ダノン
[Wikipedia|▼Menu]
ワファバンク

ワファバンクの発祥は、モロッコとアルジェリアがフランスの植民地となった20世紀初頭にある。源流は2行だが、さしあたり片方について述べる。植民地銀行(Compagnie Francaise De Credit et De Banque)は子会社をもっていたが(Compagnie Algerienne de Credit et de Banque)、1904年その子会社がモロッコのタンジェに最初の支店を設けた。1957年モロッコが独立するとき、タンジェをふくむ38支店も独立した。1964年それらは改称した(Compagnie Marocaine de Credit et de Banques, CMCB)。1965年、財閥(Moulay Ali Kettani)がフィリップスとジョイントベンチャーを合意した。財閥は1968年CMCBの支配権を握った。1980年ATMを整備し、このころ新たな経営者(Abdelhak Bennani)を迎えた。1985年にワファバンクを名乗った(Wafabank)。業容は生保、リース、モーゲージまで拡大していた。生保事業(SNA)はノーウィッチ(Norwich Union)とセント・ポール(後のトラベラーズ)のモロッコ生保に対する支配率を買収したものであった。1993年ワファバンクは株式公開し、翌1994年に財閥当主が死んだ。会長(Abdelhak Bennani)のリーダーシップによって、2001年ワファバンクはBBVAモロッコを買収した。しかし別の買収案件(Credit du Maroc)をめぐってはクレディ・アグリコルと対立し、ワファバンクはテイクオーバーの標的となった。2003年10月に財閥が内紛の妥協をみて、ワファバンクの持株会社をモロッコ商業銀行(Banque Commerciale du Maroc)に売却した。モロッコ商業銀行は1911年創立された強力な植民地銀行で、新ワファバンク(Attijariwafa Bank)の第二源流である。2004年、新ワファバンクはクレディ・アグリコルと提携し、かつて支配権を争った銀行(Credit du Maroc)のアセット・マネジメント事業を買収した。なお、同年ヴィヴェンディがモロッコテレコム(Maroc Telecom)の支配権を握った。世界金融危機前後の数年間にわたって、新ワファバンクは世界展開した(欧州各国、セネガル、中東、イギリス)。2009年クレディ・アグリコルの西アフリカ事業を買収した。2010年、庶民銀行(現BPCE)と共同出資でBNPパリバモーリタニアの80%を買収した。快進撃をアラブの春に阻まれたが、2014年に欧州事業を統合してゆく中で巧くドイツ銀行と商品開発を戦略提携した。[8]

新ワファバンクのアフリカ事業は直ちに立て直せたわけでなく、ISILの弱体化を待たねばならなかった。

新ワファバンクは日本企業がモロッコへ進出する窓口となっている。2016年には国際協力銀行と業務協力協定を締結した[9]。両行は日本企業が参画する大型インフラ事業において協調融資を行うなど、緊密な関係を構築してきた。2013年に開催された第5回アフリカ開発会議において、日本政府は2013年から2018年までの5年間で、最大3.2兆円を官民共同でアフリカに出資すると表明している。2017年、ワファバンクが新規事業開拓を共同で検討するため、住友商事了解覚書を締結した(9月4日発表)[10]。住友商事グループは、1976年カサブランカに拠点を設置している。

新ワファバンクは2018年3月現在ベルギーの銀行カルテル(ABB-BVB)に参加している[11]

ビッグバンのころに欧州委員会は大幅介入をもって、ベルギーの銀行部門における一連の競争制限的慣行を廃止した。カルテルは対抗して三つの協定を届け出たが、それらについて欧州委員会はローマ条約第85条第1項の趣旨に反し競争制限的であると判断した。協定のうち二つは、それぞれ、リベートの具体額や、リベート送金手数料の具体額に関する条項を含んだ。三つ目の協定はオフショア市場での業務手続を定めており、そこにも競争制限的な条項が存在した。結局、欧州委員会は三協定を認めた。業務多様化という実益とローマ条約第85条第3項を根拠とし、協定の追加・修正を例外なく速やかに報告することを条件としていた。[12]
現在とミューチュアルファンド

内モンゴル自治区の酪農は鉱業のように外資と関係していた。2014年、ダノンが10%近く参加する蒙牛乳業と、内モンゴル蒙牛ダノンデイリー(Inner Mongolia Mengniu Daily Co. Ltd.)なる合弁事業を立ち上げて、翌年からダノンが技術指導して製品を発売させた。このときダノンは雅士利社の株式を25%取得したが、翌2015年に同社へデュメックス(Dumex)の中国における幼児向け商品事業を移管させた[4]。デュメックスはデンマークの極東会社(East Asiatic Company)が1957年にタイへ設置した子会社である。薬から粉ミルクまで製造し、軍から幼児までを顧客に抱える。2005年、デュメックスは極東会社がヌミコに売却した[13]。2013年9月中ごろ中国中央電視台が報じたところによれば、デュメックスから賄賂を受け取った公営病院の医師と看護師を天津市が訴えているということであった[14]。2016年7月、BNPパリバとJPモルガン・チェースの後援を受け[15]、ダノンがホワイトウェーブ・フーズ(WhiteWave Foods)を買収した[16]。2017年7月、ダノンはストニフィールドをラクタリス(Lactalis)に8.75億ドルで売却すると発表した。

