ベジタリアンやヴィーガンのために、肉を使用していない、ソーセージの味や食感を模倣した食品があり、国によっては市販されている[10]。これは、豆腐、セイタン、ナッツ、豆果、マイコプロテイン(英語版)、大豆タンパク質、野菜などでできており[11]、他の肉代替食品と同様に、肉の味や食感に近づけるための形状や味付けがされている。
また、ベジタリアン向けというわけではないが、伝統的な料理の中にも「ソーセージ」を称しながら肉を使用していないものがある。ウェールズのグラモーガン・ソーセージは肉の模倣はしておらず、野菜の味が生かされている[12]。大豆のソーセージは1916年にドイツで発明されたものであるが、ベジタリアン向けに作られたわけではなかった。当時ケルン副市長で後にドイツの首相となるコンラート・アデナウアーが第一次世界大戦中の肉不足の対策として考案したもので、ケルナー・ブルスト(ドイツ語版)(Kolner Wurst、ケルン・ソーセージ)と命名された[13]。 日本農林規格ではソーセージは、「肉を動物の腸などに詰めた食べ物」の総称であり、ウインナーやフランクフルト、チョリソーなどの種類がある。昔は[いつ?]、羊の腸を使ったソーセージをウインナー、豚の腸を使ったソーセージをフランクフルト、牛の腸を使ったソーセージをボロニアソーセージと定義していたが、製法が発達してケーシングには人工の薄い皮を使っている製品も誕生して以降は動物の腸の種類ではなく、ケーシングの太さによって、呼び名の区別をしている。羊の腸より豚の腸の方が太いので、ウインナーよりフランクフルトの方が見た目が太く、牛の腸を使うイタリアのボロニアはさらに太くなっている。 現行の定義でウインナーは「羊腸のソーセージ」又は「太さが20mm未満のソーセージ」の最小サイズ、フランクフルトは「豚腸のソーセージ」又は「太さが20mm以上36mm未満」、あまり普及していないがボロニアは「牛腸のソーセージ」又は「太さが36mm以上」の最大サイズとなっている。チョリソーは肉の製法が異なるソーセージの種類であり、一般的にソーセージがひき肉を使用するのに対して、刻み肉を使用したソーセージである。 更に階級があり、特級を「豚肉、牛肉のみ使用。結着材料を一切使用していないモノ」、上級を「豚肉、牛肉のみ使用。結着材料は5%以下、でん粉含有率が3%以下」、標準を「羊、うさぎ、鶏など、牛豚以外を混合。結着材料は10%以下、でん粉含有率が5%以下」と定めている[14][15]。 1970年(昭和45年)に日本ハム・ソーセージ工業協同組合より発行された『食肉加工百年史』においても、今日肉製品と呼ばれているハム、ベーコン、ソーセージ類の製造がいつごろから開始されたかは明確には知りがたいとされている。食肉加工に関する文献では、1892年(明治25年)に博文舘より発行された農学士、今関常次郎の著書『農産製造?』に腸詰の製法の記述がある。本格的な製法は、1910年(明治43年)2月1日から3月2日に渡る30日間、農商務省種畜牧場渋谷分場にて開催された豚肉加工講習会で、農商務省嘱託技師であった飯田吉英により都道府県派遣の技術者に公開された。飯田は米国イリノイ州に留学して豚肉加工技術を学んでおり、この加工技術は主に米国式のものである。 一方民業では、1910年(明治43年)にドイツ人コックであったマーチン・ヘルツ 1915年(大正4年)9月から1920年(大正9年)1月までの間、千葉県千葉郡幕張町実籾(現・習志野市東習志野)に第一次世界大戦中に日本の捕虜となったドイツ兵約1000人が収容されていた「習志野俘虜収容所」があった。1918年(大正7年)高栄養価食品としてソーセージに注目していた農商務省は、ドイツ国内でソーセージ職人だったカール・ヤーンら5人が収容所内でソーセージを製造している事を聞きつけ、千葉市に新設された農商務省畜産試験場の飯田吉英技師を収容所に派遣し、カール・ヤーン達からソーセージ製造の秘伝を公開してもらった。このソーセージ製造技術は農商務省の講習会を通じて、日本全国の食肉加工業者に伝わった。この事から、習志野市は「日本のソーセージ製法 伝承の地」といわれるようになった。また、捕虜となったドイツ人の何人かは日本にとどまり、ヘルマン・ウォルシュケ、アウグスト・ローマイヤー、カール・ブッチングハウスなどは日本にソーセージの文化を広める事に貢献するのであるが、当時は日常に親しまれていた食品ではなく、普及するまでには相当の時間を要した。一方、北海道では1919年に来日したカール・ワイデル・レイモンの功績が大きい。一般社団法人日本記念日協会は2015年(平成27年)から、11月1日を「ソーセージの日」と認定したが、これが1917年(大正6年)11月1日、「第1回神奈川県畜産共進会」に出品され(大木市蔵の作。出品名義は「江戸清」高橋清七)、品評会に出品された最初の国産品であったことに因む。 日本では日本農林規格(JAS)によりさまざまなソーセージの独自規格が定められており、原材料や調理法やケーシング(腸もしくはフィルムの皮)によっていくつかの表示できる名称が定められている[16]。 元々は第二次世界大戦後の物資が不足していた時代に、模造食品が横行し食べた人に健康被害などが頻出したことから始まった法制度である[16]。
日本
日本のソーセージ史
JAS規格による分類
ソーセージ[16]
家畜、家兎の肉を塩漬したりひき肉にしたりしたものを調味料及び香辛料で調味して、練り合わせた後、ケーシング等に充填。それをくん煙にしたり、加熱したり、乾燥させたりしたもの[16]。でんぷんや小麦粉、コーンミール、植物性たんぱく、乳たんぱくなどは結着材料として原材料中15%までなら良いとしている。それ以外に野菜や穀類、チーズ、ベーコン、ハムなども原材料中50%までなら加えても良いとされている。
ケーシング・大きさ別[16][17]
ウインナーソーセージ - 太さ20ミリメートル未満で羊腸を使用したもの
フランクフルトソーセージ - 太さ20ミリメートル以上36ミリメートル未満で豚腸を使用したもの
ボロニアソーセージ - 太さ36ミリメートル以上で牛腸を使用したもの
これらは名称の由来となった地名の製法と必ずしも一致しない。
原料別[16]
特級 - 豚肉および牛肉やそれらの脂肪層、調味料、香辛料だけでつくられたもの。結着材料は使用できない。
上級 - 豚肉および牛肉やそれらの脂肪層、調味料、香辛料に結着材料を加えたもの。結着材料の使用は5パーセント以下であること、でんぷんや小麦粉、コーンミールなどは3パーセント以下であること。
標準 - 馬肉、めん羊肉、山羊肉、家禽、家兎肉など指定された種類の肉が使用できる。
混合ソーセージ - 魚肉及び鯨肉が15パーセント以上50パーセント未満のもの[18]。
魚肉ソーセージ - 魚肉及び鯨肉が50パーセント以上のもの
魚肉及び鯨肉の原材料に占める重量の割合が15パーセント以上になると「ソーセージ」の規格を外れる。
加工法別
セミドライソーセージ - 製品の水分量が55パーセント以下のもの[19]。
ドライソーセージ - 製品の水分量が35パーセント以下のもの[19]。