ダークナイト
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ジョーカー」役のヒース・レジャーは公開前に死去した。親交のある俳優のジョニー・デップコリン・ファレルジュード・ロウが代役で出演して完成させたテリー・ギリアム監督作『Dr.パルナサスの鏡』を除けば、ヒース・レジャーの遺作となった。

興行的に大成功を収めただけでなく批評家からも絶賛されたにも関わらず、第81回アカデミー賞において作品賞にノミネートされなかった時には大きな波紋を広げた。後に「ダークナイト・トリロジー」の完結編として『ダークナイト ライジング』が制作された。
あらすじ

素性不明の犯罪者ジョーカーに雇われた、道化師マスクを被った男たちがゴッサム・シティの銀行を襲う。それぞれの役目を終えた男たちは仲間から殺され、最後に一人だけが残った。マスクを外した男はジョーカー本人で、銀行に預けられていたマフィアの資金を奪って逃走する。

ゴッサム市警のジム・ゴードン警部補は、謎の男バットマンと共に組織犯罪撲滅に尽力していたが、これに新任の地方検事ハービー・デントが協力を申し出る。バットマンの正体である大富豪のブルース・ウェインはハービーとの対話で彼の高潔さに感銘を受け、彼の選挙支援を申し出る[5]。ブルースは堂々と悪と戦うハービーこそがゴッサムの求める真のヒーローであると考え、バットマンの引退を考えていた。ブルースは幼なじみでハービーの同僚であるレイチェル・ドーズに想いを寄せているが、レイチェルの気持ちはブルースとハービーの間で揺れていた。

ジョーカーの犯行からマフィアの隠し資金が警察に露見し、各マフィアのボスが集まって対策を練る中、問題の張本人であるジョーカーが現れる。ジョーカーはマフィア弱体化の原因であるバットマンの殺害を提案し、報酬として全資金の半分を要求して去る。ボスの一人ギャンボルはジョーカーに腹を立てて懸賞金を掛けたが、死体の振りをして運び込まれたジョーカーに切り殺されてしまい、ジョーカーは彼の組織を乗っ取る。ブルースは秘密裏に香港に潜入すると、マフィアの金庫番である中国人実業家ラウを拘束してゴードンに引き渡す。司法取引に応じたラウの供述からゴッサム市警は多くのマフィア構成員を逮捕する。

これがバットマンの力によるものだと悟ったマフィアはジョーカーの提案を受け入れる。ジョーカーはバットマンの真似をしていた男を殺し、バットマンが正体を明かすまで市民を殺し続けると宣言。更にローブ市警本部長、サリロ判事、ハービーの殺害を示唆し、仕掛けた罠でサリロが爆殺、ローブが毒殺される。

続いてジョーカーはブルースが開いたパーティーにハービーを狙って乱入するが、バットマンに阻止される。後日、ジョーカーは「ハービー」と「デント」という別の市民を射殺し、更にゴッサム市長ガルシアの殺害を予告する。ローブ本部長の葬儀式典で警官に扮したジョーカー一味は市長を狙撃するが、市長を庇ったゴードンが凶弾に倒れる。

レイチェルも狙われ、追い詰められたブルースはハービーに後を託して正体を明かそうとするが、翌日の記者会見でハービーは自分がバットマンだと発表する。逮捕されて拘置所に護送されるハービーの車列をジョーカーの乗ったトレーラートラックが襲撃するが、タンブラーで駆けつけたバットマンとの戦闘で襲撃は失敗し、生きていたゴードンによりジョーカーは逮捕される。そしてゴードンは本部長への昇進が決まる。

しかしその晩、ハービーが行方不明となる。バットマンはジョーカーを尋問するが、彼からレイチェルとハービーの二人が誘拐されて別々の場所で窮地に陥っていると聞かされる。ハービー救出をゴードンに任せ、バットマンはレイチェルの監禁場所に急行するが、ジョーカーが教えた監禁場所は逆であり、そこに捕らわれていたのはハービーだった。バットマンはハービーを連れて辛くも建物から脱出するが、直後に建物が爆発し、ハービーは顔の左半分に大火傷を負う。一方レイチェル救出に向かったゴードンは間に合わず、彼女は助からなかった。ジョーカーは一緒に逮捕された部下の腹に埋め込んであった爆弾を爆発させ、警察署は壊滅。ジョーカーは留置場のラウを連れて逃亡する。レイチェルを失い絶望したハービーは顔面への皮膚移植を拒否し、かつての渾名トゥーフェイスを具現化した様な姿になっていた。

