セリモドキ属(セリモドキぞく、学名:Dystaenia、和名漢字表記:芹擬属)はセリ科の属の一つ[1][2]。 多年草で、太い根をもつ。葉は2-3回羽状複葉で、小葉は卵形となり、粗い切れ込みがあって、質は薄い。葉柄があり、柄の下部は鞘状になって広がる。花は両性で白色、萼歯片は極めて明らか。複散形花序になり、花序の下の総苞片も小花序の下の小総苞片もある。果実は楕円形で平ら、分果の背隆条は細くて高く互いに離れ、側隆条は背隆条より広い。油管は種子の全周をかこみ、ときに2周になることもあり、数が多く不規則である。油管の太さは一定ではなく、さまざまである[2]。 世界に2種あり、日本と朝鮮半島に1種ずつある[2]。 属名 Dystaenia は北川政夫(1937)による命名で、新属セリモドキ属を提唱し、セリモドキの種子の油管の特徴から、Dys + taenia による造語で、Dys : (imperfectly developed) + taenia : (vittae) のことで、「不完全に発育した油管の」を意味している[3]。
特徴
分布
名前の由来
種
セリモドキ Dystaenia ibukiensis (Y.Yabe) Kitag.[4] - 日本固有種[1]。本州の滋賀県以北の日本海側に分布する[5]。本州南西部にはない。高さ30-90cmになる[2]。都道府県のレッドデータによると広島県や兵庫県にも分布が確認されている。
タケシマシシウド Dystaenia takeshimana (Nakai) Kitag.[6] - 朝鮮半島の東にある鬱陵島に分布する[2]。なお、本種の記載発表には、本種は日本国外の鬱陵島の固有種と考えられていたが、島根県隠岐島の中ノ島での分布が確認された。生育地は、2012年に隠岐郡海士町指定天然記念物「タケシマシシウド群落」として指定されており[7]、島根県のレッドデータブックでは絶滅危惧I類(CR+EN)に選定されている[8]。セリモドキと比べ大型になり[2]、高さ150-200cm、複散形花序の径は20cmになる[8]。
ギャラリー
セリモドキ
タケシマシシウド
D. takeshimana
脚注[脚注の使い方]^ a b 『日本の固有植物』p.100
^ a b c d e f 『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.394-395
^ 北川政夫「日滿産せり科植物小記 II
^ ⇒セリモドキ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1259
^ ⇒タケシマシシウド 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
^ タケシマシシウド群落、文化遺産オンライン、文化庁 - 2019.12.10閲覧
^ a b ⇒タケシマシシウド、改訂しまねレッドデータブック2013植物編、島根県 - 2019.12.10閲覧
参考文献
加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
⇒米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名?学名インデックス」(YList)
北川政夫「日滿産せり科植物小記 II」『植物学雑誌』第51巻第610号、日本植物学会、1937年、805-812(p.805-807)、doi:10.15281/jplantres1887.51.805、ISSN 0006-808X、NAID 130004211688。
⇒日本のレッドデータ検索システム
タケシマシシウド群落、文化遺産オンライン、文化庁
⇒タケシマシシウド、改訂しまねレッドデータブック2013植物編、島根県
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