チバニアン(英語: Chibanian)は、地質時代の区分の一つで、77.4万年前から12.9万年前までの期間である[1]。2020年1月15日に国際地質科学連合により「チバニアン」(Chibanian、千葉時代)と命名され、翌々日の1月17日に国立極地研究所で命名決定の記者会見が開かれた[2][3][4]。2022年5月21日に現地の地層に時代境界となるゴールデンスパイクが設置された[5]。
総説千葉セクションに設置された、チバニアンとカラブリアンの時代境界を示すゴールデンスパイク。右側の色分けされた杭は、地球の地磁気が逆転していた事を示す地層の境界を示している。
チバニアン(期/階)[注 1]もしくはイオニアン(期/階)[注 2]と命名することが国際地質科学連合国際層序委員会(IUGS-ICS)で検討され[6]、2020年1月、チバニアン(Chibanian、千葉時代)に決定した[3]。
カラブリアンとチバニアンとの境界は、地球史上最後の地磁気逆転である松山‐ブリュンヌ逆転の起きた時期である[7]。これを示す国際標準模式層断面及び地点の候補として、以下の3か所の地層が挙がっていた[7]。
日本・千葉県市原市田淵の養老川沿いにある「千葉セクション」[8]
イタリア・バジリカータ州マテーラ県の「モンタルバーノ・イオーニコセクション」[9]
イタリア・カラブリア州クロトーネ県サン・マウロ・マルケザートの「ヴァレ・デ・マンケ(Valle di Manche)セクション」[10]
国際層序委員会に提出された提案申請書に用いられた論文の中には古地磁気データの削除(改ざん)等の疑義が出ているが、告発を受けた茨城大学と国立極地研究所は「査読付き学術誌に掲載済みの論文であり、結論には影響しないため研究不正ではない」として調査を実施しない方針を固めている[11]。
チバニアンの決定を受け、2021年度から2026年度にわたり総事業費約15億円をかけて現地のガイダンス施設等を整備する計画であり[12]、2022年8月には隈研吾建築都市設計事務所が設計を受託した[13]。
事業費のうち、8億円がガイダンス施設の建物本体、2億円が展示関係、5億円が地層まで約500メートルの遊歩道整備として計上されている[14]。
気候
ギュンツ氷期(英語版)(47万年前 - 33万年前)[15]
ギュンツ=ミンデル間氷期(33万年前 - 30万年前)
ミンデル氷期(英語版)(30万年前 - 23万年前)[15]
ミンデル=リス間氷期(英語版)(23万年前 - 18万年前)
リス氷期(英語版)(18万年前 - 13万年前)[15]
エーミアン間氷期(英語版)(リス=ヴュルム間氷期、13万年前 - 7万年前)
脚注[脚注の使い方]
注釈^ Chibanian。「千葉セクション」に由来する。
^ Ionian。バルカン半島南部とイタリア半島南部との間に広がるイオニア海に由来する。
出典^ “ ⇒INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART (国際年代層序表)” (PDF). 日本地質学会 (2020年3月). 2021年1月27日閲覧。
^ “ ⇒日本地質学会 地質系統・年代の日本語記述ガイドライン_改訂履歴”. 日本地質学会 (2021年12月2日). 2021年12月30日閲覧。
^ a b “命名「チバニアン」 77万4000?12万9000年前の地質時代 国際学会決定”. 毎日新聞 (2020年1月17日). 2020年1月17日閲覧。
^ “チバニアン正式決定!”. 千葉県立中央博物館. 2020年5月29日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。