英語読みでタイタン[9]またはラテン語読みでティタン[10] [11] [12] [13](英語: Titan、確定番号:Saturn VI[14])は、土星の第6衛星で最大の衛星である。太陽系内の衛星としては唯一、豊富な大気を持つ天体であり、地球以外で唯一、表面に安定的に液体が存在することが確認されている天体である。ただし、ここで言う液体とは、液体のメタンやエタンなどのことである。 木星の衛星であるガニメデに次いで、太陽系では2番目に大きな衛星で、よく「惑星のような衛星」としても記述される。地球の月と較べて半径は1.48倍、質量は1.8倍である[注 1]。太陽系最小の惑星である水星よりも大きいが、質量はそのわずか40%しかない[注 1]。タイタン(左下)と月(左上) オランダの天文学者クリスティアーン・ホイヘンスによって1655年3月25日に、土星を公転する衛星として初めて発見された。太陽系全体では地球の月、木星の4つのガリレオ衛星に次いで、6番目に発見された衛星である。土星半径の約20倍離れた軌道を公転しており、タイタンの表面から見た土星の大きさは約5.7度で、地球から見た月の11倍程度の視半径である。
概要
地球(右)の大きさの比較
太陽系の衛星の中では唯一、濃い大気とメタン循環を持っている[16]。大気の大部分は窒素であり、残りの僅かな成分はメタンとエタンから成る雲や、窒素に富んだ有機スモッグである。また、地球以外の天体で、安定した液体の存在が明確に確認されている唯一の天体でもある。タイタンには液体メタンの雨が降り、メタンおよびエタンの川や湖が存在すると考えられていた。このことは、カッシーニ探査により確認されている[15][17][18]。風雨を含む気候は、砂丘や、液体メタンとエタンによる河川、湖、海、三角州といった地球と似たような特徴的な地形を作り出している。タイタンにある液体(表面と表面下層)と濃い窒素の大気は、94 K(-179.2 ℃、-290.5 ?)という極低温の状況下で、地球の水循環に似たメタン循環を起こしている。