タイムトラベル
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実在する現象かは解明されていないが、理論物理学などにおいて実現の可能性が示されることがある(相対性理論におけるタイムラグ等)。また、半ば空想的、思考実験的な意味を伴う「楽しい娯楽研究対象」と扱われることもある。
タイムトラベル物語の類型

タイムトラベルを舞台設定として利用する物語作品には、いくつかの類型がある。
A. 手段による類型

タイムトラベルを実現するメカニズム、「
タイムマシン」によるもの。「タイムマシン」は、エンリケ・ガスパール・イ・リンバウの1887年の作品『時間遡行者』で発案され、1895年ハーバート・ジョージ・ウェルズが発表した『タイム・マシン』で広まったとされる。

登場人物の強い願望、あるいは個人的な超能力に由来するもの。

何らかの天変地異が原因で受動的に引き起こされるもの。この類型については「タイムスリップ」や「タイムクェイク(時震)」などと呼ばれる場合がある。

何らかのゲート(門)が設定され、そのゲートの両側が異なる時間に開いており、そこを行き来することでタイムトラベルが実現されるもの。

B. 主人公の意図との関係による類型

目的地を定めての意図的なタイムトラベルが行われるもの。

いつの時代にタイムトラベルするかが分からない・制御不可能なもの。

何らかの不測の事態によってタイムトラベルをしてしまい、そこから物語が始まるもの。しばしば主人公たちはタイムトラベルをしたことにしばらく気付かない。

明確なタイムトラベルは結末に至るまで示されず、種明かしとしてタイムトラベルが生じていたことが明らかになるもの。

タイムトラベル物語の起源

広義のタイムトラベルと見なせる要素を持つ多数の初期作品が存在するため、タイムトラベル物の最初の実例と認められる作品について、全面的に同意された定義は存在しない。古代に創作されたいくつかの神話や寓話などには未来へタイムスリップする話が含まれている。また、知られている作品は未来へのタイムトラベルものよりも近年になるが、過去へのタイムトラベルものの起源もはっきりとは知られていない。
未来へのタイムトラベル

ヒンドゥ教の神話『マハーバーラタ[注 4]には、カクドミ(英語版)王が天界で創造主ブラフマーと会い、地上に戻るととてつもなく時間が経っていたという話が含まれている[1]

仏教の経典『パーリ仏典』(紀元前29年ごろ成立)には、時間の相対性が説かれている。ブッダの上弟子であった大迦葉は懐疑的なen:Payasiに対して「天上界では時間の流れが人間界よりも遅く、そこの住人は地上の住人よりも長く生きる」と説いている[2]

日本の昔話の「浦島太郎(浦嶋子)」でも、竜宮城から帰って来ると多くの時が流れていたという話が登場する。これが文献に登場する例の初見は、『日本書紀』(8世紀の初めに編纂)の「雄略紀」の雄略天皇22年(478年)秋7月の条の記述である。書籍として出版されたわけではないが、最古にして初の正史(国家の正式な歴史書)に記述されている。

中国にも同様の昔話「爛柯」(文献として残る最古のものは325年刊とされる)がある。王質という木こりが山で碁を打っている数人の童子と出会い、山から帰って来ると多くの時が流れていたというストーリーである。

アイルランド神話『ティル・ナ・ノーグ』にも同様のストーリー展開が見られる。説話『ブランの航海』では、ブラン王子ら一行が美しい海の乙女と「常若の国」に行き楽しく過ごして3年ぶりに故郷に帰ってきたら300年経っていたというものである。

イスラム教の聖典『クルアーン』の「洞窟の章」には、アッラーフによって309年間洞窟で眠っていた男達の話がある。これは「エフェソスの7人の眠り男」と呼ばれる、ローマ帝国の迫害から逃れた人々が洞窟に閉じこめられたが、200年以上たった後、そのうち一人の男が目覚め街に姿を現したという説話が元になっている。これは男たちが眠っていた洞窟と外の世界で時間の流れる速さが違っていると考えることもできる。

他にも古代ギリシアのエピメニデスも59年間眠っていて、その間に歳をとらなかったとされる逸話がある。

とても長く眠ることで未来へ行くストーリーのアメリカ版では、「リップ・ヴァン・ウィンクル」(1820年出版)がある。また、エドワード・ベラミーの「かえりみれば (Looking backward)」(1888年出版)は1887年の上流階級男性が催眠術で眠りに落ち、社会主義的ユートピアが実現された2000年の社会を目の当たりにする物語である。

ルイ・セバスチャン・メルシエの『西暦二千四百四十年 この上ない夢 (L'An 2440, reve s'il en fut jamais)[注 5]』(1770年出版)は、西暦2440年の世界を舞台にしたユートピア小説である。非常に有名な作品である本書では(1771年の初版刊行以来、25版が重ねられた)、哲学者の友人とのパリでの不公正についての激しい議論の後に眠りに落ち、夢の中で未来のパリを訪れる無名の人物の冒険が描かれる。


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