2017年第一四半期の主要株主はミューチュアル・ファンドばかりであり、首位からMFS(MFS Investment Management)、ナティクシスのハリス(Harris Associates)が運用するオークマーク(Oakmark Funds)、ファーストイーグル(First Eagle Investment Management, 1999年にソジェン子会社を傘下において顧問会社化)、そしてヴァンガード(The Vanguard Group)[17]。なお、ミューチュアル・ファンド以外の機関投資家でファースト・マンハッタン(First Manhattan Co.)も参加している。ファースト・マンハッタンの顧客はバークシャー・ハサウェイの主要株主である。
本社ダノン本社[注釈 3]

ダノン本社は大西洋銀行(Banque Transatlantique)本部であったビルに所在する。2000年、大西洋銀行が写真の建物から転居した。大西洋銀行を創立したのはウジェーヌ(Eugene Pereire)である。彼は、ロスチャイルドのライバルであったペレール兄弟で弟の方(イザーク)の息子である。1909年にロスチャイルドと姻戚関係となった。2002年、ここへダノンが入居した。

ジュール・グレヴィ大統領のとき、大西洋事業に対する政府の支援が打ち切られた。ペレール兄弟は大西洋総合会社(Compagnie Generale Transatlantique)を経営していたが、そこから政府が撤退したので、ウジェーヌは同社に対する持分を増やさなくてはならなかった。この資金を調達するため、オスマン債務管理局の設立年に大西洋銀行がつくられたのである。同行には親たちのクレディ・モビリエ同様に多くの株主がいた。クレディ・モビリエをミューチュアル・ファンドの原型とするなら、大西洋銀行も系譜であった。マンモスを志向したが大西洋間取引よりも地中海開発を当初は主軸に置いていた。将来的に大西洋へ進出するとして押さえるべき要衝が存在し、第二次モロッコ事件の年に大西洋銀行はモロッコ商業銀行(Banque Commerciale du Maroc)を設置した。

1933年、大西洋銀行がフランス外交官御用達のドズル銀行(Dosseur et Cie)を買収した。翌年、ベルギー総合会社がダイヤモンド顧問会議を招集する手助けをした。パリ万国博覧会 (1937年) のスポンサーにもなった。1941年、商工信用銀行が大西洋銀行の支配権を握った。これはナチス・ドイツによるフランス占領が行われるきっかけとなった。占領により大西洋銀行の資本関係が整理され、商工信用銀行の支配率が高まった。もはや大西洋銀行は商工信用銀行と競争する事業ができなくなった。代わりにまずホールセールを始めた。リテールは外人や外国滞在中のフランス人を相手に行った。オフショア市場の時代が到来して資本関係が変化した。1968年にモントリオール銀行が5%を獲得、1974年にクレディト・イタリアーノが商工信用銀行から20%を買収した。このような大西洋銀行がビッグバンでロンドンに代理事務所を設置した。1989年に世界中の顧客を対象とした投資顧問会社をつくった(Helder Immobilier company)。「外交官の銀行」と呼ばれるに相応の世界展開を今日まで続けている。
日本でのダノン

