なお第一次星間大戦でのボドル基幹艦隊による軌道爆撃により、人類の生存者は約100万人とされ、帰順したゼントラーディ人約800万人より少数となった[13][注 5]。このため以後の「地球人類」は、マイクローン化した帰化ゼントラーディ人の方が多いことになる[13]。
『マクロスF』においては、大まかに元ブリタイ・アドクラス艦隊指揮下の帰化ゼントラーディ人と、元ボドル基幹艦隊指揮下の帰化ゼントラーディ人に分類され、前者のゼントラーディは比較的穏健派に属し、地球人類との共存共栄に積極的だが、後者ゼントラーディは上位指揮系統の壊滅により否応なく人類に降伏、和平に応じた勢力であることから、新統合政府に反感を抱いて、反社会的なテロ活動を起こす者も存在するとされる[注 6]。全員がそうとは限らず、大多数のゼントラーディ人の生存者は、新統合政府主導の地球人類との融和・帰化政策に恭順的であり、戦闘種族としての彼らの能力と経験は後年の宇宙移民時代においてもたいへん重宝されている。
身体的な特徴として、寒色系の肌の色が挙げられるが、地球人とさほど変わらない者も多い。劇場版や『マクロスプラス』以降の続編では、旧シリーズにはなかった要素として、尖った耳が特徴として加わっている。地球人との混血児にも純血児ほどではないが耳の端がやや尖っているといった細かな描き分けがなされている。その他、青・緑・ピンクといった純血の地球人には存在しない色の頭髪を持つ者も多く、ハーフやクォーターでもそうした人物が多い。また『マクロスF』では、一部のゼントラーディ人は頭髪が意思や感情により動く能力を持ち、クォーターであるランカ・リーもその能力を受け継いでいるという設定が加えられた。
兵器としてプロトカルチャーにより文化的な思考能力を永く封印されていたが、地球文化との接触によるカルチャーショックの結果、創造的な思考能力を取り戻す。ゼネラル・ギャラクシー社にてVF-9やYF-21の開発に関わったアルガス・セルザー、星間運輸会社および民間軍事会社S.M.Sを創設したリチャード・ビルラー(『マクロスF』)などといった技術者や企業経営者も輩出している。 プロトカルチャー言語から発展した独自の言語体系を使用しているようだが、テレビ版ではゼントラーディ人同士の会話も日本語で表現されており、地球人と会話する場面でも完全な翻訳機を使用し会話を成立させる。ただし、テレビ版の作中でも一部の場面でゼントラーディ語が使用されており、捕虜となった主人公たちがゼントラーディ艦からの脱出を試みる場面や、第一次星間大戦後の地球の場面で、ゼントラーディ人が「ウテマ(待て)」などのゼントラーディ語を使うシーンが複数存在する。 劇場版においては、ゼントラーディ同士の会話は基本的にすべてゼントラーディ語で表現される。軍事行動以外の習慣のないゼントラーディの使用言語は、地球人類のそれと比較すると非常に語彙のバリエーションが少なく、翻訳機を通した地球人との会話でも、ところどころゼントラーディ語が翻訳されずに地球の言語[注 7]と混在したかたちとなり、「産まれる」「抱く」「キス」などといったゼントラーディにとって未知の単語を発声する際は、地球人とは異なる発音になる。物語の後半ではゼントラーディ同士が会話する場面でも、地球の言語を基本にゼントラーディ語が混合したかたちで表現されるようになる。後年に発売されたPlayStation 2用ゲームソフト『超時空要塞マクロス』では、テレビ版ストーリーモードにおいてもゼントラーディ人同士の会話はすべてゼントラーディ語で表現されており、劇場版ストーリーモードでも、劇場版の後半で地球の言語とゼントラーディ語を混合した表現になっていたゼントラーディ同士の会話が、すべてゼントラーディ語による表現となっている。 なお、表記には独自のゼントラーディ文字が使われており、その一部に地球のラテン文字(ローマ字)に該当するものがあったことから文字の対比のあと、翻訳方式がまとめられ、地球人側の翻訳技術の向上に貢献することとなる。 元ボドル基幹艦隊のゼントラーディ人は地球人類との混血化が進み、帰化することで純粋なゼントラーディ語のみを使用する者もいなくなるが、『マクロスF』や『マクロスΔ』などの作品では、ゼントラーディ血統人種で構成される部隊において、軍事行動関係の命令や指示などをゼントラーディ語で行っているケースもある[15]。 メルトランディもゼントラーディとほぼ同じ言語を用いるが、一部の単語はゼントラーディと異なるものとなっている(「ガドラス」が「マドラス」、「ヤック」が「ラック」など)。 単語のなかでもとくに、「信じられない」「恐ろしい」「そんな馬鹿な」といった意味合いをもつ「デカルチャー」、より強い驚きを示す感動詞「ヤック」をつけた「ヤック・デカルチャー」は劇中で繰り返し用いられ、後継作品や関連商品名などでもしばしば使用されるものとなっている。 