チップ(英: tip、英: gratuity)とは、規定料金とは別に、サービスを受けたことに対して心づけとして相手に渡す現金を指す[1]。 チップを支払う習慣は国によって異なる[2]。 ヨーロッパの場合、多くの国々では、飲食店やホテルなどの料金にはあらかじめサービス料が含まれているため、チップは必ずしも義務ではない[3]。 元はヨーロッパの上流階級が使用人への好意を示すための心づけとして渡す行為だった[1]。
概要
チップの慣習のある国では、サービス業の最低賃金が安く設定されているために、チップがサービス業従事者の生活給となっている。とりわけ、個人に対するサービスではそれが顕著である。
一方で、日本では、このような慣習は廃れた、もしくはサービス料や商品代金として無意識のまま徴収されているため、一般にはあまり馴染みの無い習慣となっている。ただし、Uber Eatsなどの飲食の配達人や、タクシーの運転手などにお釣りを受け取らずに渡す場合もあり、それも広義の意味でチップと言える。
欧米などでもチップを煩わしいと思う人が増え[1]、チップを廃止をする店も増えつつあったが[4]、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により2020年ごろからセルフレジやタッチパネルが導入されると、画面にチップの支払い額(無し、15 - 20%)が表示されるようになり支払額が増加した[1]。
白人より非白人、男性より女性の方が少ないチップしか払われないといった、人種や性別によってチップの額が増減することもあり、差別意識を生むという批判もある[5]。 チップの語源は不明である。 俗説として、18世紀のイギリスのパブで、サービスを迅速に受けたい人のために To Insure Promptness と書かれた箱を置き、そこにお金を入れさせたことに由来し、チップの語源はこの箱に書かれた文言の頭文字であるとするものがある[6]が、疑わしい[7][8]。 フランス語では pourboire で、ドイツ語では Trinkgeld という。いずれも「酒を飲むためのお金」というような意味である。サービスしてくれる人をねぎらって、「これで一杯飲んでくれ」と小銭を渡したことがチップの始まりであると考えられる。 チップの習慣は北米やヨーロッパで多く見られるほか、欧米文化の影響で取り入れているケースもある。チップの習慣がない地域の人がそれらの国へ旅行してトラブルになることもある。以下に、チップの習慣がある主な国や地域の相場を示すが、物価や社会情勢などの影響があるため変動する[1]。 国名・
語源
各国・地域の事情
主な国・地域におけるチップ相場の例
地域名ホテルレストランタクシートイレその他出典
アメリカ合衆国
ベルマン、ドアマン、ポーターによる荷物の運搬で1個につき1 - 2ドル程度。
ベルマン、ドアマンがタクシーをつかまえてくれたとき1ドル程度。
ベルマンがメッセージや届け物を部屋まで届けてくれたとき1ドル程度。
ルームサービスを頼んだとき、料金の10 - 15%程度。
タオルや毛布、バスローブなどを部屋まで持ってきてくれたとき1ドル程度。
ルームメイドに部屋を掃除してもらったとき、1回につき2ドル程度。
コンシェルジュにチケットやレストランの手配を依頼したとき、難易度に応じて10 - 30ドル以上。
合計金額の15 - 20%程度。サービス料込の場合はそれより少額。
ファストカジュアルやファストフードでは不要。
アメリカ合衆国が定める連邦最低賃金7ドル25セントであるが、レストランではチップが給与の一部とみなされているため、レストランでチップをもらう従業員の最低時間給は2ドル13セントとしている。
ただし、チップと2ドル13セントの合計金額が連邦最低賃金の7ドル25セントに充つるまでは使用者負担で差額を払う(従って従業員は客が全く来なくても7ドル25セントが保障される)。
これは守るべき「最低」基準であり、例えば契約賃金(=最低賃金7ドル25セント)にチップをそっくり上乗せするなどは構わない。州や市の定める最低賃金と連邦最低賃金に差がある場合は高い方の金額になる。
使用者はクレジットカードの手数料や税金など合法的な控除を除いて「中抜き」することなくチップの全額を従業員に払わなければならない。
料金の10 - 15%程度。最低でも1ドル程度。荷物が多い場合には多めに払う。
運賃支払いの時に切りのいい額で多めに出し「Keep the change」(釣りは要らないよ)と言ってもよい。
空港シャトルバスを利用したらドライバーに1 - 3ドル程度。ただし、決められたルートを回る大型バスの場合は不要。
空港からホテルまでの無料シャトルバスを利用したらドライバーに1ドル程度。
観光バスのツアーに参加したらドライバーやガイドに1 - 10ドル程度。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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