法人ごとに説明を付す。
ダノンジャパン株式会社
1980年、味の素とダノンが折半出資で「味の素ダノン株式会社」を設立した。1992年にこの事業を引き継ぎ、味の素およびカルピスとダノンの合弁(ダノン50%、カルピス30%、味の素20%出資)による「カルピス味の素ダノン株式会社」を設立し、ダノンブランドのヨーグルト・デザートやカルピスブランドのチルド飲料を製造・販売していた。しかし、2007年1月31日にダノンの100%出資子会社となり、翌2月1日、社名を「ダノンジャパン株式会社」に変更した。1987年にカルピスが日本においての"エビアン"(Evian)・ミネラルウォーターの独占販売権を取得し、2000年にはカルピス・味の素・伊藤忠商事による合弁会社「カルピス伊藤忠ミネラルウォーター株式会社」を設立して、日本におけるエビアンブランドのミネラルウォーターの販売者となっていた。しかしカルピスとダノンの提携解消により、2008年4月13日をもって取り扱いを終了した。翌2008年4月14日からは、カルピスに変わって伊藤園がエビアンの日本での独占販売権を取得し、伊藤忠商事と合弁で「伊藤園・伊藤忠ミネラルウォーターズ株式会社」(出資比率:伊藤園65%、伊藤忠35%)を設立して、エビアンブランドの販売・マーケティング等を行っている。
ダノンウォーターズオブジャパン株式会社
エビアンおよび ボルヴィック(Volvic)ブランドの管理・マーケティングを行う日本法人。
キリンMCダノンウォーターズ株式会社
ボルヴィックブランドのミネラルウォーターの日本における販売と、キリンビバレッジのウォータービジネスの強化を目的として、三菱グループであるキリンビバレッジおよび三菱商事との合弁により、「キリンMCダノンウォーターズ株式会社」を設立し、"Volvic"および「アルカリイオンの水」ブランドの飲料水を販売している。(キリンビバレッジ51%、ダノン25%、三菱商事24%出資)
ヤクルト本社
ダノン名義でヤクルト本社の株式20%を保有する筆頭株主であったが、2020年にヤクルト本社の株式をすべて売却し資本関係に終止符が打たれた[18]
脚注
注釈^ 彼はよりアメリカ風な発音になるように、ブランド名をDannonに変えていた。
^ フランスのモロッコに対する金融利権はドイツ・オリエントバンクにさかのぼる。
^ フランス・パリ9区オスマン大通り17番地 (17 Boulevard Haussmann, Paris 9e arr.)

出典^ a b c d e “ ⇒Registration Document 2015” (PDF). Danone. 2016年6月17日閲覧。[リンク切れ]
^ “ ⇒Our Heritage” (英語). ダノン. 2017年1月3日閲覧。
^ Charles W. L. Hill, Gareth R. Jones, Strategic Management: An Integrated Approach, Houghton Mifflin Company, 1992, p.854.
^ a b c d e f International Directory of Company Histories, Vol.189.
^ “ダノン、ロシアの乳製品事業から撤退へ?10億ユーロの減損処理見込む(ブルームバーグ)”. LINE NEWS. 2022年10月14日閲覧。
^ “ロシア、ダノン子会社株など管理下に 大統領令を発出”. AFPBB News. フランス通信社. (2023年7月17日). https://www.afpbb.com/articles/-/3472864 2023年7月17日閲覧。 
^ Canonical ID: 09CASABLANCA226_a, "PALACE COERCION PLAGUES MOROCCO'S REAL ESTATE SECTOR", 2009 December 11, 17:42 (Friday), Retrieved 2017/10/02
^ International Directory of Company Histories, vol.162, pp.44-48.
^ AfricaQuest.com ⇒JBIC、モロッコ最大の商業銀行とMOU締結!日本企業のアフリカビジネスの新規拡大を支援! 09/28/2016
^ AfricaQuest.com ⇒住友商事、モロッコ最大の商業銀行とMOUを締結!アフリカで新規事業開拓を共同実施へ! 09/04/2017
^ Febelfin, Membres de l’ABB / Leden van de BVB, Retrieved 2018/03/22
^ OECD 『規制緩和と民営化』 東洋経済新報社 1993年 165-166頁
^ ヌミコ " ⇒Numico to acquire EAC’s Baby Food business for ? 1.2 bn in cash (Press Release)", 2005/11/14, Retrieved 2017/10/01
^ CHINADAILY USA, "Bribery claims feed milk scandal", By Zhao Xu, Peng Yining and Yang Yang, Updated: 2013-10-22, Retrieved: 2018-03-23, saying, "In mid-September, China Central Television reported that the government in Tianjin had accused doctors and nurses at public hospitals of accepting bribes from Dumex, a French company that makes nutritional products for infants and children."
^ Reuters, "BRIEF-Danone is working with JpMorgan Chase and BNP Paribas to arrange funding to buy Whitewave foods- Bloomberg, citing sources", July 8, 2016, Retrieved March 23, 2018.
^ “仏ダノン、米健康食品ホワイトウェーブの買収で合意?約1兆円”. ブルームバーグ (2016年7月7日). 2017年1月3日閲覧。
^ Yahoo Finance "Major Holders", Retrieved 2017/09/30
^ ヤクルト " ⇒Distribution of Ownership Among Shareholders", Retrieved 2017/10/01

外部リンクウィキメディア・コモンズには、ダノンに関連するカテゴリがあります。

ダノンジャパン

ダノンジャパン株式会社 (DanoneJapan) - Facebook

ダノンジャパン (@danonejapan) - X(旧Twitter)

ダノンジャパン株式会社 (@danone_japan) - Instagram

DanoneJapan - YouTubeチャンネル

Danone S.A. コーポレートサイト(英語)(フランス語)

Groupe Danone History










CAC 40 構成銘柄(2024年3月18日入替時点)   → CAC Next 20
銘柄入替日時点でのウェイト順。緑字は2024年3月18日入替銘柄。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:103 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef