チューリヒ
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チューリッヒ市の人口は約390,000人で[2]、チューリッヒ都市圏地域(英語版)には200万人近くが居住している[3]。チューリッヒは鉄道、道路、航空など交通の要衝で、チューリッヒ国際空港チューリッヒ中央駅共にスイスでは最大規模で交通量が多い。

チューリッヒは7,000年前より人が定住した痕跡が認められているが、都市としては紀元前15年ローマ人により創建されたトゥリクム(Turicum)に起源を持つ。中世、チューリッヒは独立性と帝国直接身分(英語版)を得ており、1519年にはフルドリッヒ・ツヴィングリが導くスイスのドイツ語圏でのプロテスタント宗教改革の発祥とその中心であった[4]

チューリッヒは欧州有数の世界都市であり、2016年に発表された「世界の都市総合力ランキング」では、世界16位と評価された[5]。また、世界の巨大な金融センターの一つに含まれる[6]2021年の調査によると、世界10位の金融センターであり、ヨーロッパの都市ではロンドンフランクフルトに次ぐ3位である[7]。街には多くの金融機関や大手銀行、研究開発センターが立地している。これは、法人税率の低さが海外の企業が本社を設置する際に魅力的であるためである。ライフスタイルマガジン (Monocle) の2012年の生活の質の調査 Quality of Life Survey でチューリッヒはリストされた25都市中1位であった[8]。いくつかの調査によれば、2006年から2008年にチューリッヒは世界で最も居住に適した都市 との評価があり、同様にヨーロッパでは最も裕福な都市とされた[9][10][11]2014年、アメリカのシンクタンクが公表したビジネス人材文化政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界第31位の都市と評価されており、同国では第1位である[12]。治安・教育水準・各種インフラ等バランスよく整っている。なかでも金融においてはひときわ有名であり、数多くの金融機関・投資ファンド・投資家が存在している。特にチューリッヒに拠点を置く投機筋は「チューリッヒの小鬼(英語版)」[13]と呼ばれ国際市場に大きな影響力を持っている。国際サッカー連盟(FIFA)をはじめとして、多くの国際機関・国際団体の本部も存在する。多くの博物館や美術館がチューリッヒ市内には立地しており、その中にはスイス国立博物館(英語版)やチューリッヒ美術館が含まれる[14]。チューリッヒはまたドイツ語圏では最も重要な劇場の一つがある[15]
呼称と表記

各国語における呼称は以下のとおり[16]

ドイツ語: Zurich ツューリヒ [?tsy?r?c] ( 音声ファイル)

チューリッヒ方言(英語版): Zuri ツュリ [?tsy?i]


フランス語: Zurich ズュリク [zy?ik]

イタリア語: Zurigo ヅリーゴ [dzu?ri??o]

ロマンシュ語: Turitg トゥリッチ [tu?rit?]

英語: Zurich ズュアリック [?zj??r?k] (ZEWR-ik) またはズアリック [?z??r?k] (ZOOR-ik)[17]

創建時のラテン語名は Turicum トゥリークム。2世紀後半の墓碑に STA TVRICEN の碑銘が見られ、これは Statio Turicensis、すなわち「トゥリークムの徴税所」を意味するものとされる。語源は明らかでないが、一説にガリア語の人名 T?ros に由来するとも言われる[18]ゲルマン語では6世紀の段階で Ziurichi の形が見られるが、10世紀以降には Zurich に近い形に収斂していった[19]

広告などでは、チューリッヒは「スイスのダウンタウン」などと呼ばれることもある[20]
地理

チューリッヒは、アルプス山脈の北側 30キロメートル (19 mi)にあるチューリッヒ湖の北端に位置し、海抜は408 m (1,339 ft)である。森林に覆われた東西の丘陵地に周囲を囲まれている。旧市街はリマト川の両岸に開けている。リマト川はチューリッヒ湖から流れ出し、はじめは北側に向かって流れ、徐々に西に向きを変える。チューリッヒの地理的、歴史的な中心はリンデンホーフの丘(英語版)で、この丘は小さな自然の丘でリマト川の西岸にあり、リマト川の起点であるチューリッヒ湖から700 m (2,300 ft)北の地点に位置する。今日一体化した市街地は、ある程度丘陵地の自然の水路境界を超え北東部のグラット谷(英語版)(Glattal)や北部のリマト谷(英語版)(Limmattal)へ伸びている。旧市街の範囲はシャンツェングラーベン運河で容易に分かる。この人工的な運河は17-18世紀のチューリッヒ要塞(英語版)建築時に利用された。
地勢

