タッチパネル
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反射型では操作面の周囲に赤外線LEDとそのセンサーを厚みをつけて配置するための額縁が必要となる。日光の入る野外やその近くでは使用できないなど多くの制約があり、あまり採用されていない[3]。光センサーと液晶を一体にしたパネルを使用した物もあり、指やペンの影や反射光を検知する。シャープのMebiusに ⇒光センサー液晶パッドで採用された。
電磁誘導方式

電磁誘導方式では電子ペンと呼ばれる専用のペンが必要となる。元々は画面表示を考慮しないペンタブレットでの位置入力方式だったが、センサー部を液晶画面の下に配置することで、元々高い読み取り精度をそれほど犠牲にすることなくタッチパネルとして実現出来た。電磁誘導方式の最大手のワコムでは静電容量方式と電磁誘導方式を共に備えた製品を開発し出荷を予定している。この併用製品ではペンでも指先でも操作が可能となり、電子ペンを使えば筆圧やサイドスイッチ等を検出できる。この方式により静電タッチの視認性を犠牲にせず、通常ペン入力が不可能な静電タッチ上で高精細な電磁誘導ペンが使えることになる[3]
静電容量方式アナログ量として電圧を検知(表面型静電容量方式)タッチパネル(投影型静電容量方式)

静電気を利用したタッチパネルで、スマートフォンで採用されている[4]。 静電容量方式のタッチパネルには2つ種類があり表面型と投影型がある。両方とも指先と導電膜の間での静電容量の変化を捉えて位置を検出する。指がセンサーの表面に近づくだけで静電結合が起きる性質を活かして接触する前にカーソルを表示するといった表現や操作も可能である。静電的な導電性がある物体で押さないと反応せず、抵抗膜式では反応するや絶縁体のタッチペンでは操作が不能であるため、静電式に対応した導電性のデジタルペンや電源を内蔵したアクティブペンが必要である。また、水滴で誤作動が起きるほか、水中では反応しないため、防水仕様の携帯電話にこの方式が採用されている場合は水回りでの操作に不便が生じる場合がある(水中では音量ボタン、撮影ボタン等の物理ボタン以外使えなくなる)。
表面型
10以上の製品に使われる場合が多い。カバー、導電膜、ガラス基板の3層から成り、導電膜はガラス基板の上に張り付き、ガラス基板の四隅には電極が設けられている。導電膜によって均一な電界が形成される。指が画面に触れると駆動回路からの微弱電流が隅の端子、導電膜、カバーをすり抜けて、指を経由して大地を含む周辺環境と駆動回路との間で閉回路を構成する。駆動回路側で四隅の端子の電流量の比率を計測することで指の位置を判別できる。仕組みが単純で安価に作れ、比較的大型化しやすい。
投影型
投影型の静電容量方式は指先の多点検出が可能である。一般に投影型は、絶縁体フィルムとその下の電極層、さらに制御ICを搭載する基板層から構成される。絶縁体フィルムの下の電極層にはITO等の透明電極によって縦横2層からなる多数のモザイク状電極パターンがガラスプラスチックなどの基板上に配置される。指が触れるとその付近の電極の静電容量の変化を縦横2つの電極列から知ることで位置を精密に判別できる。縦と横に走る多数の電極列によって、多点検出が可能となるが端子数が多く製造費が高くなる。ITOによる配線では抵抗が高くなりすぎるため、そのままでは大型画面化に向かない。大型タッチパネルでは検出用電極からの配線は別の金属配線層によって抵抗を小さくしている。位置検出を行うICが必要であり、それらを結ぶ多数の配線も含めた製造費が高くなる傾向があるが、多点検出が可能であるなど実用性は最も高く、タブレット型の携帯端末に多く採用されている[3][5]
利点と欠点

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利点

使用者が画面の操作手順を見ながら操作できるために、機械操作を誰にでも扱いやすくすることができるという点で優れている。画面表示を随時切り替えることで、1つの画面上で多様な操作指示に使用できるので、装置全体の小型化が期待できる[3]

画面上の操作説明に入力動作が対応するため、直感的に分かりやすく、操作が簡単になる。

入力装置と表示装置が一体化されるため、装置全体の小型化が期待できる。

ソフトウェアでボタンの位置・サイズ・配置を変更でき、ユーザの操作や装置側のモードに応じてそれらを変化させられる。

欠点、課題

汚れで画面が見えにくくなることがある。

方式によっては誤感知することがある。判定を厳しくすると、強く押さないと検知されないものがある。特に煙草の灰・煙に含まれる
(やに)などで汚れると、検知できる精度が低くなる。

