ゼラチン
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1871年銀塩写真に使う写真乳剤が開発されそれを塗布し乾燥させ感光膜とした臭化銀ゼラチン乾板が発明された。それらの写真乳剤をベースとなる素材に塗布したものが、それぞれフィルムであり印画紙となった。以降、感光物質の結合剤であり、保護コロイドとして機能するゼラチンが用いられ続けているが、デジタルカメラが普及し、使用量は減少してきている。
医薬品・化粧品
医薬品
飲み薬に使用されている各種のカプセルの他、
錠剤トローチなどにも使用されている。[4]日本では、年間1000t以上のゼラチンが医薬用として使用されている[4]。水分量を増やし流動性を高めたゼラチンを用い、嚥下障害のある患者への水分補給などにも使用されている[4]湿布薬にもゼラチンが用いられており、多用されている日本では特に使用率が伸びている。ゼラチンには止血作用があるのでゼラチンスポンジとして手術時に使われる。やがて体内で吸収されるので除去する必要はない。また、ゼラチン加水分解物を止血剤として注射することもある。また、化学繊維を織り込んで作られた人工血管のコーティング材としても利用されている。ロバ(ウシの場合もある)の膠(ゼラチンとして精製する前のもの)を阿膠(あきょう)といい止血作用のある生薬である。阿膠は効能を表示しない限りは法的に食品扱いである。
化粧品
ゼラチンの元でもあるコラーゲンは美容の分野で保湿剤として着目されており、従来シャンプーリンス口紅などに使用されていた粘性保持のための添加剤としてだけでなく、「加水分解コラーゲン」「水溶性コラーゲン」などが製品化され化粧品の基材の一つとして使用されている。
美術兎皮膠の顆粒剤と液体獣皮膠(常温)獣皮膠(加熱)

日本画では、膠は絵具の固着材となり、岩絵具などの顔料を定着させるため膠水で溶いて使用する[5][6]湯煎した膠とすすを練り合わせて成形・乾燥させたものであり、膠は固着成分として、また疎水性のすす粒子を包み込んで水中に分散させる保護コロイドとして機能している[7]。紙や布の滲み止めなどには膠と生ミョウバンの混合液である礬水を塗布する。かつては鹿の皮革から作られていたことから鹿膠(しかにかわ)と言われているものや、三千本膠と言われる牛皮膠などが主に用いられている。

中国の絵画でも膠を使った墨や彩墨[8][9]、チベット・ネパールのタンカでも膠絵具が使われる[10]

西洋絵画では、膠絵具は主に室内装飾や舞台美術、布描きの一種(Tuchlein)に用いられ、ディステンパーと呼ばれる[11][12]油彩画やテンペラ画では、支持体目止め地塗りの材料として膠が用いられ[13][14]、兎の皮革から作られた兎膠(英語版)(トタン膠)などが良く知られている。水彩紙の表面サイズ剤としても使われる[15]

また、絵画の修復の際に絵具の剥離を抑えるために用いられる場合もある。
その他の用途
競技用
アーティスティックスイミングの選手が競技時に頭髪を固めるのに用いる。水には溶けず、湯で溶けるのでシャワーで洗い流すのに都合が良い。
弾道ゼラチン
銃弾が人体に命中した際の挙動を再現するために、人の筋肉に近い硬さの弾道ゼラチン(英語版)(人体ゼラチン)が用いられる。
食品としてのゼラチン
食品への利用

一般にアスピックなどのゼリー煮こごりなどへの使用がよく知られている。マシュマログミなど菓子だけでなく、焼肉などのタレやヨーグルトやクリームチーズハムソーセージなどにもゲル化剤・増粘剤・安定剤として広く利用されている。コンビニエンスストアで提供される弁当などのチルド食品では、電子レンジで加熱調理するまでスープや煮汁を固めておく用途にも利用されている。調理用の素材として販売されているゼラチンには、薄い板状の板ゼラチン、粉状の粉ゼラチン(粉末ゼラチン)、顆粒状の顆粒ゼラチンなどがあり、ゼリーをはじめ菓子などの家庭料理にも広く用いられている。

ただし、ゼラチンは食物アレルギーを引き起こすことがあるので、市販されているゼラチンを含む食品は、原則としてゼラチンを含む旨を表示することになっている。またゼラチンのうち、豚由来成分が使用されているものは、イスラム教徒にとってハラムタブーであるので、注意が必要である[16]
栄養特性

ゼラチン(dry powder、unsweetened)100 gあたりの栄養価
エネルギー335 kJ (80 kcal)

炭水化物0 g
糖類0 g
食物繊維0 g

脂肪0 g
飽和脂肪酸0.070 g
一価不飽和0.060 g
多価不飽和0.010 g

タンパク質85.60 g
トリプトファン0.000 g
トレオニン1.475 g
イソロイシン1.158 g
ロイシン2.454 g
リシン3.460 g
メチオニン0.606 g
シスチン0.000 g
フェニルアラニン1.737 g
チロシン0.303 g
バリン2.081 g
アルギニン6.616 g
ヒスチジン0.662 g
アラニン8.009 g
アスパラギン酸5.265 g
グルタミン酸8.753 g
グリシン19.049 g
プロリン12.295 g
セリン2.605 g

ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテンルテイン
ゼアキサンチン(0%) 0 μg(0%)0 μg0 μg
チアミン (B1)(2%) 0.025 mg
リボフラビン (B2)(19%) 0.230 mg
ナイアシン (B3)(1%) 0.085 mg
パントテン酸 (B5)(3%) 0.125 mg
ビタミンB6(1%) 0.007 mg
葉酸 (B9)(8%) 30 μg
ビタミンB12(0%) 0 μg
コリン(8%) 38.5 mg
ビタミンC(0%) 0 mg
ビタミンD(0%) 0 IU
ビタミンE(0%) 0 mg
ビタミンK(0%) 0 μg

ミネラル
ナトリウム(13%) 196 mg
カリウム(0%) 16 mg
カルシウム(6%) 55 mg
マグネシウム(6%) 22 mg
リン(6%) 39 mg


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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