/n/、/?/は語末で消失することがある。その場合、先行する母音が鼻母音となる[30][32]。 ラサ・チベット語の母音は、少なくとも/a, e, o, i, u, ?, o, y/の8つの音素が認められる[33][34][35]。8つ以上の音素を認める説もある[36][37]。 ラサ・チベット語の母音は、母音調和の観点から「高段母音 (high)」と「非高段母音 (non-high)」に分類できる[41]。 高段i??yu? 一定の形態論的単位において、非高段母音は対応する高段母音へと変化する。高段母音を含む単音節形式と、非高段母音を含む単音節形式が組み合わさって、二音節語が形成される場合がそうである[41]。以下の語形成プロセス[42]における[o]と[y]の交替は、こうした母音調和の規則から説明することができる。 → ??????? (bod.skad) [p?o??????]「チベット語」 → ???????? (bod.gzhung) [p???????]「チベット政府」 → ????????? (dbyin.bod) [j??mby?]「英国とチベット」 ところが、これとは逆に高段母音が非高段母音に変化する場合もある。高段化と非高段化のどちらが生じるかは音韻論的条件からは予測できない[41]。 → ????? (bu.mo) [p?omo]「娘」 動詞に時制・アスペクト・モダリティ・証拠性の標識が接続した際にも、母音調和が発生しうる。この場合は一貫して高段化のみが見られる[41]。 → ??????????? ('gro.gi.yin) [?ugij??]]「行く (未来:自称)」 ラサ・チベット語の声調は、2種類(高声調・低声調)のみを認める二声調説のほか、ピッチの下降に弁別性を認める四声調説(高平調・低昇調 + 高降調・低降調)が主流な見解となっている[43]。二声調説において、ピッチの下降は音節末子音[k, ?]の異音として分析される[44]。 ラサ・チベット語の音韻語 高声調と低声調が対立するのは、音韻語の第一音節のみである[44]。語形成の際、第二音節に来る語 (または接辞) が低声調の場合は、高声調へと連続声調する[46]。音韻語内の連続声調のパターンは以下のようにまとめられる。
母音
[?]は、/a/の異音として現れることがある。末子音/p/[13][38]、及び/m/[39]の直前では、/a/が[?]と発音される。[?]の出現には、母音調和や強勢も関与している (強勢の無い/a/は[?]になる場合がある)[12][38]。
これに加えて、[?]、[?]をそれぞれ/e/, /o/の異音として認める文献[18]もある。
[?]は、閉音節(末子音を持つ音節)で/o/の異音として現れる[12][40]。
しばしばウムラウトを用いてa, o, uと表記される/?, o, y/は、チベット文字による正書法上、 後置字? (-d)、? (-n)、? (-l)、? (-s) を伴う音節に出現する[12]。[?] は閉音節において/e/の異音として現れることもある[40]。
母音調和
非高段e?aoo?
??? (bod) [p?o??] 「チベット」+ ??? (skad) [k???]「言語」
??? (bod) [p?o??] + ???? (gzhung) [????]「政府」
????? (dbyin) [j???]「英」 + ??? (bod) [p?o??]
?? (bu) [p?u]「息子」 + ?? (mo) [mo]
???? ('gro) [?o]「行く」
声調
音韻語と文法語
連続声調
高声調 + 高声調 → 高声調 + 高声調 (変化なし)
Size:67 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef