タイ王国
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

2016年10月のラーマ9世の崩御を経て軍政による新憲法制定作業が行われたものの難航し、新国王ラーマ10世の権限が強化された新憲法が2017年4月に施行された[51]

2020年10月14日、学生らが2019年までの軍政の流れをくむプラユット・チャンオチャ政権の退陣を要求するデモをバンコク都内で開始。デモには、タブーとなっている王室の改革を要求する主張する集団も加わり大規模なものとなった。10月15日、政府は非常事態宣言を出したがデモは地方都市にも拡大。10月16日の集会では、治安当局がバンコクのデモ隊に放水して強制排除し始めた[52]
王室詳細は「チャクリー王朝」を参照王宮
立憲君主制

2010年代前半までは立憲君主制をとっており、平時の国王は象徴的な存在だった。しかし、政治的な危機にあたってはしばしば国王の直接的、または間接的な介入が見られる。近年においても1992年に発生した5月流血革命の際にプーミポン国王が仲裁に入ったほか、2006年と2014年の政治危機でもタクシン派の首相の進退問題に直接介入するなど、国王の政治や国軍への影響力は極めて大きい。2017年には国王の権限が大幅に強化された新憲法が施行されている。
王室改革要求

タイの民主化運動において、2020年8月のデモでは不敬罪(後述)撤廃や王室財産管理の見直しなど王室改革が提起された。これに対して同月、タイ王室を尊崇する立場から王室改革に反対し、王室と政治(の混乱・腐敗)は無関係と国民に訴える団体「タイ・パクディー」(タイ忠誠)が設立された[53]

2021年11月、憲法裁判所は王室改革運動自体が体制転覆に繋がるとして違憲判決を下した[54]
国王の人気

伝統的に、国民は王家に対して崇敬を払う。国王や王妃の誕生日は祝日となり、国中が誕生日を祝うお祭り状態となり、国王が誕生した「曜日の色」を着用する人が多い[55](前王ラーマ9世の場合は黄色、またシリキット前王妃(王太后)の色は青色、王妃の誕生日は「母の日」として母親に感謝するイベントが開催される)。また、国王や王妃の誕生日の前後には、肖像画が国中に飾られる。日常生活においても、国民の各家庭やオフィスビル、商店や屋台に至るまで、国王の写真、カレンダーや肖像画が飾られている。映画館では本編上映の前に『国王賛歌』とともに国王の映像が流され、その間観客は起立し敬意を表すのが習慣となっている。特に前国王であったラーマ9世(プーミポン・アドゥンラヤデート)は、その人柄と高い見識から国民の人気が非常に高かった[56]。2011年には当時のラーマ9世国王が84歳になり、国王生誕から干支が7回回ったことを祝って、2015年時点では世界的に見て類のない正七角形の切手が発行された[57]。2016年10月13日にプーミポン・アドゥンラヤデート(プミポン)国王崩御[1]。同年12月1日にワチラーロンコーンタイの国王即位した[1]
日本の皇室との交流

日本の皇室とタイの歴代王朝(アユタヤ王朝トンブリー王朝チャクリー王朝)はおよそ600年前から親密な関係を持っており(当時の日本は室町時代[58]、この皇室と王室の親密な関係が両国の緊密な関係の基礎になっている[59]。また、秋篠宮文仁親王のほか、両国の皇室、王室メンバーの公的または私的訪問が頻繁に行われている。
不敬罪

21世紀に入っても不敬罪が存在する数少ない君主国であり、最近も国王を批判・侮辱する画像・動画が掲載されたことを理由にYouTubeへの閲覧アクセスが長期にわたり遮断されるなどの事例もある[60][61]

「不敬」とみなされた行為は国民・在留外国人問わず処罰対象になりうる。最高刑は1件で禁錮15年で、Facebookで王室批判を重ねた男性が2017年に禁錮35年の判決を受けた例もある。2014年クーデターで成立した軍事政権は不敬罪で98人以上を起訴したが、2018年9月以降は摘発が止まっている[62]。これは2016年に即位したラーマ10世(ワチラロンコン国王)の意向とされ、王室への批判を避ける理由と推測されている。プラユット首相も2020年6月に「国王の慈悲」が理由と発言している。代わりに、インターネット上で王室関連の噂話などはコンピューター犯罪法(CCA)で逮捕・訴追されている。
政治「タイの政治」および「タイにおける政変一覧」も参照一時、国会議事堂として利用されていたアナンタサマーコム宮殿
国家元首現在のタイ王国国王
ラーマ10世
(2016年10月13日 - )詳細は「タイの国王」を参照

政治体制立憲君主制であり、タイの国王は国家元首である。チャクリー王朝。その権限はタイ王国憲法により様々な制限が加えられている。[注 1]2014年のクーデター以降、約5年にわたって実権はNCPO議長にあったが、2019年にNCPOが解散されたことに伴い、政府に戻された。
行政現在のタイ王国首相
セター・タビシン
(2023年8月23日 - )「タイの首相」および「Category:タイの中央省庁」を参照

国政の最高責任者は、首相である。中央省庁には、商務省内務省農業・協同組合省など、約20省がある。
立法

タイ王国陸軍総司令官プラユット・チャンオチャ2014年軍事クーデターを起こし、同年8月25日に首相に就任し憲法と議会を廃止して実権を掌握して以来、政党政治を禁止する軍事政権が2019年までの約5年間にわたって続いた。クーデター以降の立法府は「国家立法会議」である。チャンオチャは2018年11月に総選挙を行う見通しを表明していた[63]が、同年1月に国民議会で選挙法施行を90日繰り延べる法律が成立し、19年2月に延期された[64]国会議事堂

立法府である国民議会は、上下二院制議会制民主主義をとっており、ラッタサパー(??????)と呼ばれる。議会は500議席からなるサパー・プーテーンラーサドーン(??????????????)と呼ばれる民選の人民代表院(下院)と、150議席(2007年から1県1人の77人が民選、残りは任命制)からなるウッティサパー(???????)と呼ばれる元老院(上院)で構成される(2014年のクーデターにより上院は解散。2017年の新憲法により定員は200人、ただし新憲法以降期間の5年間は定員250人)。人民代表院の任期は4年で再選可、元老院は6年で1期のみである。首相は人民代表院から選出され、元老院には法律の発案権はない。

前回選挙は、2023年5月14日に投票が行われ、ピター・リムジャロェーンラット率いる前進党が第一党となったが、ピターの父親の資産問題が露見すると、国会はピターの首相指名を拒否したために与党の座は第二党であったペートンタン・チナワット(タイ語版)率いるタイ貢献党にわたり、首相には同党首相候補のセター・タウィーシンが就任した。
司法

司法権はサーンディーカー(???????)と呼ばれるタイ最高裁判所が持つ。なお、最高裁判所の裁判官は全て国王による任命制である。
反政府勢力・差別

深南部三県では一部のマレー系住民が以前から離反の動きを見せていたが、近年は状況が悪化し、パタニ解放戦線などの組織がパタニ王国の復興を大義名分にして、反政府活動を行う動きが出ている。南部のマレー半島へはかつてアユタヤ朝が併合を目指して侵攻したものの、と結んだマラッカ王国によりこの企図を放棄したものである。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:279 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef