タンタン_(キャラクター)
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タンタンはどちらかというと中立的な性格であるため、自らを取り巻く悪や愚かさ、無分別なことがらに落ち着いた反応を返す。それにより読者は、強い主人公が大暴れするのをただ見守るのではなく、タンタンに成りきって読むことができるのである[21]。タンタンの描写が記号的であることはこのような側面を高めている。漫画の専門家スコット・マクラウド(英語版)は、タンタンの象徴的で中立な性格と、エルジェ特有の「際立って写実的な」ハッキリした線(リーニュ・クレール=クリア・ラインと呼ばれるスタイル)の組み合わせにより、「読者は[記号的な]キャラクターの中に自己を埋没させて、[リアルに描かれた背景の]感覚刺激に満ちた世界へと安全に入っていけるようになる」と述べている[22]

他のキャラクターに対しては正直で礼儀正しく、思いやりがあって親切である[17]。さらに彼は、エルジェがそうであったように控えめで出しゃばらず、エルジェがそうなろうと努力したように友人に対して誰よりも忠実である[17]。一方で、『かけた耳』において銃殺隊に直面する前に泥酔したり、『月世界探検』においてハドックが原因で全員が落命の危機に陥った際に彼を嗜めるといった一面も見せる。しかし、マイケル・ファーによればタンタンは「きわめて広い心」を持っていて、『タンタンチベットを行く』ではそれにふさわしい「グレート・ハート」という名を与えられた[17]。時には無邪気であり、政治的運動を推進したり現実逃避主義者かのような一面も見せるが、実際のところはシニカルな一面が強い[23]。エルジェが「タンタンが道徳家だとしても、物事を深刻に受け止めない道徳家だ。だから彼の漫画からユーモアが失われることがないんだ」と述べているように、善人ぶるところはあっても気難しくはない[24]。タンタンが世界中で人気を博したのはこのユーモアセンスのためだと言える[23]
脚注^ Tintin pronunciation in French(Forvo)
^ a b c d Assouline 2009, p. 20.
^ a b Thompson 1991, p. 35.
^ Farr 2007, p. 16; Thompson 1991, p. 33.
^ Farr 2007, p. 18.
^ Farr 2007, p. 18; Sadoul 1975.
^ a b c Farr 2007, p. 17.
^ a b c Assouline 2009, p. 21.
^ Thompson 1991, p. 119; Farr 2007, p. 14.
^ a b Thompson 1991, pp. 38?39; Farr 2007, p. 15.
^ a b c d Farr 2007, p. 15.


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