チェ・ゲバラ
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

娘のアレイダ・ゲバラも2008年、2010年に[11][12]、2017年8月には息子のカミーロ・ゲバラ(アレイダの弟)も広島を訪問している[13]。ゲバラは日帰りを予定していたが、帰りの飛行機が満席で、7月25日夜は新広島ホテルに宿泊した[1]。この日「革命家なら-この地を訪ねるべきだ」などと書いたキューバの妻宛てに広島から投函した絵葉書が現存している[2][3][12]。翌26日朝、朝10時発の列車で広島駅を立った[1]。大阪から空路で東京に戻り、7月26日はキューバの革命政府にとって記念日にあたるため、麻布プリンスホテルで「7月26日運動」記念パーティに出席[1]。27日夕方5時に外務省で日本側と最後の交渉を行い、帰路に着いた[1]。ゲバラが日本で受けた最大の感銘は、広島訪問だったといわれ[1][2][3]、帰国後、ゲバラは日本を語るとき、ヒロシマを必ず口に出した[2]。ゲバラが自らが発案して広島を訪れたことを切っ掛けとして、キューバをはじめラテンアメリカ諸国でヒロシマへの関心が広がっていったとされる[2]

このゲバラの広島行に関しては、「神戸市内のホテルで繊維業者と会う予定だったが、宿を密かに抜け出して夜行列車で広島に向かった」という説もある[2]。しかし、この説を裏付ける証拠はオマール・フェルナンデスの主張以外にはなく、当時の通訳であった広島県外事課の見口健蔵が、飛行機での公式の来訪を語っているほか[1]、1972年の段階で広島県総務課には当時の記録も残っている。日本語の全く分からない3人がこっそり抜け出して夜行列車に乗ることの不自然さ、無断で抜け出した場合の日本側の反応についての言及がないこと、カストロが一時的に首相を辞職するといったキューバ本国の政治的混乱の中で、使節団代表であるゲバラが、受け入れ国である日本政府や商工団体に対してそのような配慮に欠ける行動をとるとは思えない点、また、夜行列車で抜け出したにもかかわらず広島で県庁職員が待っているのは不自然でもあり、フェルナンデスの記憶違いもしくは脚色である可能性が高いと考えられている[14]

日本各地を視察した後、7月27日に日本を発ってインドネシアパキスタンスーダンユーゴスラビアガーナモロッコを歴訪して9月8日にハバナへ戻った。翌年には池田や牛場らとの会談で話に出た日本とキューバの通商協定が締結され[1]、今日も継続中である[1]
政治家ゲバラキューバを訪問したジャン=ポール・サルトルシモーヌ・ド・ボーヴォワール夫妻(左側の男女)と(1960年)

革命の1ヶ月後、旧バティスタ派の人々に対する裁判が行われ、およそ600人が処刑された。ゲバラは処刑の責任者を務め、さらに政治犯収容所の建設を指揮した。この時迅速に処刑を決断したのは、「グアテマラ革命の失敗は、軍内部にアルベンスへの裏切りがあったため」と後に語っている。6月には通商大使として独立したばかりのアジア、アフリカ、東欧などを歴訪し、各地で熱狂的に迎えられた。帰国後、農業改革機構工業部長および国立銀行総裁に就任。農地改革と企業の国有化を進めた。

1960年8月6日、カストロがアメリカの資本から成る石油関連産業を接収、国有化すると、これに対してアイゼンハワー大統領はキューバへの経済封鎖を行った。翌1961年4月にはケネディ大統領がキューバ侵攻作戦を認可したため、プラヤ・ヒロン侵攻事件が勃発し、アメリカに支援された傭兵軍がPBSUCCESS作戦後軍事独裁政権が続いていたグアテマラからキューバに侵攻したが、ゲバラはカストロと共に侵攻軍を破った。この事件の後、5月1日にカストロはキューバ革命の社会主義革命化を宣言した。

ゲバラは各国に外遊を行い、8月にウルグアイプンタ・デル・エステで開催された米州機構の総会では、ブラジルジャニオ・クアドロス大統領から南十字星勲章を授与された。帰国後同年10月に、工業相に就任した。経済封鎖による資源不足、さらに社会福祉事業の無料化により経済が徐々に逼迫していく中、「生産効率の低下は人々の献身的労働によって補える」とし、自らも休日はサトウキビの刈り入れや工場でのライン作業の労働、道路を作るための土運び、建物のレンガ積み等、積極的にボランティアに参加した。しかしこうした行動も経済を好転させるには至らず、理想主義的なゲバラは徐々にキューバ首脳陣の中で孤立を深めていった。

1964年12月11日、国連総会にキューバ主席として出席。演説の中でこう述べた[15]。我らの人民は声を上げた、“もう十分だ”と。

この偉大な人民の行進は、真の独立を勝ち取るまで続く。
あまりにも多くの血が流されたからだ。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:154 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef