ゼウス(古希: JOVE, Δ?α?, Ze?s)は、ギリシア神話の主神たる全知全能の存在[1][2][注 1]。ローマ神話のジュピター(ユーピテル)、中国神話の天帝、キリスト教やイスラーム等の唯一神と同様な、「至上神 supreme god(スプリームゴッド)」の典型[4]。一般的に「至上神」[5]または「最高神」[6]は、創造的能力や人格的性質を持ち、全知全能だとされている[5]。
ゼウスは宇宙や天候を支配する天空神であり、人類と神々双方の秩序を守護・支配する神々の王である。宇宙を破壊できるほど強力な雷を武器とし、多神教の中にあっても唯一神的な性格を帯びるほどに絶対的で強大な力を持つ[7]。 ゼウスはローマ神話ではユーピテル(ジュピター)にあたる。オリュムポスの神々の家族および人類の両方の守護神・支配神であり、神々と人間たちの父と考えられた。 ゼウスは天空神として、全宇宙や雲・雨・雪・雷などの気象を支配していた。キュクロープスの作った雷霆(ケラウノス)を主な武器とする。その威力はオリュンポス最強と謳われるほど強大なもので、この雷霆をゼウスが使えば世界を一撃で熔解させ、全宇宙を焼き尽くすことができる[8]。テューポーンと戦う際には、万物を切り刻む魔法の刃であるアダマスの鎌も武器としていた。雷霆の一撃をも防ぎ、更に敵を石化させるアイギスの肩当て(胸当てや楯という説も)を主な防具とするが、この防具はよく娘のアテーナーに貸し出される。この他にも、「恐怖」という甲冑をギガントマキアーにおいて着用している。 「光輝」と呼ばれる天界の輝きを纏った鎧に山羊革の胸当てをつけ、聖獣は鷲、聖木はオーク。主要な神殿は、オークの木のささやきによって神託を下したエーペイロスの聖地ドードーナ、および4年ごとに彼の栄誉を祝福してオリンピック大祭が開かれたオリュンピアにあった。 ティーターン神族のクロノスとレアーの末子(長男の説もある)で、ハーデースとポセイドーンの弟。正妻は姉であるヘーラーであるが、レートーや姉のデーメーテール等の女神をはじめ、多くの人間の女性とも交わり、子をもうけたといわれる。 オリュンポス十二神の中では、メーティスとの間にアテーナー、レートーとの間にアポローンとアルテミス、マイアとの間にヘルメース、ディオーネーとの間にアプロディーテー(ホメーロスより)、ヘーラーとの間にアレース、ヘーパイストス、テーバイの王女セメレーとの間にディオニューソス、デーメーテール(一説にはステュクス)との間にペルセポネー(あるいはコレー)をもうけた。記憶の女神ムネーモシュネーとの間に9人のムーサたち、海洋の女神エウリュノメーとの間に3人のカリスたち、月の女神セレーネーとの間にパンディーア、ヘルセー、ネメアが誕生した。ゼウスとオリュンポス十二神の系譜図 また人間の女性ダナエーとの間にペルセウスを、アルクメーネーとの間にヘーラクレースを、レーダーとの間にディオスクーロイを、アンティオペーとの間にゼートスとアムピーオーンを、エウローペーとの間にミーノースとラダマンテュスとサルペードーンを、カリストーとの間にアルカスを、イーオーとの間にエパポスを、といったように多数の子供たちをもうけたことになっている。これらゼウスの子とされる英雄を半神(ヘロス)といい、古代ギリシアでは下級の神として広く祀られた。
概要
系譜