タケノコ
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形はずんぐりして穂先が黄色っぽく、外皮はツヤがあり薄茶色のもので、根元の周囲に出た赤紫色の突起が小さめのが良く、この突起が大きくて濃い紫色になっていると食材としては育ちすぎの場合がある[14][2]。タケノコは掘り上げてからの鮮度落ちが極端に早く、時間が経つとかたくなると同時に灰汁が増えてえぐみが増すため[2][15]、掘って収穫したその日のうちに調理するか灰汁抜きして下ごしらえするのが理想といわれている[14][16]。そのため、おいしくタケノコを食べるためには鮮度が重要であり、すぐに食べない場合は生のままではなく、下茹でしてから保存する[2][17]。下茹では収穫後できるだけ早く茹でて皮を剥いて、さらに10分ほど茹でたら水にとって冷ましておく[14]。茹でたタケノコは容器に水を張って入れておき、毎日水代えして冷蔵保存すれば、5 - 6日ほど日持ちする[14]。茹でたタケノコを皮付きのままラップなどに包んで冷蔵しても、1週間ほど保存できる[17][18]

タケノコの加工品としては、水煮缶詰がある。タケノコの水煮は、春の旬の時期以外でも通年市販されており、南九州で多く出回っている細いタイプはコサンチク(鼓山竹:ホテイチクの別称)、関東などで多く出回っている大きいものはモウソウチク(孟宗竹)などの種類がある[2]。水煮の断面に見られる白い粉状のものは、茹でることによって出てくるチロシンというアミノ酸物質で、取り除かずにそのまま食べられる[2]
種類

タケ類の種類の数は多いが、タケノコとして食用にされるのは数種である[1]。タケ類ではモウソウチク(孟宗竹)、ハチク(淡竹)、マダケ(真竹)、カンチク(寒竹)など、ササ類ではカンザンチク(寒山竹)、ネマガリダケ(根曲がり竹)などである[19]。中でもよく食べられるモウソウチクが最も馴染みがある[1]。ふつうタケノコといえば、モウソウチクのタケノコを指す場合が多い[20]
温帯性タケ類(単軸型)収穫後のタケノコ(孟宗竹)陳列例老舗京都特産品店でのたけのこ販売例(京都市中京区)

モウソウチクの場合、土から顔を出す前に掘るのが望ましい(地面が盛り上がっているのを見分けて掘る)とされる。マダケやネマガリタケのように、30センチメートル (cm) 程度に生長した地上部を折り取って収穫できる種類もある。その他の種類を含めた外見やは以下のような違いがある。

モウソウチク(孟宗竹)日本で最も多く食べられている代表的なタケノコである[14][4][2]。正月用に早どりして出荷される10 cm前後のものは「ちび竹の子」とよばれている[21]。えぐみが少なく、肉厚でやわらかい[18]。時期は3 - 5月で、タケノコの中では最も早い[21]。日本では九州産から始まり、徳島、京都、静岡、関東地方、福島へと産地が北上して5月ごろまで食べられる[2]。皮は黒斑と紫褐色の粗毛に覆われ、稈の直径が最大20 - 25 cmに達するほどタケ類の中でも最も大形であることが特徴[9][3]。原産は中国江南地方といわれ、日本へは1736年(元文元年)に琉球を経由して薩摩(鹿児島)に渡来し、以後各地に分布したとされる[19][21]。主産地の京都地方では、中国出身の禅宗の僧である隠元が、1654年に宇治の黄檗山に孟宗竹を植えたともいわれている[19]

ハチク(淡竹)やや細身で基部を除いて肉質部は薄く、色は少し黄色みを帯びるが、灰汁が少なく淡泊な味わいで特有の野趣がある[22][17][18]。美味と言われるが出回り量が少ない[23]。時期は4 - 5月で、出回り時期は孟宗竹よりも遅い[21]。淡竹の子を意味する「ハチコ」とも呼ぶ地域がある。稈の直径が3 - 10 cmになる[22]。皮は淡紅色で薄く、寒さに強く北海道南部でも栽培されている[3][17][21]。原産は中国中部とされており、日本にも野生種があるという説もあるが、その渡来時期は不明である[19]

マダケ(真竹、別名ニガタケ:苦竹)肉質は締まり、灰汁がやや強いが歯ごたえがあって風味は良い[18]。特に発生して間もない段階では別名の通り「苦い」という印象を抱く人もいる[5][23]。ただし、大きく伸びると苦みが少なくなり先端部を収穫して「穂先タケノコ」として食用にする[5]。稈の直径が5 - 15 cmで、皮は薄い黒斑に覆われ、平滑で無毛である[22]。時期は5 - 6月で、出回り時期が孟宗竹や淡竹よりも遅い[18]。主にタケ材に使われるのが本種であるが、タケ材にならない遅く出てきたタケノコが食用に収穫される[18]。原産は中国の浙江および江蘇南部で、日本への渡来時期は不明であるが17世紀には日本でも広く分布していたとみられている[19]

チシマザサ(別名ネマガリタケ:根曲がり竹)日本原産の細く灰汁が少ない品種で、北海道、本州の日本海沿岸に多く自生し[19][3]、タケノコが美味なことで知られ[18]、長野県から東北地方や北海道などで食用とされる[5][17]。特に津軽地方青森県)などでよく食される[24]。時期は5 - 6月。


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