物理的なキーボードと比べると大量の文字入力には向かない。

押しボタンと異なりクリック感がないので、入力動作がぎこちなくなる場合がある。システムのレスポンスがなかった時に、入力の取りこぼしか処理落ちか判断がつかない。このため、アニメーションによる視覚効果や音を出したり振動を与えるなどのフィードバックが工夫される。

触覚に頼る視覚障害者にとって、凹凸のある物理ボタンと異なり利用が非常に困難となる[3]。画面に表示される操作ボタンが操作に応じて変化・遷移することも視覚障害者には難点となる。

特に、鉄道駅の自動券売機や銀行ATMのような、不特定多数を対象とする公共性の高い装置で問題となる。これを解消するには、点字による案内のほかに、受話器スピーカーによる音声による指示や、テンキーによる物理ボタンとの併用が必須である。

バリアフリーの立場から、ATM製造メーカーでは、入力に押しボタンも利用できるようにすることや、誤った操作をすぐに受け付けないように、画面上で操作が正しいか確認のメッセージを表示するなどの対応策をとっている。

ほとんどの操作をタッチパネルで行うiOSiPod touchiPadiPhone)では、設定にて音声による指示と特殊なジェスチャーの組み合わせで、画面を見なくとも操作ができる Voice Over 機能を搭載し、ユニバーサルデザインを実現している。


押しボタンとの併用時に、役割の違いが混乱の元となる場合がある。

様々なセキュリティ課題がある。パネルに残った指紋を回収されて生体認証を突破されてしまったり、暗証番号(PIN)などが指紋によって推定できる可能性がある。このため、専用のテンキーを備える装置も多い。

手指欠損症の障がい者は、タッチパネル操作が出来ない。

指先で触れるものなので、機械式ボタンと同様に、ウイルスや細菌が指先につき感染症がうつる可能性がある。→コロナ禍以降、非接触型のディスプレイ(タッチスクリーンとは方式が異なるもの)が(ごく一部ではあるが)導入されるようになった。

航空機乗客用の機内エンターテイメント・システムでは、エコノミー席で前の座席の後部にタッチセンサー付き表示部を設けると、操作のたびに前の乗客の座席が揺すられて快適性が大きく損なわれる[3]

使用環境による感度低下 - 2019年、パネルの帯電や指先の水分量の減少によってセンサーが正常に指の位置を読み取れなくなる場合がある[6]、と指摘されている。スマートフォンは持ち運ぶ際に衣服との摩擦で帯電し、内蔵された静電容量センサーが正常に動作しなくなることがあるが、そんなときは画面のオンオフを行い、パネル部の帯電量を再読み込みすればよい。なお「タッチパネルが反応しづらい」との訴えの中には、SoC処理落ちを入力の取りこぼしと勘違いしているケースが含まれることも指摘されている[6][注釈 2]

歴史

この節の加筆が望まれています。 (2023年3月)

2008年時点では携帯用情報機器でタッチパネルの90%程度が抵抗膜方式であり、残りは主に静電容量方式が占めていた。抵抗膜方式は携帯電話に使用する3インチサイズで2米ドル程度と廉価であった。投影型静電容量方式も同サイズで安ければ5米ドル程度になり、コストは大きな障害ではなくなっていった。静電容量方式は多点検出が可能なため、「ジェスチャー」のようにある程度複雑な指示が行なえるので、1点検出のみの従来機種との差別化が出来るようになった。富士キメラ総研の予測では、2009年には携帯電話で使用される割合で静電容量方式が抵抗膜方式を追い抜くとしていた。当時、需要に対して供給が追いついていない状況が続き、当時、価格の下げ止まり感がでていた。静電容量方式では台湾のTPK(含むCando社)が強みをもっていた。
搭載の歴史
携帯電話類

1993年にはIBMがボタンを無くし全面にタッチスクリーンを採用したIBM Simonを発売した。日本国内の携帯電話史上初めてタッチパネルが搭載された機種は、パイオニア1996年デジタルホン(当時)向けに供給したDP-211( ⇒発売当時のパンフレットの表紙)で、ほとんどの操作をタッチパネルで行うという当時としては革新的な端末だった。

2007年6月に発売されたiPhoneでは、ほとんどの操作をマルチタッチが可能なタッチスクリーンに集約し、物理的なボタン数は最小限のものとしている。


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