ソーシャルゲーム
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

「mixiアプリ」は2009年10月に携帯電話向けの提供も開始している[14]。後発2社はOpenSocialベースのオープンプラットフォームを採用し、自社以外のゲームを登録でき、開発会社も共通のプラットフォームが基盤になっていることから容易に移植しやすくなり、急成長する要因となった。これを受けてグリーもオープンプラットフォームの提供を開始した。『サンシャイン牧場』を立ち上げた小野裕史は後に「今はもうTVでいろんなスマホのゲームだとか、ソーシャルゲームだとかって言われていますけども、このサービスは日本で1番に火付け役になった原点ですね」と語っている[15]

ポータルサイトでもソーシャルゲームを取り入れる動きが始まり、2010年9月にはヤフーとDeNAが「Yahoo!モバゲー」の運営を開始。ソーシャルゲームの盛り上がりから、各ゲーム会社も注目するようになり、各社ソーシャルゲームの開発に参入するようになった。2010年の秋には、コナミデジタルエンタテインメントがグリー向けに提供を開始した『ドラゴンコレクション』がヒットする。コナミデジタルエンタテインメントは、『ドラゴンコレクション』に、『遊☆戯☆王』シリーズで培ったカードゲームのノウハウを生かし、カードを収集しながら対戦するシステムを導入した[10]。このシステムは、他社のソーシャルゲームにも広まり、各社の人気コンテンツを活用したカードゲームも次々と投入されるようになる[10]。余談だが『拡散性ミリオンアーサー』のプロデューサーの一人である安藤武博は「ここ10年のアーケードゲームや現在携帯電話を席巻中の“カードバトル系ゲーム”の始祖は、セガアーケードゲームである『ダービーオーナーズクラブ』『WCCF』『甲虫王者ムシキング』『三国志大戦』で、これらがなければ市場の様相は変わっていたんじゃないか」と語っている[16]

フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進む中で、2012年に登場した『パズル&ドラゴンズ』(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)のように、SNSプラットフォームを通さずにApp StoreGoogle Playを介して直接配信するようになったため[17][18]、SNSプラットフォーム側は不利な競争を強いられた[19]。ネイティブアプリへ移行する理由としては、ウェブブラウザはネイティブアプリに対し実現できる機能で劣る点もあるが、海外ではネイティブアプリが圧倒的に普及しており、日本の市場規模は世界の約10%しかないということが挙げられる[20][21]

App StoreGoogle Playの上にグリーやDeNAを介していたことで売上げの半分以上をロイヤリティとして支払っていたため、SNSプラットフォームに頼らない仕組みとしてセガを始めとしたゲームメーカーが連携する動きもあった[22][23]LINEはゲームも提供しているが、ゲームの利用者数は、MMD研究所によるとLINEが38.1%で、Mobage(16.3%)やGREE(11.5%)、Ameba(14.6%)を引き離した[24]

Mobageの運営元であるDeNA取締役の小林賢治は、ソーシャルゲームの定義は曖昧であるとして、お手軽さ・時間制から「お手軽ゲーム」「インスタントゲーム」という表現の方が近いという[5]。ソーシャルという言葉についても実際の様態ではなく、同じようなものでもコンテンツが出てきた時代によってソーシャルと呼ばれる場合と呼ばれない場合があり、時代の違いでしかないとしている[5]。ソーシャルゲームは、人の1日に存在する隙間時間である7分×5回にうまくはまったことで広まったとしており、その背景には、LINEのスタンプといった「小ピース化」の流れが来ており、重たいエンターテインメントは避けられる傾向のためとしている[5]

昔小ピース化
映像(映画・テレビ)YouTube
音楽(CD)iTunes
情報収集(書籍・雑誌)Twitter
通信(電話)メール・スタンプ
ゲーム(コンシューマーゲーム)ソーシャルゲーム

ソーシャルゲームは空き時間から暇つぶしといわれているが、暇つぶしは時間概念ではなく、本来やりたい活動ができないという制約からくるフラストレーションといわれ、隙間時間すらないのが現代人であり、時間を多重的・同時並行に使っている[25]。日本のソーシャルゲームの仕組み(データドリヴン[26]などのゲームデザイン)は、教育のゲーミフィケーション(ゲーム化)として世界で参考にされている[27]
社会問題
出会い系サイト化問題
出会い系サイトとして利用されるケースも増えている[28]
ガチャ課金による高額請求トラブル問題
ソーシャルゲームの市場が急成長してからは射幸心をあおる「コンプリートガチャ」(コンプガチャ)で小中学生の未成年が月に数十万円の高額課金のトラブル[29]などが社会問題として浮上し、消費者庁が規制に乗り出し、2012年5月にコンプガチャの全面的な廃止が決まった[30]。国民生活センター調べでは2012年の3月21日時点で、相談が4845件にのぼり、そのうち未成年の相談が1077件でその中でも小中学生絡みの相談が680件だったという[31]。コンプガチャの騒動をきっかけに業界でもNHN JapanグリーサイバーエージェントDeNAドワンゴミクシィの6社の協議によって自主規制の取り組みも行われ、2012年11月には、業界団体として「ソーシャルゲーム協会(Japan Social Game Association:JASGA)」(2015年4月1日にCESAと合併)が設立された[32][33][34]。しかし、その後も「パッケージガチャ」など新たなガチャなどを生み出しており、「コンプガチャより悪質」とのユーザーの声がある[35]。サービスの母体は企業であり、短期的な売上増とユーザーの射幸心を不必要に煽ることが直結しやすく、問題の発生源となる。顧客を自社のサービスゾーンに滞在させる等、長期的な視野に欠けたサービス提供や、カルチャーの創造、コンテンツ開発を目的としていない事などにより、比較的短命なサービス乱発と終了が予想される。また、リアルマネートレーディングを誘発する懸念もある。また、もともとは同じ「ゲーム」でも、PlayStationやWii、Xboxなどのゲーム機などの売り切りゲームとは違い、射幸心を煽るビジネスソーシャルゲームはパチンコやギャンブルに近いものであり、今ある法律やガイドラインの変更で消費者の被害が収まらないならば、法律の改正やソーシャルゲーム新法も必要であり、警察や消費者行政が対応できる仕組みを作るべきであるとする主張もある[36]
ガチャ確率表示問題
2016年に『グランブルーファンタジー』のガチャにおいて、特定のキャラクターが異常に排出されにくいことから、ユーザーの間で、「ガチャの確率操作が行われているのではないか」という疑惑が噴出し、読売新聞夕刊までもが取り上げる事態となった[37]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:63 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef