第二次世界大戦初期の1940年5月26日から6月4日。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスから成る連合軍将兵は、フランスのダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦による撤退を余儀なくされていた。
英国陸軍の兵士であるトミー二等兵はダンケルクの街で、自身の分隊がドイツ軍の銃撃で自分以外全滅し、武器も失った状態で一人、撤退作戦中のダンケルクの砂浜にやってくる。港には英国の救助船がいて、乗船を待つ英国兵が列をなしていた。フランス兵を乗せる余裕はない。トミーは兵士を砂浜に埋葬していたギブソンと名乗る無口な兵士と偶然出会い、行動を共にすることになる。負傷兵は救助を優先されるので、トミーとギブソンは負傷兵を乗せた担架をかつぎ、救助船に乗り込むが、ドイツ軍の攻撃で同船は出港して間もなく撃沈、ギブソンの機転でなんとか脱出する。
一方、ダイナモ作戦による民間船徴用で、自身の小型船の徴用命令を国より受けたドーソンは、息子のピーターと、ピーターの知り合いであるジョージと共に、英国兵士たちを母国に運ぶため、ダンケルクに向けて出港していた。
そして、英国空軍のパイロットであるファリアとコリンズらの小隊は、スーパーマリーン スピットファイア戦闘機を駆り、ダンケルクでの撤退行動を阻害するドイツ空軍への阻止攻撃に赴く。空軍にいた息子が戦死しているドーソンは、自分たちの世代が戦争を決めたことで若者が戦死する状況に心を痛め、転覆したボートに一人生き残っていた将校を救助し、また、海に不時着したパイロット(コリンズ)を救出して船に乗せる。
一方、トミー達は、オランダの商船で帰還を試みるも船がドイツ軍の銃撃を受ける。軍用船がことごとく撃沈される中、多数の小型民間船が来航して救助にあたり、残兵達は英国に帰還することができた。 ストーリーは、トミーらが敵から逃げ救援を待つ『陸』の一週間、ドーソンらが民間船として救援に向かう『海』の一日、そして海岸で救助を待っている帰国を決めたイギリス軍の兵に襲い来るドイツ軍の戦闘機を迎撃するファリアら『空』の一時間の三幕をそれぞれ時間を並行させながら進行していく。『陸』の一週間の最後の一日からは『海』と、そしてその2つの最後の一時間は『空』とクロスしていく。 ※括弧内は日本語吹替[8] 監督のクリストファー・ノーランは112ページの脚本を執筆した[15][16]。彼は空(飛行機)、陸(浜辺)、海(海軍の撤退)の3つの視点から語られるトリプティック
備考
キャスト
トミー - フィン・ホワイトヘッド[9][10](小野賢章)
英国陸軍二等兵[11]。
ピーター[12] - トム・グリン=カーニー[9](布施川一寛)
ミスター・ドーソンの息子。
コリンズ - ジャック・ロウデン[9][10](近藤隆)
英国空軍。スピットファイアのパイロット。
アレックス - ハリー・スタイルズ[9][10](増田俊樹)
英国陸軍「高地連隊」の二等兵。
ギブソン - アナイリン・バーナード[9][10]
トミーと行動を共にする無口な兵士。
ウィナント陸軍大佐 - ジェームズ・ダーシー[9][10](山岸治雄)
ボルトンと共に作戦を見守る陸軍将校。
ジョージ - バリー・コーガン[9][10](新祐樹)
ミスター・ドーソンに同行する青年。
ボルトン海軍中佐 - ケネス・ブラナー[9][10](谷昌樹)
防波堤で撤退作戦の指揮を執る海軍将校。
謎の英国兵 - キリアン・マーフィー[9][10](内田夕夜)
ミスター・ドーソンに救出された英国兵。
ミスター・ドーソン - マーク・ライランス[9][10](原康義)
プレジャーボート船主。ピーターの父親。
ファリア - トム・ハーディ[9][10](宮内敦士)
英国空軍。スピットファイアのパイロット。
隊長の声 - マイケル・ケイン[nb 3](クレジットなし)(さかき孝輔)
英国空軍。スピットファイアのパイロット。ファリアとコリンズの隊の指揮官。
製作
企画キャラクターへの共感は彼らのストーリーとは無関係だ。私は台詞を通して自分のキャラクターのストーリーを伝えたくなかった。(中略)問題は彼らが誰であるかでも、彼らが誰になるかでも、どこから来たのかでもない。私が興味を持った疑問は、彼らが脱出するのか、彼らが突堤に行く間に次の爆弾で殺されるのか、それとも横断中にボートで潰されるのか、それだけだ。?映画の主要な目的について語るクリストファー・ノーラン[15]
ノーランは、本作に影響を与えた11本の映画を発表している[19]。