名前はコンゴの方言、基亜種の名前チェゴは生息地での本種の呼称に由来する[5]。
森林伐採や開発による生息地の破壊、食用やペットにするための密猟、内戦による混乱などにより生息数は減少している[4][33]。エボラ出血熱、急性灰白髄炎や呼吸器系の疾患などによっても生息数が減少している[34]。一方、生息地でのチンパンジーの保護も行われ、人為的な保護区(保護施設)が作られている[33]。1975年のワシントン条約発効時にはワシントン条約附属書IIに掲載され、1977年にはチンパンジー属単位でワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]。
P. t. verus
CRITICALLY ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[3]
P. t. troglodytes、P. t. ellioti、P. t. schweinfurthii
ENDANGERED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[3]
日本では1921年に、イタリアのサーカス団によって渡来したのが初めての記録とされる[35]。1926年に動物商により2頭が渡来し、そのうち1頭が1927年に大阪市天王寺動物園で初めて飼育された(太郎)[35]。聞き取り調査や個体登録簿・飼育日誌などの文献調査から第二次世界大戦以前(1945年以前)は28頭(サーカスなど一時的ではなく飼育用に渡来したのは21頭)が飼育されていたと推定され、産地から主に亜種ケナガチンパンジーが輸入されていたと推定されている[35]。7頭は1年以内、9頭は5年以内に死亡し、1945年までに東山動物公園で飼育されていたバンブー(1955年に推定年齢14歳で死亡)を除いて死亡している[35]。1940年に繁殖例があるが死産となり、出産したメスも1941年に死亡している[35]。2019年に発表された大型類人猿ネットワークの1921 - 2018年までに飼育された821個体のデータから、日本で産まれた幼獣の生存年数の期待値(平均寿命)は28.3年とされる[23]。生後1年まで生存した個体であれば34.6年、成熟する生後12年まで生存した個体であれば約40年(オス41.5年、メス39.2年)までは生存できるという期待値が挙げられている[23]。1962年に福岡市動植物園が初めて飼育下繁殖、1982年に京都大学霊長類研究所が人工授精(動物園では1985年に恩賜上野動物園)、1998年に広島市安佐動物公園が死亡したオスの冷凍精子を用いた人工授精に成功した[36]。
チンパンジーは人間に近いため、動物実験によく用いられた。ポリオや、A型肝炎、B型肝炎のワクチン開発などに役立った[37]。もっとも多くのチンパンジーを飼育したのは米国である。しかし、20世紀の終わりごろから、チンパンジーを用いた動物実験は極力避けるべきだとの風潮が高まり[38]、21世紀になると、動物実験用のチンパンジーの飼育頭数が徐々に減っていき、米国でさえ、C型肝炎のワクチン開発と、がん性腫瘍の治療法開発に限って実験を行う方向に大きく舵を切った[39]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}動物実験から引退したチンパンジーは、野生復帰は難しいため、人為的な保護区で余生を送っている[要出典]。
アメリカの弁護士であり「非人間権利プロジェクト(Nonhuman Rights Project)」の代表も務めるスティーヴ・ワイズが「もし自分の好きなように人生を送ることができるだけの認知能力があるなら、そうする権利をもつべきです。どのような種に属しているかはまったく重要ではないはずです」という主張から彼が世話しているアメリカ在住の4匹のチンパンジーに「人」として法的人格が認められる権利を求めてアメリカの3つの裁判所で3つの訴訟を起こしたという事例も存在し、現在上告することを発表している[40]。ワイズは自身の主張を裏付けるために9人の専門家の協力を得て「チンパンジーの認知能力について今日知ることのできるすべての知識をまとめた200ページの文書」を用意し、その9人の専門家も法廷で証人を務める予定である[41]。 成獣のオスは、他の群れのチンパンジーを襲って殺すことがあるほど獰猛で攻撃的な一面を持っているため、猛獣と認識されている。腕力が強く、車のフロントガラスを素手で叩き割ることができると言われる。成獣の握力は200kgと推定され[42]、一部の説では300kg以上に達するとするものもある[43]。 飼育下において人間が襲われる事例も報告されており、2009年にはアメリカで、CM出演などの経歴を持った「トラビス」(14歳のオス)が飼い主の知人女性を襲い、警官に射殺される事件がおこった[44]。襲われた女性は鼻、唇、まぶたや手の指を失い重体となった[45]。同年ドイツのベルリン動物園でも、餌を与えていた館長が「ペドロ」(28歳のオス、群れのボス)に右手人差し指を噛み切られる事故が発生[46][47]。日本でも2012年に、テレビ番組への出演で人気となった「パンくん」(10歳のオス)が、飼育研修生を襲い2週間の怪我を負わせるという事故があった[48]。2006年シエラレオネにおいて、人間の飼育下にあった「ブルーノ」が群れを連れて脱走し、1人の人間を残虐な方法で殺害し、4人に重軽傷を負わせた事例もある。 動物園で檻や柵があっても石や糞を投げてくることがあるため、一般の来園者にも危険性はある。2010年台湾・高雄市の寿山動物園
危険性
歌手のマイケル・ジャクソンは「バブルス」と名付けたチンパンジーをペットとして愛玩していた。しかしバブルスの成長に伴って個人宅での飼育は危険と助言され、マイケルはバブルスを手放し専用の飼育施設で余生を送らせた[51]。
日本ではパン属(チンパンジー属)単位で、特定動物に指定されている[52]。
チンパンジーの施設からの脱走事件