ティムール
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1383年にヘラートの住民がティムール朝の徴税人を襲撃すると、見せしめとして王子ミーラーン・シャーによる虐殺が行われる[90]。反乱の責任はサマルカンドに連行されていたギヤースッディーンをはじめとするクルト朝の王族にものしかかり、彼らは処刑された[91][90]。ギヤースッディーンらの死によって、1383年にクルト朝は滅亡した[92]

ティムールはさらにホラーサーンの西に進み、同1381年にサブゼヴァール(英語版)に存在したサルバダール政権(英語版)(サルバダール運動 - 英語: Sarbedaran movement)を臣従させる。サルバダール政権の指導者アリー・ムアイヤドはティムールに忠誠を尽くすが1386年に戦死[90]、アリー・ムアイヤドを失ったサルバダール政権は影響力を失う[93]マーザンダラーンの支配者アミール・ワーリー、ケラスとトゥースの支配者アリー・ベクはティムールに反抗したが、いずれも滅ぼされた。

1383年にスィースターン、1384年初頭にカンダハルを征服し、アフガニスタン全域がティムール朝の支配下に入った[94]。1385年にイラクに存在したモンゴル系国家ジャライル朝の首都ソルターニーイェを占領、同年にマーザンダラーンを制圧した後にティムールはサマルカンドに帰還した。

帰国後およそ1年の間、ティムールは内政と軍備の増強に力を注いだ[95]
三年戦役

1386年より、ジョチ・ウルスの拡大を牽制することを目的とした、「三年戦役」の名で知られる西アジアへの遠征事業が始められる[92]

1386年にティムールはタブリーズを攻略するが、タブリーズはすでにトクタミシュによって破壊されていた[96]。ジャライル朝が支配するアゼルバイジャンを支配下に加え、グルジア王国の首都ティフリスを攻撃するが、頑強な抵抗に遭って攻略には至らなかった(ティムールのグルジア侵攻(英語版))。翌1387年にティムールはシリア北部のマラティヤ、アナトリア東部のスィヴァスに進出した。中東各地の地方政権の君主と領主はティムールのコーカサス侵入をエジプトマムルーク朝に報告しており[97]、ティムールから降伏勧告を受けたスィヴァスのエルテナ侯国(英語版)の君主ブルハネッディン(英語版)(アラビア語: ???? ????? ?????‎ 転写: Qa?i Burhan al-din)は、マムルーク朝とオスマン帝国に助けを求める。この時にマムルーク軍がシリア北部に派遣されるが、ティムール軍とマムルーク軍が直接戦闘することは無かった[98]

1386年から1387年にかけての冬、ティムール軍の先遣隊はダゲスタンでトクタミシュの軍隊に遭遇する[96]。両軍は交戦するが、勝敗が決しないうちにトクタミシュは退却し、コーカサスの北に引き上げた。この背信行為にもかかわらず、ティムールはトクタミシュに寛大に接し、彼に兵糧と共に和解を提案する書簡を送った[96]。しかし、トクタミシュにとってはティムールの温情は屈辱でしかなく、ティムールを攻撃するための準備に取り掛かった[99]

1387年、ティムールはロレスターンを拠点とする強盗団の討伐隊を自ら指揮し、捕らえた賊徒を断崖から突き落とした[100]。さらにティムール軍はヴァン湖畔の要塞を制圧してアルメニアを征服、キリスト教徒である要塞の守備兵を断崖から突き落として処刑した[100]。また、ヴァン湖近辺で遊牧生活を営むトゥルクマーン系の国家黒羊朝に対しては、ミーラーン・シャーが率いる軍隊が派遣された。黒羊朝の君主カラ・ムハンマド(アゼルバイジャン語版)はミーラーン・シャーに対してゲリラ戦を展開したが、抵抗は長く続かなかった[100]

1387年にティムールはイルハン朝の旧領に成立したムザッファル朝の領土に進攻、エスファハーンを占領し、ムザッファル朝の首都シーラーズを略奪した。占領地のエスファハーンの住民がティムール軍の兵士と徴税人を殺害したために、見せしめとして殺戮が行われた[101]。決められた数の首を持ってくるように命令された兵士によって70,000人の首が集められ、それを積み重ねた塔が建てられた[101][102]。ティムールはムザッファル朝君主シャー・シュジャーの甥シャー・ヤフヤーを傀儡の君主に据えて、属領とした[103]

1380年代中頃にペルシア東部がティムール朝の支配下に入る[89]
トクタミシュとの戦い詳細は「トクタミシュ・ティムール戦争(英語版)」を参照ティムールとトクタミシュの戦闘

1388年春にトクタミシュが本拠地のマー・ワラー・アンナフルに侵入したため、ティムールはやむなく西アジア方面での軍事活動を中断して中央アジアに帰還する[104]


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