日本画では、膠は絵具の固着材となり、岩絵具などの顔料を定着させるため膠水で溶いて使用する[5][6]。墨は湯煎した膠とすすを練り合わせて成形・乾燥させたものであり、膠は固着成分として、また疎水性のすす粒子を包み込んで水中に分散させる保護コロイドとして機能している[7]。紙や布の滲み止めなどには膠と生ミョウバンの混合液である礬水を塗布する。かつては鹿の皮革から作られていたことから鹿膠(しかにかわ)と言われているものや、三千本膠と言われる牛皮膠などが主に用いられている。
中国の絵画でも膠を使った墨や彩墨[8][9]、チベット・ネパールのタンカでも膠絵具が使われる[10]。
西洋絵画では、膠絵具は主に室内装飾や舞台美術、布描きの一種(Tuchlein)に用いられ、ディステンパーと呼ばれる[11][12]。油彩画やテンペラ画では、支持体の目止めや地塗りの材料として膠が用いられ[13][14]、兎の皮革から作られた兎膠(英語版)(トタン膠)などが良く知られている。水彩紙の表面サイズ剤としても使われる[15]。
また、絵画の修復の際に絵具の剥離を抑えるために用いられる場合もある。 一般にアスピックなどのゼリー、煮こごりなどへの使用がよく知られている。マシュマロ・グミなど菓子だけでなく、焼肉などのタレやヨーグルトやクリームチーズ、ハムやソーセージなどにもゲル化剤・増粘剤・安定剤として広く利用されている。コンビニエンスストアで提供される弁当などのチルド食品では、電子レンジで加熱調理するまでスープや煮汁を固めておく用途にも利用されている。調理用の素材として販売されているゼラチンには、薄い板状の板ゼラチン、粉状の粉ゼラチン(粉末ゼラチン)、顆粒状の顆粒ゼラチンなどがあり、ゼリーをはじめ菓子などの家庭料理にも広く用いられている。 ただし、ゼラチンは食物アレルギーを引き起こすことがあるので、市販されているゼラチンを含む食品は、原則としてゼラチンを含む旨を表示することになっている。またゼラチンのうち、豚由来成分が使用されているものは、イスラム教徒にとってハラムやタブーであるので、注意が必要である[16]。 ゼラチン(dry powder、unsweetened)100 gあたりの栄養価
その他の用途
競技用
アーティスティックスイミングの選手が競技時に頭髪を固めるのに用いる。水には溶けず、湯で溶けるのでシャワーで洗い流すのに都合が良い。
弾道ゼラチン
銃弾が人体に命中した際の挙動を再現するために、人の筋肉に近い硬さの弾道ゼラチン(英語版)(人体ゼラチン)が用いられる。
食品としてのゼラチン
食品への利用
栄養特性
エネルギー335 kJ (80 kcal)
炭水化物0 g
糖類0 g
食物繊維0 g
脂肪0 g
飽和脂肪酸0.070 g
一価不飽和0.060 g
多価不飽和0.010 g
タンパク質85.60 g
トリプトファン0.000 g
トレオニン1.475 g
イソロイシン1.158 g
ロイシン2.454 g
リシン3.460 g
メチオニン0.606 g
シスチン0.000 g
フェニルアラニン1.737 g
チロシン0.303 g
バリン2.081 g
アルギニン6.616 g
ヒスチジン0.662 g
アラニン8.009 g
アスパラギン酸5.265 g
グルタミン酸8.753 g
グリシン19.049 g
プロリン12.295 g
セリン2.605 g
ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテンルテインと
ゼアキサンチン(0%) 0 μg(0%)0 μg0 μg
チアミン (B1)(2%) 0.025 mg
リボフラビン (B2)(19%) 0.230 mg
ナイアシン (B3)(1%) 0.085 mg
パントテン酸 (B5)(3%) 0.125 mg
ビタミンB6(1%) 0.007 mg
葉酸 (B9)(8%) 30 μg
ビタミンB12(0%) 0 μg
コリン(8%) 38.5 mg
ビタミンC(0%) 0 mg
ビタミンD(0%) 0 IU
ビタミンE(0%) 0 mg
ビタミンK(0%) 0 μg
ミネラル
ナトリウム(13%) 196 mg
カリウム(0%) 16 mg
カルシウム(6%) 55 mg
マグネシウム(6%) 22 mg
リン(6%) 39 mg