巣と離れた場所で出会った場合、雄は雌の前で、体を高くしたり下げたりしながら雌に接近したり離れたりする。雄は脚を上げながら雌に近づき、左右に5-15mmほど移動しては0.5秒ほどで反対側に移動するというジグザグに移動する行動で雌に接近する。また、この間に雄は次第に体を高く持ち上げる。さらに雄は持ち上げた脚を雌の上に覆うようにする。この間、雌はほとんどの時間を雄を見ているだけであるが、触肢は波状に動かす。
なお、雄同士が出会った場合、両者は背を丸めるようにして体を持ち上げ、持ち上げた歩脚を振る[9]、あるいは押し出すような示威行動を取る[9]。この間、雄は頭胸部を高くもたげ、腹部を下げ、触肢を左右に広げている。たいていの場合、一方はすぐに立ち去る。もう一方の雄はそのまま見送るか、あるいは同様な示威行動を取りながら追いかけるようにする。時には両者が接近して、互いに抱えあうようにして戦う。雌同士の場合、雄同士のような示威行動が見られることもあるが、雄に見られるような格闘に至ることは少なく、多くの場合、頭部を向かい合わせての睨み合いで終わる。 家屋内の害虫を食べる益虫であると考えられる。姿が気味悪いと嫌われることの多いクモ類の中ではハエトリグモ類は比較的嫌われることが少ない(家屋内で同じく見られるアシダカグモがその見た目から嫌われるのとは対照的である)。
類似種
同属の種に、日本ではミスジハエトリ P. setipesがある。このミスジハエトリは後述のアダンソンハエトリとの競争に負けるようで、日本では本州中部以北で家屋に見られることが多い[3]。ミスジハエトリは本種と斑紋のパターンは似ているが、全体に色が淡く、雌では腹背両側の濃色の帯に本種にみられる白い斑点がないこと、また雄では背甲の中央の白い縦縞が前端まで届かないことなどで区別できる。
他にやや斑紋の似た普通種としてはデーニッツハエトリ Plexippoides doenitziもあるが、野外性で家屋内には入らない。色彩も異なる。
同じく家屋性のアダンソンハエトリ Hasarius adansoniは、雌では腹背の中央に淡い縦縞があるためやや似ている。雄では全く斑紋が違う。
利害
出典[脚注の使い方]^ a b 八木沼(1986) p.235
^ 小野(2009)
^ a b c 新海(2006) p.302
^ Richardson et al.(2006) p.709
^ Jackson & Macnab(1989) p.152
^ Jackson & Macnab(1989) p.153
^ Jackson & Macnab(1989) p.152-153
^ 以下、Jackson & Macnab(1989) p.161-165
^ a b Jackson & Macnab(1989) p.158-160
参考文献
小野展嗣編著、『日本産クモ類』(2009)、東海大学出版会
八木沼健夫、『原色日本クモ類図鑑』(1986)、保育社
新海栄一、『日本のクモ』(2006)、文一総合出版
B. J. Richardson, M. Zabka, M. R. Gray & G. Milledge, 2006, Distributional patterns of jumping spiders(Araneae; Salticidae) in Australia. Journal of Biogeography 33,pp.707?719
Hafiz Muhammad Tahir, Abida Butt, Rakhshanda Naheed, Muhammad Bilal & Imtiaz Alam, 2011, Activity Dencity of Spiders Inhabiting the Citrus Field in Lahore, Pakistan, Pakistan J. Zool. vol.43(49)pp.683?688
Bayani A. S. & Trivedi J. N. 2012, Household spider species exhibit Kleptoparasitism: An interaction between Plexxippus paykulli and Hasarius adansoni, Researh Journal of Recent Science vol.1(3)pp.19?25
Robert R. Jackson & Aynsley M. Macnab ,(1989) Display, mating, and predatory behaviour of the jumping spider Plexippus paykulli(Araneae: Salticidae) New Zealand Journal of Zoology,vol.16:pp.151?168