ツァラトゥストラはこう語った_(交響詩)
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展開の頂点においてトロンボーンに減五度音程が印象的な “懈怠の動機” が提示されると、徐々に音楽は静まっていく。
Das Grablied(墓場の歌)
「喜びと情熱について」と共通の動機を扱うが、そちらとは異なりしめやかな雰囲気を持つ。弦楽パートの各首席奏者がソロで扱われる書法が試みられている。
Von der Wissenschaft(学問について)
“自然の動機” をもとにした12音全てを含む主題による、低音でうごめくようなフーガ。それが次第に盛り上がると、高音を中心とした響きになり “舞踏の動機” が提示される。“自然の動機” と “懈怠の動機” による経過句が高まり、次の部分に移行する。
Der Genesende(病より癒え行く者)
「学問について」と共通の主題によるフーガがエネルギッシュに展開される。徐々に “懈怠の動機” が支配的になると、“自然の動機” が総奏で屹立し、ゲネラルパウゼとなる。“懈怠の動機” “憧憬の動機” による経過句を経て、トランペットによる哄笑や、小クラリネットによる “懈怠の動機” などが交錯する諧謔的な部分に入る。“舞踏の動機” や “憧憬の動機” を中心にクライマックスが形成されると、フルート・クラリネットによる鈴の音が残り、次の部分に移行する。
Das Tanzlied(舞踏の歌)
全曲の約3分の1を占める部分であり、ワルツのリズムを基調に、全曲における再現部の役割も果たす。独奏ヴァイオリンが非常に活躍する場面でもある。弦楽(ここでも執拗に分割される)を中心にしたワルツに始まり、“自然の動機”、「世界の背後を説く者」のコラール、“舞踏の動機”、「喜びと情熱について」の諸動機が次々と再現される。その後は、既出の動機が複雑に交錯する展開部となり、壮麗なクライマックスを築く。
Nachtwandlerlied(夜の流離い人の歌)
真夜中(12時)を告げる鐘が鳴り響くなか、「舞踏の歌」のクライマックスが “懈怠の動機” を中心に解体されていく。音楽がロ長調に落ち着くと、「大いなる憧れについて」や「学問について」で提示された旋律が極めて遅いテンポで再現される。終結では、高音のロ長調の和音(「人間」)と低音のハ音(「自然」)が対置され、両者が決して交わらないことを象徴する。
編成

オルガンを含む4管編成。100名必要。弦パートは細かく分割され、プルト毎に分かれている箇所が多いのが特徴。

編成表木管金管
Fl.3 (kl.Fl.1), kl.Fl.1Hr.6Timp.Vn.116
Ob.3, e-H.1Trp.4他gr.Tr., Beck., Tgl., Glsp., Glck.(低E音)Vn.216
Cl.2, Es-Kl.1, Bkl.Trb.3Va.12
Fg.3, Kfg.1Tub.2Vc.12
他他Cb.8
その他Org., Hf.

冒頭部分について

冒頭部のオルガンの低音は、LPレコード時代には録音技術者泣かせとして知られる一方、優秀録音盤がしばしばオーディオ機器のデモンストレーションに用いられた。
2001年宇宙の旅2001年宇宙の旅』予告編での使用

映画『2001年宇宙の旅』で、月・地球・太陽が直列するメインタイトルと、ヒトザルが骨を武器にすることに目覚める場面で第1部「導入部」が使われていることは非常によく知られている(そのあと、他の群れのボスザルを骨で殴って殺す場面へとつながる)。冒頭シーンを模倣し、日食などの天体現象を図案化したデザインがレコード・CDジャケットで多用されるほど、この映画が楽曲に与えた影響は強い。使用された演奏は、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるデッカ盤だった。ウィーン・フィルとの共演を望み、デッカの録音技術に惚れ込んでいたというカラヤンが、それまで専属だったEMIと並行する形で契約した最初の録音である(ウィーン・フィルがデッカ専属だったため。また同時期にドイツ・グラモフォンとの録音も本格的に開始している)。映画で使用された冒頭部最後のパイプオルガンの和音は、録音会場となったウィーンのゾフィエンザールにオルガンが無かったため、郊外の小さな教会で収録しミキシングされた。キューブリック監督からの使用申請に対し、デッカの経営陣が指揮者・演奏団体を表記しないことを条件にしたため、映画が成功すると競合他社も争うようにこの曲のレコードを発売し、デッカは大変な損失を被った。カラヤンもデッカと製作会社MGMの告訴を検討したほどであった。最初に発売されたサウンドトラック盤にも、映画とはまったく違うカール・ベーム指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の録音が収録されていた(そのため、この演奏が映画でも用いられているという誤情報も一部流布した)が、最新のサウンドトラックCD (EMI、のちSONY) にはカラヤン指揮のデッカ録音があらためて収録されている(ただし、ジャケットには、英文表記ではVienna Philharmonicとなっているのに、日本語表記では「ベルリン・フィル」と誤記されているので、要注意)。

上記場面のパロディとして作られた『メル・ブルックス/珍説世界史PARTI』の該当シーンや、『バービー』の冒頭にも使われている。
その他の使用例

日本では『2001年宇宙の旅』公開より遥か前の1943年日本ニュース第179号において大東亜会議開幕のシーンでこの曲を使用していた。日本ニュースではこの曲を使っている場面がいくつか見られる。

この部分は、プロレス界ではリック・フレアーのテーマ曲として世界的に知られている(日本ではボブ・サップのテーマ曲)。リック・フレアーの娘であるシャーロット・フレアーのテーマ曲にもアレンジした形で使われている。

ポピュラー音楽では、1970年代のエルヴィス・プレスリーの公演のオープニングにしばしば使用されており、日本でも寺内タケシとブルージーンズがステージのオープニングに時折使用した他、1985年嘉門達夫がリリースした『アホが見るブタのケツ』の冒頭部にも使用されている。「ビバ・エルビス」では本曲に「ザッツ・オーライト」などの掛け声や笑い声、ウッド・ベースや様々な曲のドラムをミックスし、ファンの掛け声や喚声、ラジオDJの言葉やエルビスを紹介するエド・サリヴァンらの声をサプリングしてオープニングに使用している。

1972年ブラジル出身のジャズ・キーボード奏者 / アレンジャー、デオダートのアレンジによるクロスオーバー作品も、ポップスとしてヒットした。同様のアレンジは他にパーシー・フェイスディープ・パープルも行っている。

高校野球の応援歌としてもPL学園高校が使用している。
外部リンク

ツァラトゥストラはこう語った 作品30
の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト










リヒャルト・シュトラウス標題管弦楽作品
交響詩

マクベス - ドン・ファン - 死と変容 - ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら - ツァラトゥストラはこう語った - ドン・キホーテ - 英雄の生涯 - ドナウ(未完)
標題付き交響曲

家庭交響曲 - アルプス交響曲
その他

イタリアから

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