『ターミネーター3』(原題:Terminator 3: Rise of the Machines、T3)は、2003年のアメリカのSFアクション映画。ジョナサン・モストウが監督、ジョン・ブランカートとマイケル・フェリスが脚本を務め、アーノルド・シュワルツェネッガー、ニック・スタール、クレア・デインズ、クリスタナ・ローケンら出演する。『ターミネーター』シリーズの3作目であり、『ターミネーター2』(1991年)の続編。
1995年末までに、ジェームズ・キャメロンは『ターミネーター』第3作の監督に興味を持っていた。それまでの作品では監督と共同脚本を担当していたが、最終的には『ターミネーター3』には関与しなかった。将来のターミネーター続編の権利の半分を所有していたカロルコ・ピクチャーズは、1995年11月に破産し、1998年にアンドリュー・G・ヴァイナとマリオ・カサールが全権を取得し、本作を製作した。最終的な製作費は1億8730万ドルで、2003年当時では、それまでのハリウッド映画の中で最も高額な作品となった。
2003年6月30日にロサンゼルスのウェストウッドでプレミア上映され、2003年7月2日に米国ではワーナー・ブラザース・ピクチャーズが公開した。全世界で4億3,340万ドル以上の興行収入を記録し、2009年には続編『ターミネーター4』が公開された。
ストーリー
プロローグ
T-1000との壮絶な死闘から10年後。スカイネットが人類に反乱し、核戦争が起きるはずだった1997年8月29日は無事に過ぎ去り、「審判の日」は回避されたかに思われた。母サラ・コナーを白血病で失い、青年に成長したジョン・コナーは、平穏かつ無目的な日々を送るが、未だに胸のどこかで不安を感じており、時にはターミネーターの夢を見ることさえもあった。
序盤
ジョンの不安は的中し、2032年から新たに2体のターミネーターが送り込まれた。1体は未来のジョンの副官となる者達の抹殺を目的とする、T-1000の性能を遙かに凌ぐ、強力なターミネーターT-X。そしてもう1体は、十数年前にコナー親子をT-1000の襲撃から守り、燃え盛る溶鉱炉へ入って消滅したT-800型の改良版T-850である。すぐさま副官達の殺害に回ったT-Xは、その過程でジョンの行方を把握して殺害しようとするが、そこへT-850が現れてジョンを救う。スカイネットの誕生を阻止したはずなのに、再びターミネーターが現れたことに驚くジョンへ、T-850は「核戦争は回避されたわけではなく、ただ予定が狂い延期されたのみ」であり、「審判の日は回避不可能」であることを告げる。
中盤
幼馴染であり、未来では妻かつ反乱軍副官となるケイト・ブリュースターも巻き込んだ逃避行の中、ジョンはその新たな「審判の日」がまさに今日その日であり、ケイトの父かつ軍の高官ロバート・ブリュースターがその鍵を握る人物であることを知る。一行はスカイネットの誕生を阻止すべくロバートの許へ向かうが、一足遅く彼はT-Xに殺害されてしまう。T-XとT-850との激しい戦闘が行われ、T-850は自らもろともT-Xを撃破する。T-850に別れを告げ、ジョン達はスカイネット誕生を阻止すべくその本社へと急ぐ。
終盤
スカイネットを破壊しようとしたジョンとケイトが核シェルター内で目にしたものは、冷戦時代の時代遅れの大型コンピューターに過ぎなかった。すなわち、T-850の本当の目的は、審判の日にジョンとケイトを生き延びさせること、そしてスカイネットとは巨大な中枢システムではなく、インターネットで結ばれた破壊困難な分散型システムだったのである。そして午後6時18分、ついに「審判の日」が訪れた。全世界が壊滅し、わずかに生き残った面々からの通信にジョンがリーダーとして答える中、物語は幕を下ろす。
キャスト詳細は「ターミネーターの登場人物」を参照
T-850
演 - アーノルド・シュワルツェネッガー過去のジョンを守るため、未来のケイトがプログラムを書き換えて送り込んだターミネーター。T-800の改良版。T800に比べてパワーと耐久性が大幅に向上しており、パワーセルも2つ装備している。
