チリ共和国(チリきょうわこく、スペイン語: Republica de Chile)、通称チリは、南アメリカ大陸南西部に位置する共和制国家。国土はアンデス山脈西側で南北に細長く、東にアルゼンチン、北東にボリビア、北にペルーと隣接する。西は南太平洋、南はフエゴ島を挟んでドレーク海峡に面している。首都はサンティアゴ。アルゼンチンとともに南アメリカ最南端に位置し、国土の大部分がコーノ・スールの域内に収まる。太平洋上に浮かぶフアン・フェルナンデス諸島や、サン・フェリクス島、サン・アンブロシオ島およびポリネシアのサラ・イ・ゴメス島、パスクア島(イースター島)などの離島も領有しており、さらにアルゼンチンやイギリスなどと同様に「チリ領南極」として125万平方キロメートルにも及ぶ南極の領有権を主張している[3](「南極における領有権主張の一覧」参照)。OECD諸国の中で貧困率と経済格差は最も大きい[4]。
国名1600年ごろのラ・プラタ地方の地図。「Chili」「Chicas」と表記されている。
正式名称はRepublica de Chile(レプブリカ・デ・チレ)。通称 Chile(チーレ [?t?si?le]],或いはシーレ[?i?le])。公式の英語表記はRepublic of Chile。通称 Chile(チリ /???l(i)/。
日本語の表記はチリ共和国。通称チリ。かつては「チリー」と表記されていたこともあった[5]。漢字表記は智利。日本語での初出は、西川如見『増補華夷通商考』(1708年、宝永5年)に「チイカ」として紹介されるものとされる[6]。その後の江戸時代の文献では、谷川士清『倭訓栞』、斎藤彦麻呂『傍廂』が、それぞれ「智加」という漢字表記を用いている。
国名の由来は諸説ある。植民地時代初期は「Chili」と表記されていたが、17世紀のスペイン人史家ディエゴ・デ・ロサーレス(英語版)によると、インカ人によるアコンカグアにある渓谷の呼称で、元は15世紀にインカ帝国に征服される前、同地を支配していた先住民ピクンチェ族(スペイン語版、英語版)の族長、「ティリ(Tili)」から転じたものとされている。このほか、先住民の言葉で「地の果て」「カモメ」[7]、ケチュア語で「寒い」を意味する「Chiri」、「雪」もしくは「地上最深の場所」を意味する「Tchili」、マプチェ族の言葉で同地に生息する鳥の鳴き声を表す擬音語「cheele-cheele」に由来するなどの説がある[8][9]。
歴史詳細は「チリの歴史」を参照
チリは1818年にスペインより独立した。1973年の社会混乱を引き起こしたアジェンデ政権が倒れシカゴ学派を重用したピチェト政権より、ラテンアメリカでは最も経済・生活水準が安定し、政治や労働でも最高度の自由を保っているとされてきたが、21世紀以降は国民の所得格差・不平等、教育への公的予算は中南米でも下位[10]となるなどの諸問題も抱えている。