ダウンタウン・ヒーローズ
演 - 中村橋之助(青年期)、中村芝翫(老齢期)男子校である松山高校の生徒で東寮で暮らす。真面目だがどちらかと言うと気弱な性格。道で房子を見かけて以来密かに好意を寄せるが、奥手なため中々気持ちを伝えられないでいる。文化祭では東寮の仲間と共に、ドイツ人の小説家・フリードリヒ・ヘッベルの小説『理髪師チッターライン』を基にした演劇を披露する。劇中劇では、ヒロインの相手役・レオンハルト役を演じる。
檜圭吾(オンケル)
演 - 柳葉敏郎洪介の同級生で寮仲間。東寮のリーダー的存在。行動力があり硬派で熱血な性格だが、やや短気な所がある。咲子を寮に匿ってくれるよう、保守的な考えの寮委員会に強く主張する。自身が代表となり劇中劇のゲスト出演の依頼をしに女学校に行った時に房子に出会い一目惚れする。劇中劇では演出を担当し仲間たちに色々と指示する。
高井貞一(アルル)
演 - 尾美としのり洪介の同級生で寮仲間。メガネをかけていて国民服らしき服を着ている。クリスチャンで、普段から神に祈ったり賛美歌を口ずさんでいる。清廉潔白で思いやりある性格で長一郎からはその誠実な人柄を評価されている。音楽と読書が好きで夏目漱石のファン。戦争により家族全員が既に亡くなっている。劇中劇ではBGM担当として一人フルートを演奏して雰囲気を盛り上げる。
石堂岩夫(ガン)
演 - 杉本哲太洪介の同級生で寮仲間。顔の周りをヒゲと長めの髪の毛で覆われている。ドイツ文学の教師から冗談交じりに「恐ろしい顔の男」と評されている。ゲーテに感銘を受けて時々彼の言葉を述べている。同級生の中でも特に女性に免疫がなく興奮で何度か鼻血を出している。劇中劇では、ヒロインの父親役を演じる。
佐伯長一郎(チョピンスキー)
演 - 坂上忍洪介の同級生で寮仲間。いつも学帽を被り深緑色の上着を着ている。咲子を騙した男が警察に捕まったことを伝え、騙されたことを知って落ち込む彼女の身を案じる。素人ながら文才があるようで、ヘッベルが書いた短編小説『理髪師チッターライン』の脚本を手がける。劇中劇のクライマックスの演出について圭吾と意見が対立する。
原田勝(ホルタン)
演 - 武野功雄洪介の同級生で寮仲間。格子柄の着物で高校生活を送っている。当初、劇中劇のヒロイン役を房子に最初に頼んだのは、自身であるがその時は圭吾から「厚かましいこと言うな!」と叱られている。よく洪介の部屋に集まっては仲間たちと過ごしたり、皆で歩いてどこかへ行く時は歌を歌うなど親しくしている。元気はあるがケンカは弱い。
炊事委員
演 - 黒崎輝高校の生徒。主食の配給状況が悪いため、寮で土日を過ごす者に土日の食事確保を生徒自らでするよう告知する。
兵頭実
演 - 北山雅康洪介の同級生で寮仲間。
谷口咲子
演 - 石田えり高校がある街の遊郭の娼婦。本作の準ヒロイン的存在。あだ名は『さっちゃん』。足抜け(遊郭から逃げ出すこと)するつもりで馴染みの客と駆け落ちの約束をするが騙され、遊郭と関わりのあるかわしま組に追われる身となる。偶然出会った貞一たちに寮で匿ってもらう。天真爛漫と大胆さを兼ね備え、色気がありながらさっぱりとした性格。
若手女優
演 - 戸川純洪介が高校を卒業後に立ち寄った芝居小屋で出会う。小劇団が演じる劇中劇のヒロイン役を務める。
座長
演 - じん弘 「髪結い太吉・哀話」で太吉役を演じる。
ドイツ文学の教師
演 - 米倉斉加年高校で、ヘッベルやフリードリヒ・フォン・シラーなどのドイツ文学を授業で教える。ドイツの小説の解釈やドイツ文学にかける情熱を表現豊かに生徒たちに語る。洪介たちが『理髪師チッターライン』の劇をやることになり楽しみにする。
ヤクザの親分
演 - 笹野高史咲子が働いていた遊郭と関わりのある人物。手下の組員が咲子を探しに高校の寮に行った時に騒動を起こしたため、後日組員と共に高校にやって来る。組には、特攻隊帰りの荒くれ者が所属している。
警察署長
演 - 加藤武高校で学生たちがかわしま組と乱闘を起こして現場検証が必要になって訪れるが学生たちと対立する。ただし、命令口調や威圧的な態度は取らず、学生たちに頼み込むという弱腰な性格。
房子の親戚のおばさん
演 - 樫山文枝洪介がバイトで家庭教師をしている子の母親。親戚のよしみで房子に時々家事を手伝ってもらう代わりに生活費を工面してあげている。夫や親族が松山中学校(旧制)→松山高校→京都大学というエリート一家(おばさん自身の学歴は不明)なため、教育熱心だがいまいち集中力に欠ける息子を心配している。
