の系統図は、Vorisらによって実行された2020年の系統解析に基づく[22]。.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green}

エウティラノサウルス類

ドリプトサウルス

アパラチオサウルス

ビスタヒエヴェルソル

ティラノサウルス科

アルバートサウルス亜科

ゴルゴサウルス

アルバートサウルス



ティラノサウルス亜科

アリオラムス族

キアンゾウサウルス

アリオラムス・レモトゥス

アリオラムス・アルタイ





テラトフォネウス

ディナモテラー

リトロナクス



ナヌークサウルス

ダスプレトサウルス族


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