ターミナル_(映画)
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1958年、熱狂的なジャズファンだったビクターの父ディミタル・ナボルスキーは、ハンガリー新聞A Great Day in Harlem写真を見た。それはニューヨークのジャズミュージシャンたちの集合写真であった。ディミタルはその写真の57人のジャズプレイヤーに40年間何百通というファンレターを送り続け、一人ひとりからの返信でもらったサインをピーナッツの缶に大切に保管していた。しかし、メンバーのひとりベニー・ゴルソンからだけは返事が来ず、やがてディミタルは他界してしまった。ディミタルが亡くなる前、ビクターは父に「必ずニューヨークへ行って、ベニー・ゴルソンのサインをこの缶に入れる」と約束した。父との約束を果たすためにビクターはJFK空港でずっと外に出る機会を待っていたのだった。
終盤

その翌日、クラコウジアの内戦は終結する。喜ぶビクターのもとにアメリアが訪れ、コネで手に入れた『アメリカに24時間だけ入国できる特別ビザ』を渡した。ニューヨークへ行けることになったビクターの最後の障害となったのは、事あるごとに彼と対立してきたディクソンであった。ディクソンは特別ビザに必要な自身の署名を拒み、それどころか、ビクターが帰国しない場合は友人である空港職員たちを解雇することを仄めかし、ビクターに即刻クラコウジア行きの便に乗るように迫った。

ニューヨーク行きを諦めてクラコウジアに帰ろうとしたビクターだったが、グプタが誘導路に侵入、折り返しクラコウジア行きとなるはずの飛行機をゲート寸前で止めたため、クラコウジア行きの便は遅延となり、エンリケら空港の仲間たちに背中を押され、不法入国ではあるが、ニューヨークへ行く決心をする。

ディクソンが入国審査官にビクターを逮捕するよう命じるが、レイは自身の制服上着を着せビクターの入国を黙認、空港中の職員たちに見送られて、長らく住んだターミナルを後にし、ビクターはニューヨーク市街へと向かった。
エピローグ

ニューヨーク市街のラマダ・インを訪れたビクターは、ラウンジで演奏するベニー・ゴルソンと対面した。ついに、ベニー・ゴルソンのサインを手に入れたビクターは、ホテルを後にしてタクシーに乗り込んだ。ビクターは車内で最後のサインを缶に入れると、「どちらへ?」と尋ねた運転手に「家に帰るんだ」と応えたのであった[5]
主な登場人物
ビクター・ナボルスキー (Viktor Navorski)
クラコウジア人の中年男性。年齢・職業などは明かされてないが、アメリアとの会話から建設作業員として働いた経歴があり、歳は40代以上であることがわかる。
大工仕事が得意で、教養はあり、愛国心に満ち、性格はとても真面目で素直である。少々不器用で要領は悪いが、約束は必ず守る。また、空港内でニューヨーク案内の英語の本とクラコウジア語の本を購入し、見比べて、英語を習得している。初めのうちは英語も片言だったが、物語終盤には完全に習得している。長い空港生活のなかで、多くの空港職員と親しくなり、仕事もみつける。
アメリア・ウォーレン (Amelia Warren)
ユナイテッド航空ファーストクラス担当のフライトアテンダントである。実際は39歳だが、33歳とも27歳ともサバを読む。5秒と1人でいられず、毒になる男を次から次へ食べてしまうという悪い癖があり、本人も自覚している。長いし、安いし、男が殺しあうからと、歴史の本をよく読む。特にナポレオンがお気に入りである。
フランク・ディクソン (Frank Dixon)
JFK空港の国境警備局主任。警備局長に昇進する予定だったが、ビクターとの揉め事で予定の時期から昇進延期となってしまった。真面目な性格で麻薬を密輸した人間を即座に見破るなど職務能力は高いが、一方で自分の昇進を阻んだビクターを厄介者として逆恨みし、故意に不法入国させることで空港から追い出そうとするなど陰湿な一面もある。ニューヨーク市街へ行きたいというビクターと最後の最後まで対立し、脅しを含めてビクターをクラコウジア行きの飛行機に乗せようとするも、空港中の職員がビクターの味方をするのを見て結局彼を見逃す。中盤では空港に許可無く薬を持ち込んだミロドラゴビッチを庇ったビクターに激高し、上司のサルチャックと他の職員の前でビクターとクラコウジアを貶める発言をし、これを喧伝される失態を演じる。最終的にはサルチャックの後を引き継ぐ形で警備局長に昇進したものの、ビクターとミロドラゴビッチの件をサルチャックに咎められた。
レイ・サーマン (Thurman)
空港の警備員。ディクソンの部下。ビクターに空港内を案内する。初めはビクターに対して高圧的だったが、最後はニューヨーク市街へ向かう彼をターミナルの玄関から送り出す。
ジョー・マルロイ (Joe Mulroy)
空港の職員(貨物輸送担当)。ビクターと友人になる。
エンリケ・クルズ (Enrique Cruz)
フード・サービス勤務。スペイン語圏出身のヒスパニック。入国審査官のドロレス・トーレスに恋をしていた。そのためビクターに対して食事(機内食)を提供するかわりにドロレスに様々な質問をするようにと取引していた。後にドロレスと結婚する。
ドロレス・トーレス (Dolores Torres)
JFK空港の入国係官。ビクターを介して、後にエンリケと結婚する。スタートレックの熱狂的なファンで、ヴァルカン・サリュートをする場面がある。
グプタ・ラハン (Gupta Rajan)
JFK空港の清掃員。インド・マドラス出身。「予約とってあるか?」が口癖。床をモップで濡らしておき、そこを通る人が滑って転ぶのを眺めるのが唯一の楽しみ。当初ビクターをCIAのスパイではないかと考えるほど疑っていたが、最後には協力するほどの仲になった。特技はジャグリング。かつてインドで汚職警官に対し殺人未遂を犯したことで指名手配犯となった犯罪者で、家族を置いてアメリカへ逃げてきたという過去をもつ(そのため、アメリカで逮捕・強制送還となると、インドで獄中生活を送ることになる)。ラストではディクソンの策略でクラコウジアに送り返されそうになったビクターをニューヨークへ行かせるため、強制送還されるのを覚悟の上でターミナルに向かってくるボーイング747(ビクターが乗る予定だったクラコウジアに帰る便)に突撃して遅延させた。銃をもった空港警察に囲まれ、「お前ら、予約とってあるか?」と凄んでみせるシーンで退場となる。
サルチャック (Salchak)
JFK空港の国境警備局長。


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