阻害音 (破裂音・破擦音・摩擦音) は音韻上、無声音と有声音の区別を持たない。しかしながら、特定の環境においては、有声の破裂音・破擦音も異音として現れる。例えば、無声無気音/p, t, ?, c, k, ts, t?/は、低声調語の語頭に立つと(半)有声化する[24][26][27][28]。
??? (bka’) /ka/ [ka]「命令」
?? (sga) /ka/ [g?a]「鞍」
無声破裂音・破擦音の有声化は、語中音節の初頭でも生じうる(-p, -k, -?に後続する場合を除く)[28]。この音交替は無声有気音にも適用される[5]。 /r/は[r]ないし[?]として実現される。/l/と同様、音節末では消失する場合がある。その際は先行する母音が長音化する[29]。一部の借用語では、語末の/r/が[r?]と発音されることもある (例:???? (pir) [p??r?]「筆
????? (khang.pa) /k?a?.pa/ [k?a?.b??]「家」
?????? (lha.khang) /l?a.k?a?/ [l?a.ga]「寺」
共鳴音
共鳴音のうち、/l/は語頭において無声音の/l?/と対立する[31]。話者によっては/m/、/?/、/?/、/r/に対応する無声音も見られる[26][24][12]。
/?/を持つ語は少なく、高声調語の語頭のみに現れる[29]。
/n/、/?/は語末で消失することがある。その場合、先行する母音が鼻母音となる[30][32]。 ラサ・チベット語の母音は、少なくとも/a, e, o, i, u, ?, o, y/の8つの音素が認められる[33][34][35]。8つ以上の音素を認める説もある[36][37]。 ラサ・チベット語の母音は、母音調和の観点から「高段母音 (high)」と「非高段母音 (non-high)」に分類できる[41]。 高段i??yu? 一定の形態論的単位において、非高段母音は対応する高段母音へと変化する。高段母音を含む単音節形式と、非高段母音を含む単音節形式が組み合わさって、二音節語が形成される場合がそうである[41]。以下の語形成プロセス[42]における[o]と[y]の交替は、こうした母音調和の規則から説明することができる。
母音
[?]は、/a/の異音として現れることがある。末子音/p/[13][38]、及び/m/[39]の直前では、/a/が[?]と発音される。[?]の出現には、母音調和や強勢も関与している (強勢の無い/a/は[?]になる場合がある)[12][38]。
これに加えて、[?]、[?]をそれぞれ/e/, /o/の異音として認める文献[18]もある。
[?]は、閉音節(末子音を持つ音節)で/o/の異音として現れる[12][40]。
しばしばウムラウトを用いてa, o, uと表記される/?, o, y/は、チベット文字による正書法上、 後置字? (-d)、? (-n)、? (-l)、? (-s) を伴う音節に出現する[12]。[?] は閉音節において/e/の異音として現れることもある[40]。
母音調和
非高段e?aoo?