チューリッヒ市の市域面積は91.88 km2 (35.48 sq mi)で、そのうちチューリッヒ湖の占める範囲は 4.1 km2 (1.6 sq mi) である。市域はスイス高原(英語版)に含まれている。リマト川の河岸は市街の密集地に続いている。川は南東・北西方向に向かい2-3kmの幅の平坦な谷間が広がる。部分的にリマト川の水路は開け真っ直ぐになるが、谷間の中央部は流れず常に右(北東)に沿って流れる。ズィル川(英語版)はリマト川とプラットシュピッツの端で合流しこの付近にはスイス国立博物館がある。リマト川は市内で一番海抜が低い地点であるオーバーエングストリンゲン(英語版)(392m)に達する。

リマト川流域の西側は森林の多いアルビス(英語版)の高台が続き、西側の境界に沿って続いている。ユトリベルクは海抜869 m (2,851 ft)で周辺部では一番高い地点で、ユトリベルク鉄道(英語版)で容易に頂上まで登ることが出来る。頂上のプラットホームの展望塔からは市街地や湖、アルプスなど印象的なパノラマを眺めることが出来る。リマト川流域の北東部には一連の丘が含まれ、リマト川とグラット川の分水嶺になっている。北東から南西にかけての大部分は樹木の茂った丘陵地が増え、グブリスト(615 m (2,018 ft))、ヘンガーベルク(541 m (1,775 ft))、ケーフェルベルク(英語版)(571 m (1,873 ft))、チューリッヒベルク (676 m (2,218 ft)) 、アトリスベルク(英語版)(701 m (2,300 ft))が含まれる。ケーフェスベルクとチューリッヒベルクの間にはミルヒブック(Milchbuck,約470m)の鞍部にはリマト谷からグラット谷への主要な道が配されている。市域北端はグラット谷の平野とグラット谷とフルト谷を結ぶ鞍部に及ぶ。また、カッツェン湖とビュジ湖(Busisee)共にカッツェンバッハによりグラットに流出し市内に属している。
気候

チューリッヒの気候は定義に応じて海洋性気候もしくは湿潤大陸性気候に分けられる。ケッペンの気候区分ではCfb/Dfbで四季がはっきりとしている。チューリッヒの気候の決め手は風向で、西風は降水をもたらし東または北東の風であるBiseは通常、高気圧の状態と結び付くが平均気温より低い冷涼な天気になる。フェーン現象はアルプス北側の谷では重要な役割を担い、チューリッヒには限られた影響を及ぼす。年平均気温は8.5℃で観測はスイス気象局(英語版)(海抜556mのチューリッヒベルク頂上と海抜150mの市中心部)により行われている。最寒月の1月の平均気温は?0.5℃で最暖月の平均気温は7月の17.6℃である。年平均88日程度は気温が0℃以下に下がり、26日程度は最高気温が0℃以下である。年間を通じて夏期の30日程度は気温が25℃以上になるが、30℃以上になるのは3日程度だけである。7月の最高気温の平均は23.6℃で、平均最低気温は11.6℃である。春や秋は通常、涼しく穏やかである。これらの値は台地上の観測点では比較的低くなるが、これは標高により説明出来る。リマト谷では夏日や真夏日がより多く予想される。チューリッヒは年間の日照時間が1,482時間で年間降水量は1,136mmになる。1年の半分は暖かく、特に夏の3ヶ月間の降水量は冬の観測よりも多くなる。クローテン観測所では年間降水量は1,031mmに達する。

チューリッヒ (クローテン, 1961?1990)の気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
平均最高気温 °C (°F)2.0
(35.6)4.5
(40.1)8.8
(47.8)13.2
(55.8)17.9
(64.2)21.2
(70.2)23.6
(74.5)22.7
(72.9)19.5
(67.1)13.7
(56.7)7.0
(44.6)3.1
(37.6)13.1
(55.6)
平均最低気温 °C (°F)?4.1
(24.6)?3.2
(26.2)?0.7
(30.7)2.5
(36.5)6.4
(43.5)9.7
(49.5)11.6
(52.9)11.2
(52.2)8.5
(47.3)4.9
(40.8)0.2
(32.4)?2.8
(27)3.7
(38.7)
降水量 mm (inch)67
(2.64)68
(2.68)68
(2.68)78
(3.07)96
(3.78)115
(4.53)106
(4.17)121
(4.76)83
(3.27)70
(2.76)84
(3.31)74
(2.91)1,031
(40.59)
平均降水日数10.99.510.911.612.412.211.211.58.48.010.110.4127.1
湿度86.081.575.572.872.472.972.275.278.984.985.486.178.7


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