日本原産。日本では北海道南西部、本州、四国、九州、南西諸島[14]、日本国外では朝鮮半島南部と中国、台湾が知られる[10]。本州中北部にはごく近縁のユキツバキがあるが、ツバキは海岸沿いに青森県まで自然分布し[17]、ユキツバキはより内陸標高の高い位置にあって住み分ける。主に海沿いや山地に自生する[12][18]。北海道の南西部(松前)でも、各所の寺院や住宅に植栽されたものを見ることができる[17]。自生北限は、青森県津軽郡平内町の夏泊半島で、椿山と呼ばれる1万株に及ぶ群落は、天然記念物に指定されている[17]。 常緑性の低木から小高木で[18]、普通は高さ5 - 10メートル (m) 前後になり[12]、高いものでは樹高15 mにもなる[19]。ただしその成長は遅く[18]、寿命は長い。樹皮は黄褐色や淡灰褐色でなめらかであり[20]、灰白色の模様があり[21][14]、時に細かな突起がまばらに出る。枝はよく分かれて茂る[13]。若い枝は褐色で無毛である[20]。冬芽は互生する葉の付け根にでき、花芽は丸くて大きく、葉芽は小さな長楕円形で細く先端はとがり、円頭の鱗片が折り重なる[20]。鱗片の外側には細かい伏せた毛がある。鱗片は枝が伸びると脱落する。 葉は互生し、長さ5 - 12センチメートル (cm) 、幅4 cmほどの楕円形から長楕円形で、先端は短く尖り、基部は広いくさび形[11][19]、葉縁には細かい鋸歯が並ぶ[13]。葉質は厚くて固く、表面は濃緑色でつやがあり、裏面はやや色が薄い緑色で、葉身・葉柄ともに無毛である[11][19]。 花期は冬から春(2月 - 4月)で[22]、早咲きのものは冬さなかに咲く。花は紅色あるいは紅紫色の5弁花で、枝の先の葉腋から1個ずつ下向きに咲かせる[12][13][22]。花弁は長さ3 - 5 cmで半開きに筒状に咲き、平らには開かない[11][22]。1枚ごとに独立した離弁花だが、5枚の花弁と多くの花糸のつけ根が合着した筒形になっていて、散るときは花弁と雄しべが一緒に落花する[14][19]。 果実は球形で、9 - 11月に熟し[23][22]、実が3つに裂開して、中から2 - 3個の黒褐色の種子が出てくる[12][14]。
形態・生態