ジョン・コナー
演 - ニック・スタール後の人類抵抗軍のリーダー。前作で「審判の日」を阻止した結果、人生の目的意識やアイデンティティーを見失ったたため、母が死んだ日から放浪生活を送っていたが、武器の扱いなどのサバイバル技術の数々は失われていない。
ケイト・ブリュースター
演 - クレア・デインズ後の人類抵抗軍の副リーダーかつジョンの妻となる。 獣医をしている。
T-X
演 - クリスタナ・ローケン過去のジョンを殺害するためと、ジョンの保護に抵抗軍が送り込む旧式ターミネーターを破壊するため、未来のスカイネットが2032年に開発して過去に送り込んだ、女性型の「ターミネーター抹殺用」ターミネーター。
ロバート・ブリュースター
演 - デヴィッド・アンドリュース(英語版)ケイトの父。アメリカ空軍の中将。スカイネット開発計画「サイバー・リサーチ・システムズ」 (CRS) の総責任者。T-Xのターゲットの一人。
スタッフ
監督 - ジョナサン・モストウ
脚本 - ジョン・ブランカート/マイケル・フェリス
製作 - マリオ・カサール/アンドリュー・G・ヴァイナ
VFX - インダストリアル・ライト&マジック/ハイドラックス
特殊メイク・アニマトロニクス - スタン・ウィンストン
音楽 - マルコ・ベルトラミ
製作
キャメロンの関与
キャメロンは1995年までは『T3』製作プロジェクトに関与していたため、何度か3作目の可能性を語っており、『ターミネーター 2:3-D』製作当時のインタビューでも『T3』について語っていたが、1997年公開の『タイタニック』が大ヒットすると続編の製作に消極的になり、「物語は『ターミネーター2』(『T2』)で完結しており、続編を作るべきではない」と考えるようになったため、最終的に製作から離脱した。自身が所有する権利についてはゲイル・アン・ハードと離婚した際、慰謝料代わりに1ドルで売り渡していた。シュワルツェネッガーが『T3』への出演を相談した際には「出演料の3000万ドル以外に得るものはないよ」と助言している。結果、自身の関与なしに本作が作られることになったが、「私はシリーズで小銭を稼ぐような人を憎むような意地汚い人間ではないから、勝手にすればいい」、「私が権利を買い取ればいいと言われるけど、誰が5000万ドルも出して権利を買うんだ?しかもさらに3000万ドルの出演料もかかるんだよ」と語っている。また、T2で回避したはずの審判の日を、T3では先延ばしにしたストーリーをキャメロンが批判している。だが、ユニバーサルスタジオのアトラクション用に、キャメロンが監督を務めた『ターミネーター 2:3-D』(『T2:3D』)のストーリーでは、T2で審判の日は回避されておらず、ジョンとサラはサイバーダイン社の破壊活動を続けており、現代世界のジョンがターミネーターと共に未来世界に行き、スカイネットを破壊するストーリーであった。キャメロン自身も審判の日は回避不可能であり、機械と人類の戦争は確定した未来であることを、『T2:3D』で演出していた。またターミネーターは量産型であり、ジョンと仲良くなるためにサングラスをつけた状態で現れる演出を、いち早くキャメロンが行っていた。
製作までの経緯
1990年代後半、『ターミネーター2』の続編である『ターミネーター3』製作に向けての動きが水面下で進行していた。1997年にマリオ・カサールとアンドリュー・G・ヴァイナが『ターミネーター』の権利を800万ドルでカロルコ・ピクチャーズから購入した。その後ジェームズ・キャメロンは『ターミネーター3』のプロジェクトから降板。また主演のシュワルツェネッガーもこの時点では「キャメロンが監督しないのなら出演しない」と発言していた。それに対してカサールとヴァイナは「シュワルツェネッガーが出演しなくても2001年には『T3』の製作を開始する」と語っていた。