チンパンジー
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成長に伴う、額のはげ上がりが顕著[5]。成長に伴い顔に黒い斑点が入り、顔全体が黒くなる[5]
Pan troglodytes ellioti (Matschie, 1914) ナイジェリアチンパンジー[17] Nigeria-Cameroon chimpanzee
カメルーン、ナイジェリア[3]1997年にミトコンドリアDNAコントロール領域の分子系統推定から、カメルーンとナイジェリアの国境周辺の個体群に対しシノニムとされていた P. vellerosus を復活させて亜種とする説が提唱された。P. t. vellerosus の模式標本の産地はカメルーン山とされていたが、後の調査から模式標本の採集人がカメルーンを訪れておらずガボンを訪れていたことが判明した[18]。そのため P. t. vellerosus の模式標本となった個体はガボン産で、基亜種のシノニムとする説が提唱された[18]。これにともないカメルーンとナイジェリアの国境周辺の亜種は未記載の亜種となったが、2008年にこれらに対応した学名として P. t. ellioti をあてる説が提唱された[18]
Pan troglodytes schweinfurthii (Giglioli, 1872) ケナガチンパンジー[4][5]、ヒガシチンパンジー[8] Eastern chimpanzee
ウガンダ西部、コンゴ民主共和国北部および東部、タンザニア西部、中央アフリカ共和国東部、ブルンジ、南スーダン南西部、ルワンダ胴体や四肢の皮膚が赤褐色[5]。体毛が長く、顔が細長い[5]。成長に伴い顔が赤褐色になり、顔全体が灰黒色になる[5]
Pan troglodytes verus Schwartz, 1934 ニシチンパンジー[8]、マスクチンパンジー[4][5] Western chimpanzee[3]
ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、シエラレオネ、セネガル南部、マリ共和国南西部、リベリア成長に伴い顔上部が蝶状に黒くなり、顔全体が黒くなる[5]

コリン・グローヴズは、ブルンジ、ルワンダ、タンザニア、ウガンダの個体群がケナガチンパンジー(ヒガシチンパンジー)と異なる亜種 Pan troglodytes marungensis であると主張している[19]
生態

熱帯雨林から山地林・サバンナなどに生息する[4]。樹上棲だが、地表では前肢の指関節外側を接地して四足歩行(ナックルウォーク)する[4]昼行性[4]。夜間になると樹上に日ごとに新しく寝床を作って休むが、同じ寝床を再利用したり地表に寝床を作ることもある[4]。10 - 20平方キロメートルの行動圏内で生活するが、乾燥した地域では行動圏が数百平方キロメートルに達することもある[4]

複数の雌雄が含まれる19 - 106頭の群れを形成し、群れは集合離散を繰り返す[4]。オスは産まれた群れに留まる傾向が強いが、性成熟したメスは産まれた群れを離れて別の群れに移籍することが多い[4]。群れ間の関係は敵対的で、血縁関係のあるオスが協力して他の群れの行動圏にのりこみ殺し合いになることもある[4]子殺しも報告されており、オスの幼獣が殺されることが多く殺された幼獣は同じ群れのメンバーによって食べられてしまう[4]

蟻塚に棒を差込みシロアリを捕食する、石や倒木を使って堅い果実の殻を割る、木の葉を使って樹洞に溜まった水を飲む、木の葉を噛みちぎる音を使って求愛するなど様々な用途で道具を使う[4]。これらの道具および行動には地域変異があり、文化的行動と考えられている[4]。一例としてコンゴ共和国でのカメラトラップ法による調査では、穴を空けるための棒と釣るための棒を用いてシロアリを捕食する・雨避けに葉を用いるなど、22種類にわたる道具の使用が報告されている[16]。セネガルでは棒を使って、ショウガラゴ類を狩った複数の観察例もある(22例のうち1例のみで狩りに成功している)[16]。たとえば、ウガンダの森に棲むものは、日常的に木の枝を使ってサスライアリなどを捕食することが報告されている[20]

西アフリカや中央アフリカなど大型肉食獣による捕食の脅威がある地域では、捕食者に対抗するため、協力行動が発展し社会構造にも影響するとの説がある[21]2013年には東アフリカでもヒョウによるチンパンジーの捕食が初めて確認された[21]

食性は雑食で、主に果実を食べるが種子、花、葉、樹皮、蜂蜜、昆虫、イノシシ類・サル・ダイカー類ハイラックス類リス類などの小型から中型哺乳類なども食べる[4]。サルをオスが集団で協力して、狩猟することもある[5]。食物を分配することがあり、特に肉は分配されることが多い[4]。母子間では食物分配がよく見られる。捕食者として前述したヒョウが挙げられ、ライオンやワニ類に捕食された例もある[6]

繁殖様式は胎生。野生下での妊娠期間は207 - 259日、飼育下では202 - 261日という報告例がある[6]。生後8 - 11年で性成熟し、生後14 - 15年で初産を迎える[4]。生後10年以下で産むこともあるが、メスが別の群れに移籍することから通常は性成熟から初産までに間隔がある[22]。日本での飼育下の長寿例として2019年時点では、神戸市立王子動物園で飼育され推定69歳で死亡したジョニーによる記録がある[23]
社会・行動・文化

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出典検索?: "チンパンジー" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2013年8月)

普段は、主に母子関係やオス間の同盟を元に構成される小さい集団(パーティ)に分かれて遊動する。特定のオスメス関係にもとづいた繁殖はせず、雌雄ともに複数の異性と交尾をする。そのため、産まれてくる子の父親は明らかでない。メスは成長すると出自群を出て他の集団に移動して繁殖する。これにより近親交配の回避をしていると考えられている。しかし第一子を出自群で生む例や、子供を連れた群間の移籍例など、例外も知られている。

チンパンジーには笑いがある。くすぐったり、追いかけ合ったりして笑い声を出す。ただし、テレビ番組でチンパンジーが芸などを披露する[注釈 2]際、歯を見せて笑っているように見えることがあるが、これは英語で「グリマス」 (grimace) と称される表情であり、チンパンジーが恐がっている時の顔である。

チンパンジーは乱婚で、優位のオスに交尾の機会が多いが、野生では下位のチンパンジーが「かけおち」することが観察されている。草陰に隠れていた気の弱いオスのところに、いつのまにか一頭の発情中のメスが寄り添っている。そして、一日、長い時は一週間以上も群れの中心から離れて遊動範囲の周縁へと「かけおち」する。時には、オスに手荒に叩かれたりしながらしぶしぶ「かけおち」するペアもいる。ニホンザルのDNA解析から、ボスよりも下位のオスの子孫の方が多かったという研究結果があることから、チンパンジーも同じようなことが予想されるが、まだ報告はされていない。交尾は一回10秒程度でメスの排卵日に一日5、6回し、オスは毛づくろいで機嫌をとるが交尾後は毛づくろいをしない[24]


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