タロとジロ
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また2006年(平成18年)7月15日 - 9月3日まで上野の国立科学博物館で開催された「ふしぎ大陸南極展2006」でもジロと共に剥製が展示された[9]

その後は再び、北海道大学植物園でタロの剥製が、国立科学博物館でジロの剥製が展示されている。

なおタロとジロを発見したS58型ヘリコプター1号機は1973年に退役後、南極観測時代の塗装に戻し1974?1998年まで東京・上野の国立科学博物館にジロと共に保存されていたが、1999年から筑波の保存庫に移った。同じくタロとジロを発見した2号機は1966年3月5日、全日空羽田沖墜落事故の遺体捜索中に海に墜落し失われた。この事故で亡くなった3人の中1人の里野光五郎機長はタロとジロを発見した時のパイロットだった。
慰霊祭

1956年に稚内公園で第1次南極観測隊に参加する樺太犬の訓練が実施されたことから、1961年から稚内公園の供養塔前で南極観測隊で活躍した樺太犬の慰霊祭が執り行われている[10]
映像化

1983年(昭和58年)、タロとジロの生存劇を描いた映画『南極物語』が公開された。本作では、1968年(昭和43年)12月19日に第9次観測隊を率いて日本人として初めて南極点に到達した村山雅美が監修を行った。樺太犬が調達できないため、南極観測に最も多く用いられたエスキモー犬(アラスカン・マラミュートシベリアン・ハスキーサモエドグリーンランド・ドッグカナディアン・エスキモー・ドッグ)で代用された。1984年(昭和59年)にテレビ東京で放送されたアニメ『宗谷物語』でも、タロとジロについて描かれている。さらに、2006年(平成18年)には、アメリカ合衆国ウォルト・ディズニー・ピクチャーズによって、この話を元に設定を変えた"Eight Below"(邦題『南極物語』)が製作された。2011年(平成23年)には『南極大陸』としてTBSでテレビドラマ化された。

なお、『南極物語』や『南極大陸』などの作品はあくまで創作であり、実際のできごととは異なる部分がかなりあるので注意が必要である。
別の視点からみた南極の犬たち

犬たちを鎖につないだまま置き去りにしたということで、当時、南極観測に関わった人々への激しい批判が起きた。

SF作家の星新一は、この事件は人間側から見れば美談であるが、ペンギンの立場から見れば、獰猛な肉食動物を人間が置いていったために大被害を受けたという悲劇ではないかと考え、この視点からショートショート作品を1編書いている。「探検隊」という題名で、1961年(昭和36年)の作品集『ようこそ地球さん』に収録されている。また藤子・F・不二雄は、SF短編「裏町裏通り名画館」の中で、タロとジロを想起させる犬に捕食されるアザラシの親子の苦難を描いた映画(作中では『北極物語』つまり北極越冬隊の犬という設定)を登場させている。音楽家の團伊玖磨は鳥好き、犬嫌いの立場から、タロとジロを題材としたラジオドラマの音楽の仕事を断ったとエッセイ『パイプのけむり』の中で語っている。

21世紀現在では生態系保護のため、南極に犬など外来の生物を持ち込むことはできない(犬ぞりも参照)。
参考:第1次越冬隊に同行した樺太犬一覧

名前出身地年齢備考
アカ
稚内5昭和基地で没
アンコ苫小牧2行方不明
クロ利尻3.5昭和基地で没
ゴロ稚内2昭和基地で没
ジャック利尻3行方不明
シロ利尻2行方不明
シロ子稚内0.5第1次越冬後、8頭の子と共に帰国
ジロ稚内1第4次越冬中に病死
タロ稚内1第4次越冬後に帰国
テツ旭川6第1次越冬中に病死
デリー旭川5行方不明
比布のクマ比布4.5第1次越冬中に失踪
風連のクマ風連3行方不明、タロとジロの実父
ペス利尻4昭和基地で没
ベック利尻3.5第1次越冬中に病死
ポチ利尻2.5昭和基地で没
モク深川2昭和基地で没
紋別のクマ紋別3昭和基地で没
リキ旭川6行方不明→9年後に昭和基地付近で死体発見(※)


注:年齢は「宗谷」出港時のもの。シロ子のみ雌、他全て雄。

(※) 1968年2月に昭和基地付近で1頭の死体が発見されている。詳細な記録は残っておらず、どの犬であったかは特定されていないが、北村はリキだと推定している[11]。鎖から抜け出せたが基地から離れなかったのは、第一次越冬中からよく面倒をみていた年下のタロとジロを見捨てられなかったからではないかと北村は推測している[12][13]

脚注[脚注の使い方]^ 南極物語のモデルとなった樺太犬タロとジロの生涯とはわんちゃんホンポ公式サイト
^ 南極観測船「宗谷」航海記 196頁
^ a b 南極観測船「宗谷」航海記 197頁
^ 嘉悦 2020, pp. 286?291.
^ 嘉悦 2020, pp. 294?304.
^ “タロとジロ守った?「南極物語」に“第3の生存犬” 元越冬隊60年目の証言 毎日新聞 2018/10/13 17:00
^ フジテレビトリビア普及委員会『トリビアの泉?へぇの本? 1』講談社、2003年。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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