現代ラサ・チベット語では語頭の子音連結が見られない。しかし、語中においては嘗ての子音連結が、隣接する音節の末子音と頭子音が結合したものとして残っている場合もある[16][17]。一部の語では、通常は黙字となるチベット文字の前置字? (b), ? (g), ? (g) が、それぞれ/p/, /k/, /r/として読まれる。?? (bya) が語中で[bd?]と発音されることもある。同様に、語中の前置字? (m), ? (l), ? ('a) は鼻音として読まれる。以下はそのような「化石化した子音連結」[17]の例である[18]。 /c/、/c?/は硬口蓋音破裂音[c]、[c?][19][20]、ないし口蓋化した軟口蓋音[k?]、[k??][21][22]として実現される[23]。 そり舌音/?/、/??/は、破裂音[?]、[??][20]ないし破擦音[??]、[???][19]に対応する。 破裂音と破擦音における有気音と無気音の対立は、語頭のみで見られる[23][24]。さらに話者によっては、この対立が高声調語の語頭に限定されている[25]。 阻害音 (破裂音・破擦音・摩擦音) は音韻上、無声音と有声音の区別を持たない。しかしながら、特定の環境においては、有声の破裂音・破擦音も異音として現れる。例えば、無声無気音/p, t, ?, c, k, ts, t?/は、低声調語の語頭に立つと(半)有声化する[24][26][27][28]。 無声破裂音・破擦音の有声化は、語中音節の初頭でも生じうる(-p, -k, -?に後続する場合を除く)[28]。この音交替は無声有気音にも適用される[5]。 /r/は[r]ないし[?]として実現される。/l/と同様、音節末では消失する場合がある。その際は先行する母音が長音化する[29]。一部の借用語では、語末の/r/が[r?]と発音されることもある (例:???? (pir) [p??r?]「筆 共鳴音のうち、/l/は語頭において無声音の/l?/と対立する[31]。話者によっては/m/、/?/、/?/、/r/に対応する無声音も見られる[26][24][12]。 /?/を持つ語は少なく、高声調語の語頭のみに現れる[29]。 /n/、/?/は語末で消失することがある。その場合、先行する母音が鼻母音となる[30][32]。 ラサ・チベット語の母音は、少なくとも/a, e, o, i, u, ?, o, y/の8つの音素が認められる[33][34][35]。
????? (chu bya) [t????bd???] 「水鳥」
???????? (bcu gcig) [t?ugd?i?]「十一」
??????? (bcu dgu) [t?u?gu]「十九」
?????? (ja mchod) [d?amd???]「茶会」
???? (da lta) [t?and??]「今」
子音
有気性の消失と有声化
??? (bka’) /ka/ [ka]「命令」
?? (sga) /ka/ [g?a]「鞍」
????? (khang.pa) /k?a?.pa/ [k?a?.b??]「家」
?????? (lha.khang) /l?a.k?a?/ [l?a.ga]「寺」
共鳴音
母音
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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