コリン・グローヴズは、ブルンジ、ルワンダ、タンザニア、ウガンダの個体群がケナガチンパンジー(ヒガシチンパンジー)と異なる亜種 Pan troglodytes marungensis であると主張している[19]。 熱帯雨林から山地林・サバンナなどに生息する[4]。樹上棲だが、地表では前肢の指関節外側を接地して四足歩行(ナックルウォーク)する[4]。昼行性[4]。夜間になると樹上に日ごとに新しく寝床を作って休むが、同じ寝床を再利用したり地表に寝床を作ることもある[4]。10 - 20平方キロメートルの行動圏内で生活するが、乾燥した地域では行動圏が数百平方キロメートルに達することもある[4]。 複数の雌雄が含まれる19 - 106頭の群れを形成し、群れは集合離散を繰り返す[4]。オスは産まれた群れに留まる傾向が強いが、性成熟したメスは産まれた群れを離れて別の群れに移籍することが多い[4]。群れ間の関係は敵対的で、血縁関係のあるオスが協力して他の群れの行動圏にのりこみ殺し合いになることもある[4]。子殺しも報告されており、オスの幼獣が殺されることが多く殺された幼獣は同じ群れのメンバーによって食べられてしまう[4]。 蟻塚に棒を差込みシロアリを捕食する、石や倒木を使って堅い果実の殻を割る、木の葉を使って樹洞に溜まった水を飲む、木の葉を噛みちぎる音を使って求愛するなど様々な用途で道具を使う[4]。これらの道具および行動には地域変異があり、文化的行動と考えられている[4]。一例としてコンゴ共和国でのカメラトラップ法による調査では、穴を空けるための棒と釣るための棒を用いてシロアリを捕食する・雨避けに葉を用いるなど、22種類にわたる道具の使用が報告されている[16]。セネガルでは棒を使って、ショウガラゴ類を狩った複数の観察例もある(22例のうち1例のみで狩りに成功している)[16]。たとえば、ウガンダの森に棲むものは、日常的に木の枝を使ってサスライアリなどを捕食することが報告されている[20]。 西アフリカや中央アフリカなど大型肉食獣による捕食の脅威がある地域では、捕食者に対抗するため、協力行動が発展し社会構造にも影響するとの説がある[21]。2013年には東アフリカでもヒョウによるチンパンジーの捕食が初めて確認された[21]。 食性は雑食で、主に果実を食べるが種子、花、葉、樹皮、蜂蜜、昆虫、イノシシ類・サル・ダイカー類・ハイラックス類・リス類などの小型から中型哺乳類なども食べる[4]。サルをオスが集団で協力して、狩猟することもある[5]。食物を分配することがあり、特に肉は分配されることが多い[4]。母子間では食物分配がよく見られる。捕食者として前述したヒョウが挙げられ、ライオンやワニ類に捕食された例もある[6]。 繁殖様式は胎生。野生下での妊娠期間は207 - 259日、飼育下では202 - 261日という報告例がある[6]。生後8 - 11年で性成熟し、生後14 - 15年で初産を迎える[4]。生後10年以下で産むこともあるが、メスが別の群れに移籍することから通常は性成熟から初産までに間隔がある[22]。
生態