ジョーカーはマフィアから礼金を受け取っていたが、もともと金に興味の無かったジョーカーはその札束の山にラウを載せたままガソリンを掛けて火を着け、自分がボスであると宣言する。同時刻、バットマンの正体に気付いていたウェイン産業の顧問弁護士リースは、これを公表するためテレビに出演していたが、バットマンがいないと退屈になるとしてジョーカーは発表を止めさせ、病院を爆破されたくなければ60分以内にリースを殺すよう市民に促す。

ゴードンはゴッサムのすべての病院の避難を命じ、テレビ局に集まった群衆からリースを保護する。リースはなおも命を狙われるが、ゴードンと駆けつけたブルースの手で助けられる。ハービーのいる病院では避難の混乱に紛れて看護婦姿のジョーカーが病室に侵入し、ハービーに復讐を焚き付ける[6]。病院から出たジョーカーはその病院を爆破し、人質を乗せたバスで逃亡する。

病院から脱出したハービーはレイチェルの死に関わった人間への復讐を始める。相手を処刑するか否かは、レイチェルの形見となってしまった「幸運のコイン」を使ったコイントスの結果次第。始めに自分の誘拐に加担した刑事ワーツを射殺。ワーツに指示を出したマフィアのボス、マローニは撃たれなかったものの、再度コイントスを行ったハービーはマローニの乗っていた車のドライバーを撃ち、車は道路脇に突っ込んだ。レイチェルの誘拐を手引きした女刑事ラミレスはハービーに脅されてゴードンの家族を呼び出すが、命は助かった。

ジョーカーはテレビを通じてゴッサムの支配を宣言し、従わない市民へ退去を命じるが、橋とトンネルへの「サプライズ」をほのめかし、残りの道は渋滞で脱出はままならない。ゴードンは1隻のフェリーを確保して囚人の移送を図るが、出港後、市民を満載したもう1隻と共に航行不能になる。ジョーカーは両方の船に爆弾を仕掛けた上で、互いの船の起爆装置を残しており、午前0時までに片方が爆破されればもう一方は助けると宣言する。

ジョーカーの通話を傍受したバットマンは潜伏先のビルを特定し、ゴードンに伝えて急行する。ビルの中では病院から行方不明になっていた医師らが人質となっていた。警察に先駆けて突入したバットマンは銃を持ったピエロの正体が縛られている医師であり、ギャングが医師に化けている事に気付く。しかしSWATの突入が始まり、バットマンは人質を守るためにSWATへの応戦を余儀なくされる。やがてSWATもジョーカーの罠に気づき、遂にバットマンはジョーカーを追い詰める。格闘の末ジョーカーがバットマンを組み伏せている状態で0時を迎えるが、フェリーの市民と囚人たちは互いを殺す事を拒否し、爆発は起こらなかった。ジョーカーは失望しつつも自らフェリーの爆破を試みるが、間一髪でバットマンが起爆装置とジョーカーを弾き飛ばす。ビルから落下したジョーカーはバットマンに釣り上げられて助かるが、ジョーカーはハービーこそがゴッサムを絶望させるための切り札だと告げ、駆けつけた警察に引き渡される。

その頃ハービーに呼び出されたゴードンはレイチェルが死んだ建物にいた。ハービーは忠告を受けていながらも部下の内通を放置していたゴードンを許さず、自分と同じ目に会わせるべくゴードンの息子ジミーに銃を向ける。現れたバットマンに対してもハービーは「共に戦った3人のうち自分だけが愛する者を失った不公平さ」を嘆く。”公平な”裁きとして自分たちの命運をコインに委ね、裏が出たバットマンは腹を撃たれて倒れる。ハービーは表を出し、最後にゴードンのコインを投げた時、起き上がったバットマンがハービーに飛び掛かる。バットマンは窓から転落するジミーを助けたが、ハービーは落下し息絶えてしまう。

ゴードンは市民の希望であったハービーが復讐鬼と化した事が知られればジョーカーの狙い通り市民は絶望すると嘆くが、バットマンはその罪を被る事を決める。かくしてハービーはヒーローとして見送られ、バットマンは殺人犯として警察から追われる身となった。


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