ダビデ
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ナタンとバト・シェバはこれを聞いてダビデのもとに赴き、息子ソロモンを次の王にするという誓いをたてさせた。祭司ツァドクはソロモンに油を注ぎ、ここにソロモンがイスラエルの3代目の王となった[17]。ダビデはソロモンに戒めを残して世を去り、「ダビデの町」に葬られた[18]
聖書との関係[ソースを編集]
詩篇[ソースを編集]聖書に準拠したダビデ王の活躍

古代からの伝承では、150篇ある詩篇のうち多くがダビデの作であるとされ、73の詩篇の表題にダビデの名が現れる。ただし近代聖書学高等批評的には否定されている。
曾祖母ルツ[ソースを編集]

ユダヤ教原理主義者には無視されがちであるが、彼はモアブ人の血を引いている。彼の曾祖母であるルツは、『ルツ記』の記述に従えばモアブ人である。当時のイスラエル人と周辺諸民族は共存、通婚していたことを示している。加えて、彼女がモアブ人としてのアイデンティティと宗教的慣習を放棄し、イスラエル人のナオミが信じていた主なる神を受け入れて回心したことが、イスラエルに受容されたことの大きな理由となっていると考えられる(ルツ記1章16?17節を参照)。
イエス伝承[ソースを編集]

バビロン捕囚以後、救世主メシア)待望が高まるようになった。Uサムエル記7章、T歴代誌17:11‐14、U歴代誌6:16に記される通り、イスラエルを救うメシアはダビデの子孫から出ると約束されている(ダビデ契約)。新約聖書では、イエス・キリストはしばしば「ダビデの子(メシアの称号」と人々から呼ばれている。
史実性[ソースを編集]

ダビデの生涯を証明する資料は、聖書文献とわずかな考古学的発見である。

旧約聖書において、ダビデの物語は主にサムエル記に収められている。サムエル記の編纂時期も不明であるが、紀元前550年ごろに成立したとみられている。また、別の視点から物語を語る文献に歴代誌があり、これはおそらく紀元前350?300年に書かれたとされ、サムエル記と列王記を典拠としている。

考古学的根拠については議論中である。しかしながら、大きな議論を呼んだものとして、テル・ダン石碑がある。1993年にパレスチナ北部の遺跡テル・ダンで発見されたこの石碑は、紀元前9世紀末から8世紀初頭にアラム・ダマスカスのハザエル王が建立したとされる。王が戦いに勝利したことを記念する内容となっており、その中に「イスラエルの王」が挙げられているだけでなく、「??????(bytdwd)」というフレーズがあり、複数の学者がこれを「ダビデの家」と訳した。王名+「家」で王朝を意味するため、「聖書の歴史性を裏付ける新発見」として考古学雑誌だけでなく、ニューヨーク・タイムズタイムのような一般誌にも掲載されるセンセーショナルな発見となった[19]。他方、主に「??????(bytdwd)」の読み方について異議を唱える学者も少なからず存在する。[1]

イスラエル王国の統一君主制についても議論中の事項で、都市化された統一王国を統治していたという意見がある一方[20]、国家とも王国とも言えない小さな地域を首長として統治していたに過ぎないという見解もある[21]
図像[ソースを編集]聖王ダヴィド(ダビデ)のイコン18世紀ロシア正教会)。ダビデの星

ダビデはトランプのスペードのキングのモデルとされ、フランスのカードでは竪琴を持つダビデの姿が描かれている。
彫刻作品[ソースを編集]

ルネサンス初期の芸術家に数えられるフィリッポ・ブルネレスキを始め、ドナート・ディ・ニッコロ・ディ・ベット・バルディ(ドナテッロ)やバルトロメオ・ベッラーノ、アンドレア・デル・ヴェロッキオミケランジェロ・ブオナローティなど数多くの彫刻家が「ダビデとゴリアテ」(『サムエル記』上17章)の伝説を題材に取った彫像『ダビデ像』を建造している。

このうち、ドナテッロやヴェロッキオなど大多数は「右手に剣を携え、刎ね飛ばしたゴリアテの首を足元に転がす威風堂々たる少年の姿」を表した一方、ミケランジェロはそれら従来の情景とは全く異なる「左手に投石器を構えて右手に小石を握り締め、川を挟んで対峙したゴリアテを見据える緊迫した青年の姿」を表した。現在では、ミケランジェロのものがダビデ像の代名詞的存在として広く認知されており、ルネサンス以降のバロック期に名を馳せたジャン・ロレンツォ・ベルニーニもミケランジェロに倣って投石器を構えた青年のダビデ像を残している。

また、裸体でダビデの姿を表したドナテッロのダビデ像(ブロンズ像)が割礼された男性器を持つのに対し、同じく裸体でダビデの姿を表したミケランジェロのダビデ像は割礼されていない男性器を持つ決定的相違があり、これが「イスラエル人否定説(当時のイスラエル文化では男子の割礼は必然儀礼であり、イスラエル人のダビデが包茎である事自体が矛盾している)」「ローマ美術尊重説(ミケランジェロが古代ローマの彫刻技術を研究する中で「成人男子の包茎が美徳とされていた=神から授かった無垢の体を守り続ける」とする当時の風習を知り、それに最大限の敬意を払って自身の作風としていた)」など様々な論争の種となっている。
「ダビデの星」[ソースを編集]詳細は「ダビデの星」を参照

現在のイスラエルの国旗にも取り入れられている六芒星のマークは「ダビデの星」とも呼ばれているが、実際には歴史上実在したダビデ王とは関係がなく、後世に考案されたものである。
脚注[ソースを編集][脚注の使い方]^ a b 山我哲雄「「ダビデ」はダンで発見されたか? : テル・ダン碑文をめぐる最近の聖書考古学上の論争について」『基督教学』第31巻、日本基督教学会北海道支部/北海道基督学会、1996年7月、47-51頁、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}CRID 1050282813985086976、hdl:2115/46573、ISSN 02871580、NAID 120003089520。


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