チン・シウトン
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翌年の香港電影金像奨では『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』で最優秀監督賞にノミネートされる。この作品は国内外でヒットを記録し、身体をキリ揉みさせながら瞬時に舞い上がるといったシウトン監督の斬新で卓越したワイヤーワークは人気を博した。当時はまだデジタル技術がなく、ワイヤー隠しに現場で細かい工夫を凝らしており、1ショットで撮影出来る動きも短いため必然的にカットを細かく割ることになる。しかしかえってその手法が、武術家ではない俳優や女優を達人に見せることができるという効果を生んだ[7]。一方で、ジャッキー・チェンサモ・ハン・キンポーなどが危険なスタントで格闘シーン撮影に長い時間をかけていた時代である[8]。そこへテレビ時代に培ったアイディアと臨機応変さを多用、スタントダブルを大胆に起用し[注 2]、豪快でありながら舞うように美しいアクションをより短いスケジュールで完成させることを可能にしたシウトンのワイヤーアクションは一躍時代の流行となる[7]

その後は、自身の監督作以外でもツイ・ハークやジョン・ウー、ジョニー・トー、王晶(ウォン・ジン)といった監督とタッグを組み作品を量産する。1991年香港電影金像奨のアクション設計賞では、チン・シウトンが4つのノミネート中3作品で選出されるという異例の事態のなか[注 3]、『スウォーズマン 剣士列伝』で受賞している[9]

2003年にはチャン・イーモウが監督した『HERO』でアクション監督を担当し、香港金像奨でアクション設計賞を獲得。「ワイヤーワークの神様」[10] ともThe master of wire fu(ワイヤーマスター)[11]とも称され、中華圏だけでなくスティーヴン・セガール主演の『沈黙の聖戦』の監督やジェイソン・ステイサムの『デス・リベンジ』、日本映画『どろろ』、インド映画など、活動の場を広げた。

また、2008年に開催された北京オリンピックでは、開会式および閉会式のチーフディレクターであるチャン・イーモウのもと、開会式の空中アクションの設計を担当している[3]
主な作品
監督作品

1983年

妖刀・斬首剣
(兼アクション監督)

1986年

サイキックSFX/魔界戦士(兼アクション監督)

1987年

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー(兼アクション監督)

1989年

テラコッタ・ウォリア 秦俑(兼アクション監督)

1990年

スウォーズマン 剣士列伝(兼アクション監督)

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2(兼アクション監督)

1991年

レイド(兼アクション監督)

チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3(兼アクション監督)

1992年

スウォーズマン 女神伝説の章(兼アクション監督)

1993年

ワンダー・ガールズ 東方三侠(兼アクション監督)

ワンダー・ガールズ 東方三侠2(兼アクション監督)

スウォーズマン 女神復活の章(兼アクション監督)

1994年

ファントム・セブン 香港機動警察(兼アクション監督)

1996年

冒険王(兼アクション監督)

2000年

ゴッド・ギャンブラー 東京極道賭博(兼アクション監督)

2002年

レディ・ウェポン(兼アクション監督)


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