志麻民子
演 - 倍賞千恵子洪介の母。夫と両親(夫のか自身のかは不明)と娘二人と暮らしている。中々連絡をしてこない洪介が、夏休みに久しぶりに帰省したことを喜ぶ。後に松山高校の文化祭の劇中劇を観覧するため娘たちと来校する。
春之助
演 - 渥美清高校で働く人。周りから『食堂のおじさん』と呼ばれているが実際は学校用務員で、食事を提供する傍ら、校内の様々な雑務をこなしている。あだ名は『春さん』。生徒たちの劇中劇の練習を見学していた所、適役がいないとの理由で占い師のおばあさん役を任されることになる。
作中の設定など
松山高校には『三光寮』という2階建ての寮があり,入口を中心に東側の棟を『東寮(とうりょう)』,西側の棟を『西寮(せいりょう)』と通称している。洪介たちは『東寮』で生活している。
高校には制服はあるが終戦からまだ数年後という混乱期ということもあり、制服以外の服を着て授業を受けても教師から注意されることはなく自由である。
高校の生徒たちは不良ではないが威勢の良い強気な者が多く、警察官やかわしま組の組員にも全くひるむことなく、対等に自分たちの意見を主張したり校内で乱闘したりしている。
松山高校の生徒たちと房子が通う女学校の生徒たちは、普段の交流がほとんどない。そのため洪介たち男子生徒は女学生と面と向かうだけで緊張したり、女学校に訪れた男子を見た女学生が悲鳴を上げて逃げたりしている。
作中では、洪介たちは「ダンケ→ありがとう」、「メッチェン→娘(女学生)」などの意味でドイツ語らしき言葉を時折で使っている。
秋田犬か柴犬かは不明だが、高校の校内で『タロー』と名付けられた犬が飼われていて、教室内や寮内を自由に行き来して周りから可愛がられている。
撮影について米博物館(旧宇和町小学校校舎)米博物館 60間(109メートル)の廊下作中に古い校舎の風景が出てくるが、これはセットではなく、当時現存していた同県東宇和郡宇和町(現・西予市宇和町)の宇和町小学校をロケ地として撮影したものである。宇和町小学校は当時築100年以上という歴史ある校舎を使用していたため、作品のバンカラな情景と非常に合うとのことでロケ地に選ばれた。松山からは、高速道路を使用して1時間程南下した位置にある。
現在は新しい校舎となり、当時の校舎は町内の別の場所に当時のままで移転・構築され、「米博物館」になっている。109メートルの廊下を用いて毎年行われる雑巾がけレース「Z-1グランプリ」が各テレビ番組で紹介されるほど有名である。
坊っちゃん列車(伊予鉄道の蒸気機関車列車)に主人公たちが乗る場面は、線路の移設で廃止となった旧内子線(当時の五十崎町内)の線路に、米山工業で復元された蒸気機関車と客車を走らせて撮影された。
受賞歴
第12回日本アカデミー賞
最優秀助演女優賞(石田えり)
優秀作品賞
優秀監督賞(山田洋次)
優秀脚本賞(山田洋次、朝間義隆)
優秀助演男優賞(柳葉敏郎)
優秀音楽賞(松村禎三)
優秀録音賞(鈴木功、松本隆司)
新人俳優賞(中村橋之助)
脚注[脚注の使い方]^ 「1988年邦画4社<封切配収ベスト作品>」『キネマ旬報』1989年(平成元年)2月下旬号、キネマ旬報社、1989年、172頁。
関連項目
松山高等学校 (旧制)
外部リンク
ダウンタウンヒーローズ - allcinema
⇒ダウンタウンヒーローズ - KINENOTE
表
話
編
歴
山田洋次監督作品
1960年代
二階の他人(1961年)
下町の太陽(1963年)
馬鹿が戦車でやって来る(1964年)
いいかげん馬鹿(1964年)
馬鹿まるだし(1964年)
霧の旗(1965年)
なつかしい風来坊(1966年)
運が良けりゃ(1966年)
喜劇 一発勝負(1967年)
愛の讃歌(1967年)
九ちゃんのでっかい夢(1967年)
吹けば飛ぶよな男だが(1968年)
ハナ肇の一発大冒険(1968年)
喜劇 一発大必勝(1969年)
1970年代
家族(1970年)
故郷(1972年)
同胞(1975年)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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