ツルマメ
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葉の縁はなめらかで、大きさは長さ3.5 - 6.0 cm、幅1.5 - 2.5 cmほどで[4]、葉の表面と裏面には、いずれも毛が存在する[5]。小葉の基部には小托葉が有り、狭披針形で黄色く柔らかい毛が見られる[5]

花期は夏から秋の7月から9月で[4]葉腋(ようえき)から房状花序を出して、長さ6 mm前後の蝶形をした赤紫色の花が3個か4個つき、稀に白い花の場合も有る[2](がく)はツリガネ形で5裂し、黄褐色の細かい毛が密生する。花は2枚の花弁と、それより小さい2枚の淡紫色の花弁からなる。花弁のうち旗弁の中央部分は、凹んだ形状をしている[5]雄しべは10本で、下側の9本が下部で癒着して一体となる[2]

果実は、秋にダイズによく似た長さ2 - 3 cmほどの豆果をつけ、黄褐色の粗い毛を密につける[2][3]。莢(さや)の中に2個から4個の平たい種子が入っており、食用にもできる[5]。染色体数は2n=40[4]
利用

ツルマメはダイズの近縁であり、ダイズの原種と考えられいる[2]。古代よりヒトが栽培し、さらに品種改良した物がダイズになったと言われる[1]。ツルマメは品種改良されていないため、莢の成熟が不揃いであるなど農業的な特性はダイズに大きく劣る[6]。ツルマメはダイズとの交雑が可能であることが知られており、ダイズの子実成分、耐病性等についての改良を目的に、さまざまな特徴を持ったツルマメの系統がダイズの品種改良に利用された[7]事例がある。だが、一般にはダイズとの間の雑種には蔓化、割莢等のツルマメ由来の不良形質が発現し、ダイズとの戻し交雑による不良形質除去が容易ではないため、遺伝資源としての利用には一定の困難が伴う[8]

今までに、種子中の貯蔵タンパク質含有量を増加させる遺伝子を持った系統[9]や、種子中の抗酸化作用を有すると言われるグループAサポニンの多い系統[10]などが発見された。しかし、種子中のイソフラボン含有量はダイズに劣る[6]

栽培ダイズを始めとするダイズ属やササゲ属の種子に由来する植物圧痕の存在が、縄文時代前期から中期の土器において近年確認され、考古学的には注目されている。なかでも、2009年には山梨県北杜市長坂町酒呑場遺跡から縄文前期のツルマメ種子圧跡が確認され、縄文前期から利用された可能性が考えられている[11]
ギャラリー





果実

他の植物に巻きついて生育するツルマメ

出典^ a b c 谷川栄子 2015, p. 54.
^ a b c d e f g h 内藤俊彦 1995.
^ a b c 山田孝彦 & 山津京子 2013.
^ a b c d Flora of China Vol.10 p.251
^ a b c d 谷川栄子 2015, p. 55.
^ a b 境哲文 , 菊池彰夫 , 島田尚典 , 高田吉丈 , 河野雄飛 , 島田信二「ダイズ子実中のイソフラボン含量および組成の品種・系統間差異と子実特性および播種時期との関係(品質・加工)」日本作物學會紀事 74(2), p.156-164
^ 王克晶、高畑義人、海妻矩彦(2002)「中国におけるダイズ野生祖先種ツルマメ(Glycine soja)遺伝資源の状況およびその利用」農業および園戟B


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