タバコ
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発芽温度は25℃である。

成長すると茎は直立して草丈はおよそ 2 mになる[1]。茎は繊維質で、薪などの代わりとして炊事などに利用されてきたが、電気やガスの普及に伴い利用価値は無くなっており、そのまま次期の肥料として畑に廃棄される。

葉は約30 cmの大きさの楕円形[1]。葉は30枚から40枚が着生し、このうち、葉たばことして採取するのは約6割である。これは位置によってニコチンの含有量が異なるためである。日本国内では葉を5種類に区別し、上から上葉・本葉・合葉・中葉・下葉と呼ぶ。上葉は6%程度、下葉は1%程度のニコチンを含む。葉の長さは20 cmから60 cm、幅は10 cmから30 cm程度である。葉の表面には液を分泌する細胞があり、特有の臭気を帯びる。また、葉には腺毛が多数あり、空気中のポロニウム210を吸着することが知られている[9]

花は夏期に総状花序で茎の先端部分に付く[1]。花冠の形状は漏斗に似ており先端が五裂する[1]。色は種類によって異なるが、栽培種では基部がく、先端は淡紅色のものが多い[1]。果実1つ当り3000粒程度の種子を含む。
毒性

全草にニコチンを含んでおり、誤食すると嘔吐や下痢などの症状を起こす[1]。また、誤食により筋肉の痙攣や麻痺といった症状が現れることがある[1]

この毒性によって、虫害が防がれる[10]。喫煙による影響については「喫煙」を参照
関連する名前

葉がタバコに似ているところから名付けられたものに以下のようなものがある。

イワタバコイワタバコ科

ヤブタバコキク科

栽培たばこ畑(関東地方 6月伊江島のタバコ畑
品種

先述のように喫煙用の葉タバコの主な栽培種には Nicotiana tabacum(ニコチアナ・タバカム)と Nicotiana rustica(ニコチアナ・ルスチカ) の2種がある[11][12]

葉タバコの主な品種にはNicotiana tabacum 種(ニコチアナ・タバカム)に属する黄色種とバーレー種、さらにオリエント種などがあり、世界の生産量は黄色種が約6割、バーレー種が1割強、オリエント種が1割弱、残り2割が在来種とその他品種となっている[11][12]

黄色種 - 葉は肉厚で鮮明な黄色を呈しており還元糖の糖含量が高い品種[11][12]。温帯地域を中心に世界でも最も多く栽培されている品種[11][12]

バーレー種 - 葉肉は薄く乾燥した葉は褐色[11][12]。黄色種よりも冷涼な地域で栽培されている品種[11][12]

オリエント種 - 草丈が低く葉も小さい品種[11][12]。主に地中海性気候の石灰岩地帯で栽培され、日本ではほとんど栽培されていない[11][12]

葉タバコの栽培ステージは発芽期、育苗期、茎葉展開期、開花摘芯期、葉肥大期、成熟収穫期からなる[11]。なお、ナス科の植物なので同じ畑で連続して栽培すると連作障害を起こし収量が減る。
発芽期?育苗期

タバコの種子は直径約0.5oと非常に小さく粗挽きのコーヒー粉に似ている[11][12]。非常に微細で初期成長も緩慢なため、圃場に直播きせず、ビニールハウス内の親床で育苗してから定植する[11][12]。種子には土が被らないようにし、24?27°Cに保温して水をまき湿潤環境を保てば7?10日で発芽する[11]

発芽から定植までの期間を育苗期といい、発芽20?25日後に親床または育苗箱から健壮な苗を選んで「子床」に移し育苗してから定植する方法と、最初から苗床に播種して7?8枚の葉が展開するまで育てて圃場に定植する方法がある[11]
茎葉展開期?開花摘芯期

定植7?10日後に苗が活着すると茎葉展開期となって生育が早くなり、50?60日後には茎の先端部分に花枝が現れ開花期に入る[11]。しかし、葉に充分な栄養を行き渡らせる必要があるため、開花直後に「心止め」と呼ばれる花枝を含む花全体を摘み取る摘芯作業を行う[11][12]
葉肥大期?成熟収穫期

摘芯後は葉肥大期と呼ばれ腋芽を随時に摘み取りながら葉の成長を促すと上部の葉が大きく厚く成長する[11]

葉が成熟して黄色に変化し始めると成熟収穫期となる[11]。黄色種では成熟の進行が始まる下位葉から順次着位別(下葉、中葉、合葉、本葉、上葉)に4?5回に分け収穫する[11]。バーレー種も下位葉から順次収穫するが、最後の10数枚の本葉と上葉は茎についたまま幹刈り収穫を行なう[11]

葉たばこ栽培における乾燥は、タンパク質やでんぷんなどがアミノ酸や糖に分解される重要な工程で、葉たばこの種類により乾燥方法は異なる[12]
利用

喫煙するための煙草となるほか、薬用や肥料となる。
薬用

スペインの医師・植物学者であるニコラス・モナルデス(英語版)は、1571年に『西インド諸島からもたらされた有用医薬に関する書 第二部』を出版し、その中で万能薬として紹介した[13]

ニコチンは、血管を収縮させる効果があり、止血となる[14][15]。葉に鎮痛・解毒・止血作用がある[16]
タバコ屑

タバコの葉の屑は、窒素 (N) 1%、リン酸 (H3PO4) 1%、カリウム (K) 5%程度を含み肥料として使われることがある。園芸店やホームセンターで「たばこくず肥料」などの商品名で扱われ、普通に購入可能である。ただし養蚕においてはの施肥中にタバコ屑が加えられると桑にニコチンが残りカイコの飼育に悪影響が出る可能性が富山県告示第244号「肥料取締法第21条の規定に基づく肥料の施用上の注意等の表示命令について」などに示されている。
生産と管理

葉タバコは紙巻きたばこなどの原料であり世界各地で生産されている。
葉たばこ生産量

FAOの統計によると、全世界の葉たばこの生産量は、635万トン (2002年) であり、全体の3割以上を中国1国で生産している。中国国内では、雲南省貴州省河南省湖南省四川省の順に生産が多い。雲南省の生産量は66万トンと、世界2位のブラジルよりも多い。

大陸別の生産量はアジアが6割、南北アメリカがそれぞれ1割ずつ、ヨーロッパとアフリカが1割弱という比率になる。たばこで有名なキューバの生産量は3.2万トンと数量としては多くない。日本の生産量は約5万トン。主な産地は黄色種が南九州、バーレー種が北東北であり、2004年における生産量の上位は宮崎県熊本県岩手県鹿児島県青森県の順である。
中国 - 239万トン (37.7%)

ブラジル - 65万トン (10.3%)

インド - 58万トン (9.1%)


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