20世紀初頭、ダルースはフィンランド国外最大のフィンランド人コミュニティを有していた。数十年間にわたって、ダルースではフィンランド語の新聞が刊行されていた。また同じ頃、ダルースには小さなアフリカン・アメリカンのコミュニティもあった。しかし1920年にダルースリンチ事件が起こると、アフリカ系の住民はダルースの町を離れていった。現在でもダルースにはアフリカ系の住民は少なく、2000年の国勢調査では、ダルースの黒人人口率はわずか1.63%であった。
20世紀初頭から後半にいたるまで、ダルースはUSスチールの製鉄所をはじめ、セメント工場、釘工場、針金工場を有する工業都市、そしてメサビ鉄山をはじめとする周辺の鉄山で産出される鉄鉱石の積出港を抱える港湾都市として栄えてきた。第一次世界大戦の最中、1916年には、セントルイス川岸の造船所は8隻の軍艦を同時に造ることができた。造船所の周辺にはリバーサイド地区が形成された。このような工業需要の急激な増加は第二次世界大戦においても見られた。第二次世界大戦後もダルースの人口は増え続け、1960年には人口106,884人でピークに達した。この頃においてもフィンランド人の移民が多く流入し、インダストリアリスティ(Industrialisti)というフィンランド人労働者のための新聞が刊行されていた。
斜陽、そして再生ダウンタウンのレンガ敷きの通り。2005年。
しかし1970年代に入ると、ダルースは斜陽へと転じていった。鉄鋼業界における国際競争の激化により、USスチールの製鉄所は1971年に閉鎖し、市の経済に大打撃を与えた。これにとどまらず、市内の工場は次々と閉鎖されていった。空軍基地も閉鎖された。メサビ鉄山も減産に転じ、ダルース港の地位は低下した。1970年代の10年間における失業率の平均は15%にも達した。市内の店舗は次々と空き家になり、職業安定所には長蛇の列ができた。
1980年代、工業都市・港湾都市としての地位が低下したダルースは、観光に力を入れることで再生を図った。ウォーターフロントの倉庫街はキャナル・パークとして整備された。周辺の倉庫はレストランやバー、各種ショップへと姿を変えた。ダウンタウンの通りも整備され、レンガ敷きになった。また、建物をつなぐ屋内連絡通路も整備された。
今日では、ダルースは安定した、成熟した都市となっている。ダルースはダルース都市圏内のみならず、ミネソタ州北東部、ウィスコンシン州北西部、さらにはミシガン州アッパー半島の西部を含む広い地域の中心都市としての地位を確立している。中華人民共和国における鉄鋼需要の急増と共にメサビ鉄山が再び増産に転じ、それに伴ってダルース港は息を吹き返した。同港は従来からの主要な取扱貨物である鉄鉱石・タコナイトをはじめ、石炭や農産物も多く取り扱っている。
地理ダルースの位置
ダルースは.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯46度47分13秒 西経92度5分54秒 / 北緯46.78694度 西経92.09833度 / 46.78694; -92.09833に位置している。同市はミネソタ州の北東部に位置し、ミネアポリス・セントポールの双子都市からは北北東へ約240km、カナダ・オンタリオ州のサンダーベイからは南西へ約300kmである。
アメリカ合衆国統計局によると、ダルース市は総面積226.2km2(87.3mi2)で、ミネソタ州の都市としてはヒビングに次いで広い市域を有している。市域のうち176.1km2(68.0mi2)が陸地で50.0km2(19.3mi2)が水域である。総面積の22.11%が水域となっている。
地形キャナル・パークから1stアベニュー東を望む。この道は1マイル(1.6km)あたり520フィート(158m)の標高差がある。
ダルースはセントルイス川がスペリオル湖に流れ込む河口の北岸に形成された都市である。セントルイス川はダルース付近ではミネソタ州とウィスコンシン州との州境線になっている。南岸にはダルースと対をなすようにスペリオルの市街地が広がっている。河口にはミネソタ・ポイント(別名パーク・ポイント)と呼ばれる砂州が形成されている。ダルース港の天然の防波堤となっているこの砂州はウィスコンシン州側のウィスコンシン・ポイントとあわせて長さ16kmにおよぶ、淡水に形成された砂州としては世界最長のものである。
ダルース側はスペリオル湖に丘が迫る地形で、平坦な土地はほとんどない。従って湖岸と内陸部とではかなりの標高差がある。例えばミネソタ・ポイント砂州では標高185mだが、ダウンタウンの北西約8km、丘の頂上に立地するダルース国際空港での標高は435mになる。
このような地形であるため、ちょうど日本の神戸市やブラジルのリオデジャネイロの市街地が海岸線に沿って発展しているのと同じように、ダルースの市街地は南西から北東方向へ湖岸線に沿って細長く延びている。一方、丘の斜面や上にも住宅地が広がっているため、ダルースは心臓破りの急坂が多いことで有名である。ピードモントハイツ地区(Piedmont Heights)やベイビューハイツ地区(Bayview Heights)など丘の頂上付近に形成されている住宅地は、スペリオル湖や市街地を見下ろす天然の展望台になっている。近年では、丘を越えてさらに内陸にも開発が進み、郊外型の大型スーパーマーケットやショッピングモールが進出している。