後継作品において、一部の単語はそのまま地球言語として定着していることになっており、「デカルチャー」などは、普通にテレビCMなどにも使用されるポピュラーな単語となっている。小説版『マクロスフロンティア』にて早乙女アルトは「デカルチャー」を古臭い死語だと言い、普通に使うランカ・リーと言い合いをする場面がある[16]。 ゼントラーディ人は種族全員が戦闘員であり、ゼントラーディ軍の将兵である。彼らには「民間人」(戦争をしない人間)という概念自体が存在せず、社会生活すべてが軍事行動と直結している。軍人社会の常として、厳格な軍法が存在し、敵前逃亡や叛乱などの風紀を乱す行為をした者には消去刑(分解刑)などの重い処罰が下される場合もあるとされる。 ゼントラーディ軍は1,000 - 2,000を超えるといわれる[17]「基幹艦隊」に分かれて行動している。1個基幹艦隊は移動司令部である超大型要塞と約500万隻の艦艇、そして搭載された無数の戦闘ポッドで構成される。すべての基幹艦隊に識別ナンバーが割り振られているが、便宜上、司令長官の名前を冠した名称で呼称される。第一次星間大戦の際、人類と交戦する基幹艦隊は、ゼントラーディ軍第118基幹艦隊であり、劇中ではボドル基幹艦隊と呼称される。また、設定によっては数十万隻規模の基幹艦隊も存在する。基本的に基幹艦隊同士の連携等は行われず、互いの艦隊の位置も命令系統上位(エキセドル・フォルモの説明で言及される「ベルナル級」以上)の将官までしか知らされていない[18]。軍隊として本来存在するはずの、基幹艦隊を統括する上位機構もシリーズ中では明言されていない。そもそも本来の主人であるプロトカルチャーは、はるか太古に自らの生み出したゼントラーディ軍と監察軍の戦いのなかで滅亡しており、すでに根源的な戦争の目的や理由を失ったまま軍隊全体が盲目的に戦闘行為を行っているともいえる。なお、総司令官を失った基幹艦隊の残存艦艇は速やかに撤退ののち、距離的に最も近くに位置する他の基幹艦隊に合流すべし、とする軍法がある[18][19]。 撤退の際に取り残されたゼントラーディ艦隊または部隊は、闘争本能の赴くままに戦闘を繰り返す「はぐれゼントラーディ」という危険な海賊的戦闘集団と化し、辺境宙域において幾度となく新統合軍の治安部隊と交戦している。『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』では「マルドゥーク」という、はぐれゼントラーディを歌によって従えた勢力が登場する。 ゼントラーディ人は創造する能力を与えられておらず、運用している兵器類はすべてプロトカルチャーの作った無数の惑星や衛星の全自動兵器廠により製造されている。たとえば標準的な戦闘ポッド・リガードは、約3億を数える兵器廠で常時生産され続け、前線に供給されている[20]。
言語
代表的な単語
ア - at
アルケス - 存在する
アルマ - すべて
ウ - 行動( - する)
ウケイ - 行け
ウコメ - 来い
ウダナ - 何だ
ウテマ - 待て
ウトミ - 見える
ウトミスケス - 見せる
エスケスド - 解読
エセケス - 了解する、わかる
エセケスタ - 了解、わかった
エト - なに
エルケスガーマ - 解読能力
エルケスト - 送信
エルケルザーン - 信号音
エルケルト - 報告
オ - of
カールチューン - 文化
ガドラ - 武器
ガドラス - 戦闘
ガドラダカン - 戦艦
ガドララスカス - 戦意
ガンツ - 勝つ
ギルツ - 捕獲する
ギルテスタ - 身につける
ゲーマ - 力
ケスト - 確認
ケルカス - 手を出す
ケルカスタ - 進入する
ケルガドラス - 突撃部隊
ゴル - 巨大な
ゴルガドラダカン - 巨大戦艦
ゴルグラン - 巨人
サ - yes、ハイ、ハッ!
サルテスト - 記録書、サンプル
ザルグ - 多い、多くの
ザーン - 音
ザンツ - 栄える
ズカラ - 規模、サイズ、部隊
ゼントラン - 男性
ダカン - 場所、船
ダス - あれ
ダルカーン - 星
タルケ - 同じ
タルニ - with、both、しかも
ダンツ - 正しい、絶対
チャーツ - 部品
デ - 否定
デブラン - 敵
フォ - 未来接語
プレ - 過去接語
プロト - 古い、昔の
ホルト - 新しい、これから
マーカ - 疑問
マイクラーン - マイクローン
マルテスト - 記録
ミーゾーン - 歌
メルトラン - 女性
ヤック - なんと
ラスカス - 考える
ゼントラーディ軍
兵器・技術詳細は「ゼントラーディ軍の兵器」を参照
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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